産婦人科の世界に入って、5年以上経過しました。



周りの人からは

『こんな忙しい科に行って大丈夫?』

とか

『新婚なのにあまり奥さんとあえて無いんじゃない?』


とか色々心配されますが・・
なんとか大丈夫です(^_^;)。


今となっては他の科で働いているところは自分でも想像できませんが


こんな僕も昔は内科志望だったんです。


今日はなんできゅーさんが産婦人科をやる事を決めたのか?
をお話しします(^^ゞ




今から7年前僕は臨床研修医という立場でした・・


現在の制度では、医師免許を取得した後は
2年間色々な科を周って研修をしなくてはなりません。


研修制度については賛否両論ですが
僕は色んな科で色んな事を学べたし



そもそも研修制度が無くては産婦人科にすらなっていなかったので
僕にとっては良い制度だったのかなと思っています。



そんな僕はもともと手術が大嫌いでした。


なぜなら
何年もたたないと術者になることができないし、


一つの患者さんに沢山の先生が入っていて、遠くから見てもなんにも見えない、
時間も長いイメージしか無くてどうも好きになれなかったのです。




2年間の研修期間のうち後半は自分の好きな科を選択できるのですが
手術が嫌いな僕はほとんど内科系を選択していました。



産婦人科を回るのは2年目の本当に最後の方だけでした。
その時の産婦人科のイメージってあまりいいものではありませんでした。



当直は沢山あって、お産はリスクが高いし、
学生時代に勉強したホルモンの勉強はてんで理解できなかったし。




そんな僕のターニングポイントはなんだったのかというと・・・




わずか自分の2つ年上の先生が超緊急の帝王切開術で
お母さん、赤ちゃんともに助けたのを
目のあたりにした事でした。




研修医制度ではオーベンという、それぞれの科で決まった先生について
色々な事を教えてもらいます。




産婦人科期間中の僕のオーベンは2個上の男の先生でした
同じ大学出身でしたし、仲良くしてくれる先輩といった感じでした。


自分が内科志望という事を話してあったのですが
本当に熱心にいろんなことを教えてくれました。



そんな産婦人科での研修をしていたある日
分娩進行中のある赤ちゃんの心拍が急に低下しました。



分娩進行中の妊婦さんのお腹には赤ちゃんの心拍数を拾う装置を付けていて
ずっと赤ちゃんの心拍が音で聞こえてきます。




ほんの少し前まで1分間に140回も心臓の音が聞こえていたのに





急に心拍数が60回まで落ちてしまいました。






実際にその音が聞こえてくるので




ぞっとするくらい心拍数が急激に落ちていくのが
研修医の僕にも分かりました。




戻らない心拍・・・


オーベンの先生は緊急帝王切開術を決定しました。




それからはあっという間の出来事でした。



赤ちゃんの安全を守るためには緊急帝王切開を決定してから
30分以内に赤ちゃんを娩出する必要があります。




手術室に連絡して


不安そうなお母さんに手術の説明をして


緊急手術の準備をして




あっという間に手術室に到着しました。



すぐに麻酔がかかり




『緊急帝王切開術開始します』


手術室に僕のオーベンの声が響きました。



それからはあっという間・・・



開始からわずか2分で赤ちゃんが出てきました。




そして・・・


『オギャー!オギャー!』




赤ちゃんは元気に泣きました




『よかった、泣いた』




僕のオーベンはほっとした表情で一言・・・




次の瞬間にはまた集中してあっという間にお腹を閉じ始めました。




『手術終了です。ありがとうございました。』




わずか30分の出来事でした。




手術が嫌いだった僕がその間一瞬たりとも
術野から目を離すことができませんでした。



帝王切開の手術はびっくりするくらい単純な手術です。
手術時間も30分程度で終わるとても短い手術です。




でもそんな手術が
赤ちゃんとお母さんを助けることが出来る。




しかもその手術を行ったのはわずか2つしか歳が変わらない先生だった。


衝撃的でした。
それからはどんどん産婦人科に興味がわいていきました。




1ヶ月の研修期間が終わってまた内科を研修している時も
なぜか産婦人科を回ったことが忘れられませんでした。



しかし自分が入局する科を決める時までわずか1か月もありませんでした。



それから毎日毎日悩める日が続きました。




頭に浮かぶのはネガティブな事ばかりでした。

当直が多い

訴えられる確率が高い

男の医者の方が不利


ネガティブな考えは簡単に浮かんできます。



でもなぜか・・・



それでも産婦人科をやってみたかった。


その気持ちが抑えられなかったのです。





そこで産婦人科のオーベンに相談しました。


すると

『うれしい!俺が一生面倒見てやるから一緒にがんばろう!』


と言われて一発で産婦人科になることを決めてしまいました。




その後研修期間が終わる直前に
当時入局宣言をしていた内科の先生に挨拶をして
産婦人科入局を宣言しました。




当時の内科のオーベンもとてもいい人(今でも師匠の一人です)でしたが
快く送り出してくれました。(このエピソードも機会があったらお話しします(^^)/)




これが僕が産婦人科になった時のエピソードです。
自分の事を話すのは少し恥ずかしいですね(^_^;)


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