ここに来て。
くまの安定感というか、持っているものはかなりすごいと思ってる。
くまは、本当に訓練の賜のような子で、
一緒に何かをやっていて、すごく気持ちいい私の自慢の犬になった。
初めて大先生のところにくまを連れて行ったとき。
くまと私の関係も、くま自体も犬として壊れていた。
私は、くまが壊れてると言う事に気がつけなかった。
ただ、どこかお互いがおかしい事にだけは気がついていた。
その頃、大先生が「犬を壊すことは一瞬で出来る。けど、それを治す事はかなり難しい」
と私に言っていたが、それが自分に向けられた言葉だとは思ってもいなかった。
私がくまを壊しちゃったのだと気がついたのは大先生のところに通い始めてからだ。
私は長々犬を飼ってきたけど犬を真剣に考えることは無かった。
無知とは、暴力なのだ。
そんな私に大先生はよく・・・
辛抱して、つきあってくれたものだなと。
本当に壊れたくまを治す事は困難な事だと思い知る。
ましてや、彼は深刻な目の病気を抱え、視野が効かない。
諦めちゃえば簡単だった。
けど、そうしてしまったら、なけなしのくまとの絆すら失ってしまうと私は感じ、
そして、くまとは、本当に決裂したりしながらすごくぶつかり合いながらも。
それでも、今が1番いい。
今のくまと私に対しては。
大先生は、本当に勝つためのトレーナー。
やっと、大先生が本来のその位置で先生が活躍できる時が来たとも言える。
くまとの関係に怯えなくなった。
そこからが、真のスタートだったんだと思う。
11月3日の競技会では。
出来るだけの事をやってきたいと思う。
それで、充分だと思ってる。
訓練競技が、たんなる点取りで無くて楽しくなってきた。