エビリファイの液剤の量が多い理由 | kyupinの日記 気が向けば更新

エビリファイの液剤の量が多い理由

エビリファイの液剤が発売されてしばらく経つが、メチャクチャに高価な上に、そこまで鎮静的な薬でもないこともあり、あまり精神科病院に採用されていないような気がする。だいたい、エビリファイ自体が採用されていない病院もあるし。

エビリファイはオレンジ味の透明な液体で服用しやすい液剤になっているが、価格以外の欠点があるとすれば、量が多すぎることであろう。

3㎎=3ml
6㎎=6ml
12㎎=12ml


12mlのでかさなどは絶句である。

この「量が多すぎる」理由だが、たぶん大塚製薬が味を良くしようとしたことによる。元々、エビリファイの味は良くないらしい。だから、オレンジの味を付けた上に量を多くして、その味の難点を誤魔化そうとしたと思われる。だからあんな風な剤型になってしまったのである。

実際に服用している患者さんによると、オレンジ味で、少しピリッとした感覚もあると言う。だから純粋にオレンジ味ではない。ただ、このピリッとした感覚がオレンジ的でもあり、それに気付かない人もいるみたい。総合的にみると、味付けの出来栄えは相当に良い。

以上の考察から、やはり大塚製薬は少し頑張りすぎて、製薬会社らしくなかったのかもしれない。

大塚製薬はカロリーメイト、オロナミンC、ポカリスエット、ファイブミニなど大衆向けの栄養薬品~商品を作り続けた歴史があり、やはりその持ち味が十分に発揮されていると思う。

ただ、そういう歴史があるために、エビリファイの味付けに気合が入り過ぎて、量を犠牲にしてしまったといえる。(量が多くなることに鈍感すぎた。オロナミンCなんて随分量が多いし)

エビリファイに中途半端に変な味をつけ、量を少なくして売り出すことに耐えられなかったと思われる。まあプライドの問題であろう。ここが製薬会社的ではないのである。

ある意味、大衆栄養ドリンク会社の良心とも言える。ちょっとズレてるけど。

それに対し、ヤンセンはリスパダールの液剤を堂々と妙な味付けで発売し、「あれはグレープフルーツ味です」と言って平然としている。ここが製薬会社っぽいのである。

先発品のリスパダール液の小さなプラボトルは相当に利便性が良く、量もコンパクトになっており、グッドデザイン賞も貰ったと聞く。味を犠牲にしたが、それ以外を上手くまとめたと言えるだろう。

だいたい、患者さんは薬なら味が少々まずくても飲んでくれるものだ。アモバンを見るとそれがわかる。伝統的に「良薬は口に苦し」という諺もあるくらいなので、ヤンセンはそのあたりの計算もあったものと思う。

参考
エビリファイ内用液発売
セレネース液とリスパダール液
リスパダール内用液と飲料水