おかげさまでレオどうぶつ病院腫瘍科ブログ5周年!

今後も参考になる情報を提供いたします。

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2011-06-20 12:29:56

乳腺腺癌の腋窩リンパ節転移巣に対し、外科的廓清術と術後補助的化学療法を行い良好な経過を得ている犬

テーマ:乳腺腫瘍


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-初診時
晴ちゃんは8歳雌のコーギー。

右第2乳腺部のしこりを切除したところ乳腺腺癌と診断された。

手術から1ヶ月後に腫術創の横の脇の下にしこりを認め、

再発または転移が疑われた。

オーナーは藁にもすがる思いでホメオパシー療法を受けていたが、

半年後にしこりが急速増大したため当院へ来院した。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-側面

初診時、右腋窩部皮下にφ7×5cm大の巨大な腫瘤を認めた。

乳腺腺癌の腫術創への再発は認めず、明らかな肺転移も認めなかった。

WHOの悪性腫瘍の分類では

T0N1M0 ステージ4の悪性乳腺腫瘍のリンパ節転移が疑われた。

転移病巣は巨大であったが触診所見より切除可能と判断し、

対症的リンパ節廓清術と補助的化学療法をお勧めした。


腫瘤は周囲との固着は軽度であり、慎重に剥離を行った。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-剥離
腫瘤底部に入り込む栄養血管の処理を行い摘出した。

腫瘤の急速増大と発情の時期が関連していたため、

同時に卵巣子宮摘出術も実施した。




ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-術後2日

手術2日後には術創周囲に軽度腫脹が認められたものの

経過は良好でドレインチューブを抜去し、翌日退院した。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-切除

病理組織検査では乳腺腺癌の腋窩リンパ節病巣と診断された。

腫瘤は薄い偽膜に被われており、

切除辺縁には腫瘍細胞は認めなかった。

同時に切除した卵巣には黄体形成が認められ

ホルモンの分泌が示唆された。


術後の補助療法として、

QOL(生活の質)を落とさない範囲での化学療法を希望され、

術後10日の抜糸時より

3週間に一度の低用量カルボプラチン投与と

ピロキシカムの投与を開始した。



ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-術後3カ月術創

現在、手術から4ヵ月。

術創部の再発や遠隔転移を認めず、

非常に元気に過ごしている。

化学療法による副作用も一切認められず、

3週間に一回の抗がん剤治療を継続中である。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-術後3カ月全身


2011-03-24 15:58:04

子宮に発生したリンパ腫に対し外科療法単独で長期寛解した犬の1例

テーマ:リンパ腫

8歳のミニチュアシュナウザーが

発情1ヶ月後に外陰部から出血を認め来院した。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-初診時

外陰部から排出していたのは血膿であり、

腹部超音波検査ではφ3.7cmに腫大した子宮内に液体貯留像を認めた。

血液検査では総白血球数3万/μlの慢性活動型炎症像を認め、

子宮蓄膿症と診断し緊急手術を行った。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-手術 ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-割面

摘出した子宮内には膿貯留を認めたほかに、

子宮体部から頚部にかけて壁の肥厚を認めた。

術後は順調に回復し2日後に退院した。


病理検査の結果は子宮内膜炎の他に、

子宮の肥厚した部分にはリンパ腫の浸潤性増殖が認められ、

子宮内膜組織原発のリンパ腫が疑われた。


手術より10日後の抜糸時に、今後の治療に関し以下の様に説明した。

*今回は子宮のリンパ腫病変を完全切除できたが、

 他の部位にまだリンパ腫が存在する可能性があること。

*リンパ腫は全身性疾患であり、たとえ今は他病変がなかったとしても、いずれ再燃してくること。

*リンパ腫は無治療では数カ月で命を落とす可能性が多いこと。

*治療は全身療法である化学療法(抗がん剤治療)がメインとなること。

*治療により完治することはないが、元気な状態で延命できる可能性があること。


その後みるみる元気になり手術から1ヶ月後には少し太ったと連絡が入った。

オーナーは子宮蓄膿症が治り元気になったことに満足し、

リンパ腫に関しては経過観察をすることとなった。



その後、来院は途絶えていたが、

手術から2年後、狂犬病ワクチン接種に来院した。

体重はさらに増え、調子は良好であった。



それから2カ月後に嘔吐と歩行困難で再来院した。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-全身像

来院5日前より嘔吐があり、たべてもすぐに吐出してしまうとのことであった。

他院で皮下点滴や吐き気止め等の治療を受けていたが病状は悪化し、

3日前からは歩行困難となっていた。

数日後に二時診療施設にてCT検査の予約が入っていたが、それまで持ちそうもないと当院に来院した。


すぐにリンパ腫の再燃を疑い、全身チェックをした。

体重7.4kg。削痩と脱水が認められ、2ヵ月前のワクチン接種時より1kg体重減少していた。

呼吸が荒く、動くことも困難であった。

腹部皮膚には紫斑が認められた。

ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-胸部XP

レントゲン検査では胸水貯留と気管の挙上が認められたことから前縦隔部の腫瘤の存在も疑われた。

肝臓と脾臓の腫大が認められた。


胸部超音波検査では胸水の貯留と前縦隔部にφ2cm大の腫瘤を2個認めた。

ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-胸水貯留

ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-前縦隔腫瘤

胸部超音波検査では胸水の貯留と前縦隔部にφ2cm大の腫瘤を2個認めた。



ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-腸壁肥厚

腹部超音波検査ではφ1cm大に壁が肥厚した腸管を認め

FNA(針吸引細胞診)を行った。

大型で幼弱なリンパ系細胞を多数採取し、リンパ腫が疑われた。


血液検査では好中球数の増加(60101/μl)が認められ、

中型から大型のリンパ球も散見された。


そこで全身に播種したリンパ腫 ステージⅤbと臨床診断し、化学療法を開始した。


酸素テント内で過ごしていたが翌日には更に呼吸困難となり、胸水抜去術により約300cc吸引した。

少し呼吸が楽になったため酸素テントから出て、更に抗がん剤の投与を追加した。

黒色の下痢便を大量に排出した後に食欲が改善し、嘔吐も見られなかった。


その翌日、すっかり食欲を取り戻し、元気に退院となった。

オーナーの希望により、その後の積極的な治療は望まれず来院はされていない。




リンパ腫は基本的に全身性疾患であるため、治療の第一選択は全身療法としての化学療法であるが、局所に限局したタイプでは外科療法や放射線療法が適応となることもある。


今症例は他疾患の治療時に偶然見つかった子宮に限局した節外型リンパ腫であった。
病変を外科的に完全切除することにより、2年間の寛解期間を得た。


その間来院されなかったことから、私は既に亡くなっているだろうと思っていたので

2年後に元気にワクチン接種に来院した時には驚いた。

「手術でリンパ腫が根治することもあるのか?」と不思議に思っていた矢先に再燃を認めたのである。

オーナーもリンパ腫のことはすっかり忘れていたが、やはり再燃するのだ。


教訓となったのはリンパ腫は完全寛解しても必ずいつか再燃すること。

そして外科療法や放射線療法で寛解に導けたリンパ腫が再燃し、

全身に播種した場合も化学療法でコントロールできる可能性があることを再認識した。

2011-03-19 17:16:55

いぬのきもち5月号のがん特集を監修しました

テーマ:腫瘍診断

いぬのきもち2009年1月号に掲載された犬のがん特集が好評でしたので、間もなく発売されるいぬのきもち5月号に再び犬のがん特集を監修しました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-表題

前回同様にがんを早期発見するために役立つ情報を書きました。


今回は「去勢手術や避妊手術をすることで、精巣腫瘍や乳腺腫瘍などを予防することができる」という話題も提供しています。



いぬのきもち読者から愛犬のがん体験談コーナーでは、みなさん「がん」と聞いただけで「不治の病」としてあきらめてしまう状況が多いことが分かりました。


人医学の方ではがんはもはや「不治の病」ではなく、「なるべく早く発見して治す病気」に変わってきています。


犬のがんも早期に発見することで治すことも可能な病気なのです。


がんを早期発見するためには犬にどのようながんが多いのか知ることも重要です。


5月号の記事の中ではからだの部位別に良く遭遇する腫瘍の特徴を紹介しています。

日ごろのスキンシップから体の変化を見つけることが重要です。

犬のがんの発生は7歳ぐらいから急激に増えます。

がん年齢になったら定期的な検診に、血液検査だけでなくレントゲンやエコーなどの画像診断を組み込むことが効果的です。

記事の中では気になる「がん検診」の一例も紹介しています。

ぜひ、がん特集をご一読ください。



また、この腫瘍科ブログもがんの早期発見にお役立てください。

実際の症例から、どのようにがんを発見し、どのように治療したか分かるようになっています。

紹介している症例のオーナー様の多くは、「みなさんのがん早期発見に役立てば」と情報提供していただいています。

2011-02-14 14:23:34

肺転移巣が消失した爪床悪性メラノーマのラブラドールレトリバー

テーマ:悪性黒色腫


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―
リバちゃんは12歳のラブラドールレトリバー。

後肢の指先にできた腫瘤(しこり)が自壊して来院しました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-爪床MM

腫瘤は爪の付け根より発生していました。

細胞診により黒色のメラニン様顆粒をもつ細胞を認め、

爪床に発生した悪性メラノーマ(黒色腫)を疑いました。


リンパ節や肺への明らかな転移は認めませんが、

爪床に発生する悪性メラノーマは高率に肺転移しますので

対症的な治療として正常な関節部分からの断指術と

術後補助的化学療法をお勧めしました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-術前

手術は無事終了し、術後しばらくはバンデージや靴を履いて保護しました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-術創 ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-靴

病理検査の結果は爪下悪性メラノーマ

核分裂指数が高く、非常に悪性度が高いことが示されました。

術後の肺転移を少しでも遅らせる目的で補助的化学療法を開始しました。


化学療法は低用量のカルボプラチンの注射とピロキシカムの内服を組み合わせて行いました。

抗がん剤は低用量でしたが、軽度の好中球減少症が認められたため、

そのまま低用量の化学療法を継続しました。

消化器症状など、化学療法によるその他の副作用は認めず調子よく過ごしていました。



ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-肺メタ
術後2ヵ月半に肺野全域にわたりφ5~7mm大の結節を多数認め、

肺転移を疑いました。

術後3カ月目には肺野の結節は増大増数しました。

呼吸器症状は認めず、調子も良いことから

化学療法は続行しました。


術後4カ月目には肺野の結節の増大傾向は認められず。

術後5ヶ月目の7回目のカルボプラチン投与時には

肺転移像が消失しました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-肺メタ消失

現在も元気に化学療法を継続中です。


一般に爪床悪性メラノーマは悪性度が高く高率に肺転移を起こすとされています。

外科切除により局所的には制御できますが、術後の肺転移を抑える効果的な治療はありません。

今回、術後肺転移を遅らせる目的で可能性にかけた補助的化学療法を行うことにより、

肺転移の出現を抑制できている可能性を感じました。

今後、米国で実用化されているメラノーマワクチンなど、有効な治療法が出てくることが期待されています。

2010-07-09 17:23:37

ピロキシカムによって難治性膀胱炎が軽快した膀胱がんを疑うビーグル犬

テーマ:膀胱癌

ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-Tex

テックスちゃんは 17歳のビーグル犬です。

半年ほど前より、膀胱炎を繰り返していました。最近になり、再び血尿や排尿時のしぶりなどの症状が悪化してきたため、来院しました。

ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-echo
腹部超音波検査にて膀胱腹側に2cm大のしこりを確認しました。

幸い、しこりは膀胱三角部には浸潤していないようです。

腎臓や前立腺の状態は異常を認めません。

画像検査結果と臨床経過からは膀胱がんも疑われます。

切除手術も可能な段階ですが、高齢であることからオーナーは積極的な治療は望みません。

抗生剤とピロキシカムによる対症的な治療を開始しました。


治療の開始とともに血尿は止まり、膀胱炎症状も治まりました。

治療開始から4か月。

超音波検査では腫瘤の経度増大が認められるものの、幸いにも排尿障害は起こしていません。

老齢により、寝ていることが多いそうです。

このように老齢であったり、基礎疾患を持っていて積極的な治療を行えない症例にも、ピロキシカムは対症的効果が認められます。


先日、飼い主様よりテックスちゃんがご自宅で眠るように亡くなったとご連絡いただきました。

ピロキシカムの治療開始より11カ月、今月18歳を迎えるところでした。ご冥福をお祈りいたします。

2010-07-03 11:53:37

炎症性乳癌を疑うラブラドール・レトリバーに効果を示したピロキシカム

テーマ:乳腺腫瘍


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-nina
ニーナちゃんは12歳、未避妊のラブラドール・レトリバー。

2年半前に右第5乳腺部の乳腺腫瘍を切除し、悪性乳腺混合腫瘍と診断されました。

1年前に左第5乳腺部の乳腺腫瘍を切除し、その6ヶ月後に同部位に再発した乳腺腫瘍を切除しました。いずれも病理組織検査は行っていません。

最後の手術後に術創部の炎症が認められ、抜糸時より術創部が徐々に腫脹してきたため当院に来院されました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-下腹部
当院初診時、左右の術創部は硬く板状のしこりを形成し、数珠状に連なっていました。しこり表面の皮膚は赤くただれ、熱感を持っていました。しこりの周囲皮膚には赤い点状の病変を認め腫瘍浸潤を疑いました。

胸部X線検査では肺転移を疑う所見はありませんでしたが、臨床症状より炎症性乳癌を疑いました。



ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-下腹部腫瘤
炎症性乳癌は犬の乳腺腫瘍全体の10%未満に認められますが、悪性乳腺腫瘍の17%を占めると報告されています。

腫瘍細胞は周囲組織への浸潤性が非常に高く、炎症を伴って拡がります。今回の様に板状の硬固なしこりを形成することがよく認められます。重度の炎症のため熱感を持ち、痛みを伴うことが多く認められます。

炎症性乳癌は周囲への浸潤性が高いだけでなく転移性も非常に高いといわれています。


現在のところ炎症性乳癌に対する効果的な治療はありません。

外科手術をすると今回の様に術後早期に激しい炎症を起こすのです。

効果の確認されている抗がん剤はありませんが、化学療法により遠隔転移を少しでもゆっくりさせる効果はあるかもしれません。

炎症と痛みを緩和する対症療法が適応となります。

抗生剤やステロイド剤、非ステロイド系消炎鎮痛剤による炎症や疼痛の緩和効果はわずかであると言われています。

それだけでは痛みを抑えられない場合にはフェンタニルパッチ等の使用が有効かもしれません。

放射線照射による疼痛緩和効果の報告はありません。


ニーナちゃんは抗生剤とステロイド剤の投与に反応し、しこりが軟化して皮膚表面の炎症も軽減しました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-炎症性乳癌1
その後、非ステロイド系消炎鎮痛剤であるピロキシカムの治療に切り替えました。

炎症と痛みが軽減したことにより動きが活発になり、以前よりも元気になりました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-Tx4M
ピロキシカムを開始して4カ月。乳腺部の腫瘤はさらに縮小傾向を示しています。

ニーナちゃんは元気に今年もフィラリア予防を開始しました。



ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-Tx5.5m
ピロキシカムを開始して5ヵ月半。乳腺部の腫瘤はさらに半減。

調子が良くて体重が増えすぎてしまいました。



ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-元気5.5m

今回の症例は、病理検査結果がないことから確定診断はできませんが、臨床的には炎症性乳癌に合致する所見です。炎症性乳癌に対しては効果的な治療法がないのが現状であり、個人的にもピロキシカムがこのように効果的だったことは経験がありません。

転移性、浸潤性の高い乳癌にはピロキシカムが作用するCox2の発現頻度が高いとの報告があります。

ピロキシカムの効果に対して期待を感じた1例です。

2010-02-02 18:25:45

高分化型皮膚肥満細胞腫切除7ヶ月後に脾臓型肥満細胞腫を発症した猫

テーマ:肥満細胞腫

15歳の猫の皮膚に2年前より存在した小腫瘤が急速増大したため、細胞診を行い皮膚肥満細胞腫と診断した。

血液検査、画像検査では異常は認められず、腫瘤の底部筋膜を含めた拡大切除を行った。

病理組織検査の結果は高分化型の肥満細胞腫であり、切除マージンにも腫瘍細胞は認められなかった。


その後、再発も認められず非常に元気に過ごしていたが、術後7カ月目に元気・食欲消失で来院した。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-肥満細胞血症

血液検査では非再生性の貧血が認められ、末梢血中に肥満細胞を散見し肥満細胞血症を発現していた。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-脾腫
また、腹部超音波検査では腫大した脾臓を確認し、脾臓型の肥満細胞腫の発症が疑われた。


一般に腹腔内に発生する肥満細胞腫は予後が悪いが、脾臓型肥満細胞腫の場合は肥満細胞血症を発現していても脾臓摘出により比較的長期のQOLの改善が認められることが多い。


残念ながらこの症例はオーナーの了解が得られず、その後急速に全身状態が悪化して亡くなった。


このような全身性の肥満細胞腫の治療に新たな可能性が開かれつつある。

近年、犬の肥満細胞腫において遺伝子治療薬の利用が注目されている。

グリベック(メシル酸イマチニブ)という薬は従来の抗がん剤と違い、がんの原因分子に選択的に作用する分子標的薬である。選択的に作用するために、従来の抗がん剤に比べて格段に副作用が少なく効果的である。

c-kit遺伝子の変異が認められる肥満細胞腫ではグリベックが効果的である。

最近になり猫での報告も出始めており、期待されている。

2009-11-13 10:55:46

切除困難な犬の後肢端に発生した線維肉腫に対する放射線治療の効果

テーマ:放射線治療


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-のん全身像


のんちゃんは9歳雌のゴールデンレトリバー。

左後肢端の甲の部分に急速増大するしこりに気づき動物病院にて切除手術を行いました。

術後の病理検査の結果は線維肉腫。切除マージンまで腫瘍細胞は達していましたが、これ以上の切除不能であると告げられました。オーナーは治療の選択肢を求めて来院されました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-術創術後1週
術後1週の初診時、術創の一部に癒合不全が認められましたが元気、食欲は良好で、明らかな再発・転移所見は認められません。

しかし、このままおけば局所再発する可能性は極めて高く、進行すれば脚を使えなくなるだけではなく、遠隔転移も起こし命にかかわってくることが予想されます。

そこで今後の治療の選択肢とその利点・欠点を提示いたしました。

①断脚手術

利点:一回の治療で局所の腫瘍を根治させる可能性が最も高い。

欠点:体重の重い大型犬では機能障害により生活の質が落ちる可能性がある。

②放射線療法

利点:治療による器質的な変化なく、局所の腫瘍を効果的に抑えることができる。

欠点:複数回の全身麻酔が必要。放射線障害のリスク。

③化学療法

利点:全身療法なので遠隔転移を予防する効果あり。

欠点:局所再発を抑える効果は弱い。

④以上各治療の組み合わせ


オーナーは断脚手術をしない範囲でなるべく元気に長生きしてほしいとの希望から、②放射線療法と③化学療法の組み合わせを選択されました。

放射線治療は麻布大学附属動物病院で高エネルギーX線照射を週1回、合計4回行いました。
ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-リニアック


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-術創XRT終了後
4回の放射線治療終了後、術創は癒合していますが、照射部位皮膚の軽度腫脹と発赤が認められます。

一般状態は良好で初回の化学療法を実施しました。

遠方から来院されるため、抗がん剤は重度の副作用が出ない範囲でカルボプラチンを使用しました。

腫瘍の抑制効果と消炎効果を兼ねて3日に一度のピロキシカムの投与も併用しました。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-XRT後1か月

放射線治療終了1ヶ月後、照射部位の脱毛は認められますが、皮膚の発赤は消失し痒みや痛みも認められません。


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-XRT後3か月
放射線治療終了3ヶ月現在、局所の発毛が認められ、再発・転移所見もありません。

ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-のん正面

現在も3-4週に一度の、カルボプラチンによる化学療法とピロキシカムを継続しています。


2009-09-15 18:54:01

骨肉腫を克服した愛ちゃん12歳のバースデー!

テーマ:骨肉腫


ペットの「がん」 ―レオどうぶつ病院腫瘍科―-愛ちゃん12歳
骨肉腫を克服したラブラドールレトリバーの愛ちゃん。

術後4年10か月の検診に来院。

今日は12歳のバースデーでした。

毎日元気に近所をパトロール。

小学生たちの人気者です。


2009-08-31 12:54:28

前立腺周囲嚢胞を疑う腹腔内巨大腫瘤の外科切除により尿漏れが改善したビーグル犬

テーマ:腹腔内巨大腫瘤
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