サインバルタ脱カプセル | kyupinの日記 気が向けば更新

サインバルタ脱カプセル

サインバルタは20mgと30mgカプセルしか剤型がない。添付文書には20mgから開始し、1週間以上の間隔を空け20mgずつ増量するようになっている。

医療現場では2週間経って良さそうなら、一応、増量しても良いかな?といった感じであろう。サインバルタは60mgまで処方可能なので、朝30mgカプセルを2つ飲む人は最高量ということになる。

サインバルタの副作用では5%を超えるものとして、

①倦怠感
②傾眠、頭痛、めまい、不眠
③悪心、口渇、便秘、下痢、腹部痛、食欲減退
④GOT、GPTの上昇
⑤トリグリセリド上昇


などが上がっている。

頻度の高い順に挙げると、
①悪心(36.6%)
②傾眠(31.0%)
③口渇(22.9%)
④頭痛(21.0%)
⑤便秘(13.9%)
⑥下痢(11.8%)
⑦めまい(10.9%)


などである(以上、10%を超えるもの)

重大な副作用、例えばセロトニン症候群、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、痙攣、重度の肝障害、スティーブンス・ジョンソン症候群などは頻度がずっと低い。たいてい、頻度不明と書かれている。(痙攣は0.27%)

このようなことから、最初にサインバルタを使ってみようかと思うとき、10mgだけ処方するのは、たいして効かなかったとしても悪くない選択だと思う。

いつかも書いたが、「精神科にかかったら、いきなり副作用で大変な目にあった」というのは避けたい。初診時の精神科医療の心証を良くしておくのはその人の予後を左右する。

そういう理由で、僕は初診時にSSRI、SNRIいずれも処方することはない。(転院の人は別)

サインバルタは10mgカプセルが発売されていないので、仕方なく脱カプセルして細粒で処方する。サインバルタは細粒の大きさが比較的あり、脱カプセルしても安定しているようには見える。一方、アモキサンなどは脱カプセルできない。また抗うつ剤ではないが、インヴェガも半錠という処方は不可能である。

新しい抗うつ剤、リフレックスも割れば半錠投与可能だし、サインバルタもなんとかなる。(この時期だと、長期保存が効かないかもしれないが・・)

さて、サインバルタ10mg分処方し次回受診時に「少し良い感じ」と言う人で、副作用がさっぱりといってよいほどない人は、次に20mgカプセルを投与する。このような感じで増やしても、結果は変わらないと思うよ。

良くなる人はこれで良くなるし、合わない人は合わない。

だいたい10mg処方して著しい不快感や発汗(冷汗というべきか)、不愉快な気分、あるいは希死念慮が増悪する人には、それ以上、続ける気が起こらないから。

イーライリリーと塩野義が10mgカプセルを発売しなかったのは謎だ。

日本人は、とてつもなく向精神薬に弱い人が稀ではないことを理解していない。

参考
野茂英雄
ペスト
1人目女性患者さんについて