近所のおじさん(4) | kyupinの日記 気が向けば更新

近所のおじさん(4)

トピナは気分安定化薬なのか?(3)」の続き。

子供の頃、近所にある家族が住んでいた。その家の子供たちは20歳代だったので、たぶんその「おじさん」は50歳まではいかない年齢だったと思う。

そのおじさんは珍しい経歴の持ち主だった。彼は今までに3回事業に成功し、その度に豪邸を建てていたらしい。ところが、必ずその事業は失敗に終わるのである。

3度とも必ず成功するのだが、やがて破産状態に至る。全く家族は大変である。

たまたま事業が上手くいっていた時期に子供が大学を卒業したので良かったと言う話も聞いたことがある。

彼の事業の様子をよく聞くと、その失敗にはある必然があるように思われた。そのおじさんは、ある日、事業への熱意を失い、部分的アパシーに陥るのである。そうして放漫経営になり、酷い浪費をし会社が傾く。

そして倒産である。

今から考えると、彼の事業の失敗は本人の性格というより、バイオリズムに深く関係しているように見える。なぜなら雌伏の時期を過ぎると、やがて復活し再び事業に成功しているからである。

やはり、ある種の才能があると言わざるを得ない。

事業を立ち上げ、軌道に乗せるまでは熱意を持ってするのだが、それを長期に維持する持久力のようなものが結果的には欠けていた。

ほかに問題があるとすれば、彼が雇用している社員や社員の家族の生活である。人生と言っても良い。

バイオリズムでヤル気がなくなるのは良いとして、積極的に潰れるような放蕩を繰り返すのはあまりにも従業員のことを考えていない。(想像力に問題がある)

つまりアパシー状態になると、そういうことはもうどうでも良くなるのである。(全く考えていないわけではなかろうが・・)

そのおじさんは雌伏の時期はよく散歩をしていたような気がする。

道で会ったとき挨拶すると、いつも機嫌よく話しかけられた。だから、酷いうつとかそういう状態ではなかった。ああいう悲惨な時期にあのように明るい人も珍しいと思う。

うつとアパシーは全く異なる病態である。これを見分けられないような人は精神科医とは言えない。

参考
初対面の人には話せるんです