高齢者のよくわからない幻覚とメマリー | kyupinの日記 気が向けば更新

高齢者のよくわからない幻覚とメマリー

高齢者で、一見、「レビー小体病」っぽい幻視がある。

また、薬剤由来の精神症状の可能性が高いと思える場合。

しかも、その薬が止められない時。


リエゾンでは、たまにこういう場面に遭遇する。例えば、何らかの免疫疾患でステロイドで治療中とか、抗癌剤を続けている時である。

本当はいったん薬を休止したいところだが、それはできない。減量も内科的に不適切なケースである。

身体的に重い薬も処方し辛い時、メマリーが良いことがある。

ある高齢のお婆ちゃんは、「部屋の中に動物が入ってくる」といつも訴えていた。訴え方だが、深刻さがなく、むしろニコニコしている。動物はいつも同じ種類だが、日本では日常、見ない動物である。

また、顔は見事なほどムーンフェースである。(満月様顔貌)

また、彼女の精神症状はステロイドによるユーフォリアのようにも見える。

アリセプトは心臓にも胃にも悪いので少量だったとしても使い辛い。ましてステロイドを使っているような時は。

こんな時、メマリーを5mgだけ使うと、いつのまにか動物がいなくなることがある。つまり、幻視が消失するわけ。問いかけると、「最近、○○は見ないですね」などと言う。

これが5mgだけで消失するので非常に助かる。レビー小体病の幻視にはたぶんメマリーは治療的である。しかし、この場合はレビーとは言わないだろう。

「レビーに似た症状精神病に効く」といったところか。

(彼女は認知症ではないが、メマリーのテーマがないため便宜的に認知症のテーマに入れている)

参考
メマリー