子宮内膜症シリーズです
子宮腺筋症については
今後別にアップしますので
しばしお待ちを

あと告知もう一度

12月18日発売
腐女子な私が母親に!



この書籍内で
コラム執筆を担当致しました
作者のなきりさんから頂いた
素朴な質問に対し
コラムでお答えする内容です

是非是非
応援よろしくおねがいします


さて

ここ数回で
子宮内膜症について
解説してきました

1)子宮内膜症とは
  子宮内膜細胞が
  子宮内以外に存在する病気

  http://ameblo.jp/kyusan0225/entry-12101675239.html

2)根本的治療は
  手術療法である

  http://ameblo.jp/kyusan0225/entry-12102778559.html

今回は

子宮内膜症の手術以外の治療方法は
一体どんなものがあるの??


にお答えします

子宮内膜症は
お腹の中の子宮内膜細胞が
生理に関連するホルモン(命令)
に反応してしまい

炎症を起こしたり
子宮筋を過剰に収縮させてしまう病気


という事は
内服による治療方法は
至極簡単

生理を落ち着かせる
もしくは来させなければ良い!


という事になります

そんなに簡単な話なの?


と思うかもしれませんが

実はそんなに
難しくありません

生理を制する者
婦人科疾患を制する!!


です

生理が起こる仕組みは
非常に複雑かつ精密です
その仕組みをちょっと崩すだけで
無月経状態を作る事は可能です

そして
その逆も然り


無月経状態から
薬剤によって
擬似的な生理を作る事も簡単です

実は婦人科の日常診療の
半分近くは
生理を何かしらの方法で
操る事で治療を行います

例)
生理を伸ばしたい
→中用量ビルでホルモンを一定期間維持する

避妊したい
→低用量ピルで排卵を妨げる

月経が来ない
→中用量ピルによって内膜を成熟させ
 擬似的な生理を起こさせる

生理を落ち着かせたい
→低用量ピルで内膜を薄くする

閉経に持ち込みたい
→大量にホルモンを使用し
 脳の命令系統を麻痺させる



例をあげたら
キリがありません

では
子宮内膜症で
生理を落ち着かせるためには
実際には
どんな方法が
あるのでしょうか?

治療法の前に
まずは生理のホルモンの仕組みを
ざっとおさらいしましょう

脳 :社長 卵巣(社員)に命令を出す
卵巣:社員 社長の命令に従って卵胞を育て
   排卵をさせる
黄体:排卵後の卵胞が変化し
   プロゲステロン(黄体ホルモン)という
   子宮内膜に作用するホルモンを産生
   14日で消失する


Step1)排卵を目指して脳と卵巣がやりとりする
まずは脳から卵胞刺激の命令が出されます
FSH:卵胞刺激ホルモン

これを受けると卵胞が成熟し
卵胞ホルモン(エストロゲン)が作られます

エストロゲンの役割
作用1)脳にもっと命令(FSH)を出してと
    要求をする
  2)子宮内膜を厚くする  


Step2)脳から排卵の命令が下される

LHサージと呼ばれる現象です
この命令を受けて
卵巣は排卵を行います


すると排卵後の卵胞は
自動的に黄体になります

すると自動的に
14日間プロゲステロンを
産生し子宮内膜を安定化させます

Step3)黄体の消失と生理の開始
黄体は自動的に消失し
プロゲステロンも消失します

すると子宮内膜が子宮から剥がれ落ち
生理という現象が起こります

これが生理が起こるステップです
ポイントなのは

排卵が起こってからは
自動的にその後のホルモン産生が起こり
排卵から約14日後に
生理という現象を認める

という事です

そのため
生理をコントロールするための
内服治療方法は

排卵を何かしらの方法で
制御するものが殆どです


言い換えると

正常な生理を
起こさせないためには
排卵を抑制すれば良い!


という事になります

ここまで理解できたら
子宮内膜症の進行を遅らせるために
使用される薬の
具体的な説明をします

1)低用量ピル
薬価:3,000円程度/月
副作用:血栓症(特にタバコ吸ってると❌)
    肝機能障害
    不正出血
    吐き気・むくみ・乳房の張り

    
低用量ピルとは
エストロゲンとプロゲステロンが
少ない量で含まれる薬剤で

最初からエストロゲンを
一定量体内に存在させるために

生理の仕組みStep1の
脳と卵巣の間の

卵巣:もっと命令(FSH)くれ!
脳 :だったらエストロゲンの
   産生量をもっと増やせ!


のやり取りを
起こさせなくする事により

LHサージを起こさせなくする
=排卵が起きない状況を作る
=正常な生理を抑制する


という作用を
引き起こすことができるものです

生理までの総エストロゲン量も
結果的に少なくなるため
子宮内膜が厚くならない
=生理痛や月経量も少なくなる


という一石二鳥の作用があります

そのためピルは
・避妊(排卵しないから)
・無月経
・過多月経
・月経困難症


と言った
幅広い疾患に
広く使用されます

ただピルには
血栓症をはじめとした
特徴的な副作用があるため
注意が必要です

詳しくは
ピルのメルマガ登録へ

さて
子宮内膜症の治療薬には
2008年に発売された
比較的新しい治療薬があります

2)ジェノゲスト(ディナゲスト)
薬価:10,000円程度/月
副作用:不正出血(70%程度)
    吐き気
    乳房の張り


この薬は
プロゲステロンと
同じ様な作用を持ちます

プロゲステロンを補充することによっても
脳や卵巣のホルモンを抑制する事が出来
排卵を起こさせない様な働きを持ちます


さらにこの薬剤の特徴なのが
子宮内膜症の細胞自体にも作用し
内膜細胞の縮小を認める

という点です

つまり
卵巣嚢腫等が
小さくなる事がある


という事です

副作用として
70%程に不正出血を認める点が
不快感を感じやすい所ですが

その他の副作用は
ピルと比較してマイルドで
非常に使い易い薬剤です

ただし値段は高め!

ピルの約3倍


値段を理由に
使用を断念するケースも
結構あります

さらに
同じ様な薬剤ですが
子宮内に挿入して
数年間持続的に
効果を発揮する方法も
最近は使われます

3)ミレーナ
薬価:8,000円程度/3-5年
副作用:ディナゲストと同じ


子宮内避妊用具(IUD)という
子宮内に留置するタイプの
道具にディナゲストと似た薬剤が
塗られている器具です

ミレーナ説明サイト
⇩⇩

https://www.mirena.jp/index.html

子宮内に留置する事で
持続的に薬剤の効果を発揮します

なんとその効果は
数年間に及びます


最近は様々な疾患に
保険も適応され

8,000円程度で挿入でき
数年間交換が必要ありません

非常に経済的でもあります

困る点は
ディナゲスト同様
不正出血
を認める点と


IUDが挿入後
自然に外に出てしまう事がある

人によっては
子宮内に物を入れている事への
抵抗感がある事

等です
未だミレーナは
積極的に使用している施設も
少ない印象がありますが

今後もっと
使用されるかもしれません

最後にもう一つ
生理を完全に止めて
閉経状態に持ち込んでしまう!

という治療方法があります

注射や点鼻薬による
治療方法です

4)GnRha:リュープリン(スプレキュア)
薬価:10,000円程度/1回 (計6回)
副作用:最初の数回 月経量や生理痛の増悪
    その後   更年期症状


GnRhというのは
FSH(卵胞刺激ホルモン)を
産生する脳下垂体
のさらに上にいる
視床下部
という部分から作られるホルモン

FSHをもっと作りなさい
という命令にあたります

この注射による治療は
GnRhaを大量に投与することによって
脳下垂体を麻痺させてしまう
という方法で

結果的に生理が
起きない状況を作り出す
治療方法です

以前の記事で解説していましたね
是非参考にして下さい

生理を止める薬?
http://ameblo.jp/kyusan0225/entry-12038826742.html
http://ameblo.jp/kyusan0225/entry-12041496833.html

これらの薬剤は
閉経が近い年齢や
手術の前処置
に使用されます

長くなりましたが
子宮内膜症の内服治療は
ざっと説明して
このような方法があります

皆さんの年齢や
妊娠希望等
経済状況

なんかを考慮して
どれがベターかを
よく考えて
生理をコントロールします

難しい話が多い記事ですが
いかがでしょうか?

今度はいよいよ
子宮腺筋症
の解説します!



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