醜形恐怖、顔の片側の腫れ、エネルギー | kyupinの日記 気が向けば更新

醜形恐怖、顔の片側の腫れ、エネルギー

最初に書いておくが、今日の記事は真面目なエントリである。

ある女性患者さんが想像妊娠し、臨月まで腹があたかも妊娠したかのように膨れていった。彼女は統合失調症であった。

そうして出産予定日になった。

その日以降、速やかにお腹が小さくなり、普通の腹に戻った。僕は彼女の巨大な腹には空気が入っていたような気がしている。(彼女はこの間、ずっと入院していた)

このように、ある「妄想」や「奇妙な認知」が実際に生体に影響を及ぼすことは、時々目撃する。

ある若い女性患者さんは醜形恐怖がみられていた。彼女によると、顔の片側が出っ張るよう膨れているという。

良く見ると、彼女の言うとおり、確かに顔の片側が腫れているようにも見える。だから、彼女の言うことは妄想でもなんでもなく合理的にも思われる。

しかしよく観察していると、その考え方が間違っていることに気付く。

一連の事件の順番が違っている。彼女は醜形恐怖が存在し、おそらく「ソジーの錯覚」の文脈に出てくる「認知の歪」がみられていたことが重要である。

ソジーの錯覚のある人に「なぜ偽物と見破れるか?」と問うと、

パーマのかかり方が微妙に違うのでわかる。

などと答えたりする。

つまり存在しないはずの「微妙な相違を感じ取る」ことからスタートするのである。

しかし、その思考にはある種の器質性エネルギーが存在している。だから生体に影響を与えるのである。(普通、内因性エネルギーより、器質性エネルギーの方がずっとパワーは上である。内因性エネルギーは散漫になりやすくまとまらないから。)

醜形恐怖の女性患者さんは、そういう思いがあるから、その結果、顔が本当に腫れたと考える方がずっと合理的なのである。

実際、彼女をアナフラニールの点滴で治療すると、翌日にはかなり不安感が消え、顔の片側の腫れも消失した。これは上の想像妊娠の話となんら変わりがない。

精神科では良くわかっていないことなどたくさんある。

今回のエントリを全面否定する人はサイエンスをなめていると思う。

参考
美容整形でのお手伝いを妄想・・