ブエノス!アシシです。

世界一蹴の旅が丸ごと一面で特集される日刊スポーツは本日火曜発売です!お見逃しなく!



旅をしていてよく聞かれる質問があります。

「なんでそんなW杯出場32カ国を巡る旅とかやってるの?」

最初の頃は「単なるジコマンです」とか「だって面白そうでしょ?楽しいことを純粋に追及してるだけです」とか、聞く人によっては納得感のあまりない回答に終始していた時期もありました。



最近は、こう答えています。

「本番のW杯を32倍楽しむために32カ国を周っているんです」と。



日本代表の試合だけ応援するW杯も、それはそれで面白いと思います。でも、各大陸のし烈な予選を勝ち上がってきた栄誉ある32カ国の代表が出場するW杯を、日本代表にだけ肩入れして観戦するのは非常にもったいないと思うんです。

出場国全てを実際に訪れて、その国の文化に触れ、文化とサッカーとの関連性を考察し、32カ国それぞれに対して独自の「思い入れ」を持った上で本番のW杯を現地で観戦したらどうなるか?

各試合を「お客さん」として観戦するのではなく、各代表チームに肩入れして応援できるようになるので、ワールドカップ全試合がとても興味深いものになるんではないかと。

それは個人的な話に留まらず、僕らが世界中で綴るこの「世界一蹴の旅」ブログを日本のサポーターにも読んでもらって疑似体験してもらうことで、みなさんにもW杯を32倍楽しんでもらいたいと思っています。



ということで、日本人にとって出場32カ国中、最も馴染みの薄い国のひとつ、ホンジュラスをもっともっと日本のサポーターに知ってもらうために、Libero独自のサッカー事情現地レポートをお送りします。お楽しみください。(我ながら前置き長いw)



先週日曜、ホンジュラスの国内ローカルリーグをスタジアム観戦してきました。

中米第三の貧困国と言えども、当然ですが国内にプロリーグが存在しています。

お目当ては首都テグシガルパをホームとするオリンピアとモタグアというライバルクラブのダービーマッチ。

観戦に行く前、JICAの隊員から「去年のこの組み合わせの試合で、サポーター同士が争って、拳銃で死者が出てるから気を付けて」と忠告を受けました。



さすが銃社会のアメリカ大陸ですw



それにしても、サポーター同士の小競り合いで銃発射とか凄い国です。命懸けでサッカーの試合を観に行かなくちゃいけないので、ちょっと知人の伝手を辿って、土地勘のあるホンジュラス人に同行してもらうことにしました。

※知人の伝手といっても、数日前にホンジュラスに来る飛行機の機内で、たまたま席が隣り合わせになった人です。空港での出会いはチュニジアしかりカメルーンしかり、その後の僕らの旅に何かしらの影響を与えてくれます。

車を出してくれたのは、日本語堪能なミゲルさん。

世界一蹴の旅-みんなで
アシシの隣で子供を抱えている人がミゲルさん。


去年、人が死んでる試合に子供を連れてくるとか、かなり強気なお父さんですw

ちなみにチケットはメインスタンドの席で200レンピーラ(約1,000円)でした。

世界一蹴の旅-観戦チケット
メインスタンドにしてはかなり安い価格設定かと。


試合会場はホンジュラス代表もよく試合をするナショナルスタジアムだったんですが、WIKIを見るとこの国立競技場、35,000人収容できるらしいです。

さてここで問題です。



この試合、何人くらいの観客が入ったと思います?



みなさん、予想してみてください。




正確な答えは僕らもわからないんですが、バックスタンドの客の入り具合を見てもらえれば、大体はお分かり頂けるかと。




答えはこちらです。

$世界一蹴の旅-バックスタンド
通路の隙間も埋め尽くすほどの超満員でした。


モタグアのゴール裏に空席が目立ったので、その分を差し引いても30,000人は入っていたんじゃないかと。

人気チーム同士のダービーマッチということを差し引いても、昨秋に28年振りのW杯出場を決めた国全体のサッカー熱は確実に沸騰してきている感じがしました。

世界一蹴の旅-チアガール
試合開始前に、チアガール?をパシャリ。


世界一蹴の旅-サポーター
サポーターの8割はオリンピアサポーターでした。


世界一蹴の旅-試合
試合は紺色のユニフォーム、モタグアが1-0で勝ちました。


謎の国ホンジュラスは、国内リーグ観戦者に死人が出るくらい、サッカーにアツい国でした。



続いて、ネタが盛りだくさんだった水曜(ひとつ前のブログを読んでない方はこちら)、ミゲルさんのお知り合い、ドナルドに連れられてホンジュラスサッカー協会を表敬訪問して参りました。

世界一蹴の旅-サッカー協会
Federacion National Autonoma de Futbal de Honduras 略してFENAFUTH


広報担当のエドウィンさんと30分くらいお話しさせて頂きました。

世界一蹴の旅-エドウィンさん
英語も堪能なエドウィンさん。とても親切に対応して頂きました。


彼は2002年の日本対ホンジュラス@神戸の親善試合に代表チームに同行し、来日したことがあるそうです。彼に最近のホンジュラス代表の近況を聞いてみたところ、面白い話が聞けました。

ホンジュラス代表メンバーの中には、中国のクラブでプレーする選手が何人かいて、まだ中国のリーグは開幕していないため、現在リーグ真っ最中の国内組・ヨーロッパ組のメンバーと比較して、コンディションが追いついてきていないことを危惧していました。

中国のクラブにホンジュラス人が多く在籍している理由は、単純にお金の問題だそうです。やはりチャイナマネーは偉大だと。



他にも、ホンジュラス代表がワールドカップ出場を決めた時のエピソードを聞けました。

北中米カリブの予選最終節、4位のホンジュラスはアウェイでエルサルバトル相手に1-0で勝利したんですが、同時並行で行われていた米国対コスタリカの試合において、3位コスタリカが引分け以下の結果になってもらわないと、逆転でのW杯切符は手に入らない状態でした(上位3チームにW杯出場権が与えられるルール)。米国対コスタリカは前半終わったタイミングで、コスタリカが2-0でリード。

ホンジュラス国民全員が万事休すかと思っていたところ、米国が1点を返し、更に後半ロスタイムに値千金の同点ゴールをぶち込み、最終節の劇的な逆転でW杯出場切符を手にしました。

テレビ中継の後、大統領がモニターに登場し、

「こんなにめでたい日はないんで、明日は国民の祭日にします!ワショーイ!ヽ(゚◇゚ )ノ」

と公言して、テグシガルパの街中は夜な夜な大盛り上がりだったそうです。JICAの隊員曰く、その夜はどこの道も車でごった返し、車が身動きとれない状態になり、何kmも歩いて帰ったそうですw

ホンジュラス国民にとって、サッカーというものが日々の生活の中でどういった位置付けにあるのかを物語るエピソードかと。

世界一蹴の旅-記念撮影
とても興味深いお話が聞けました。


ワールドカップに出場を決めた32カ国それぞれの代表にドラマがあり、それを支えるサポーターの想いは、どの国をとっても、もの凄くアツいです。

ブックメーカーの下馬評では、北朝鮮、ニュージーランドに次いで3番目にオッズが高い(人気が低い)ホンジュラスですが、こういうエピソードを知った上で本戦の試合を観ると、俄然面白みが増すと思います。

グループHのホンジュラス代表、注目してみてください!



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