治験、そりゃダメだろ、というやつ | kyupinの日記 気が向けば更新

治験、そりゃダメだろ、というやつ

新しい向精神薬の治験は、製薬会社が精神科病院に依頼してやっているようだが、ある程度、治験に時間がかけられるほどのマン・パワーがないと引き受けられない。うちの病院はこういう依頼が過去にあったが、すべて断っている。

大きい病院、あるいは病床が少なくても外来患者が多く医師が多い病院では、治験を積極的に引き受け、もちろん報酬があるので、利益の1つの柱にしているところもある。

治験は患者さんとの契約の上に成り立っているので、勝手に未発売の薬を処方されることはない。なかなか良くならず、新規向精神薬にかけたいと思う人もいるので、そのようなタイプの病院は患者さんにもメリットがあるとは言える。

僕のある患者さんで、リスパダールが合わないとわかっているのに、リスパダールのデポ剤の治験をされた人がいる。

しかし・・
これには色々な問題があるような・・

まず、普通、リスパダールで病状悪化する人は、デポ剤だと良かったというケースは非常に珍しいと思われること。つまり、最初から悪化するのがわかっていて処方するという倫理的な問題。しかもデポ剤なのですぐにはやめられない。(←重要)

これは僕には出来ない。

一方、そのような人を省いて治験を進めると、若干バイアスがかかる面がある。(リスパダールが合っている人ばかり選んでデポを使ったら、そりゃみんな良い結果がでるだろう・・みたいな。)

その女性患者さんに、リスパダールのデポ剤の治験の結果はどうだったか聞いてみた。

それは、大変でした・・

まあ、これは普通の結果がそのまま起こった感じだと思う。

本人や家族が最初から断るのは可能なので、ドクターだけの責任ではないと言う考え方もあるかもしれない。しかし、統合失調症の人はそのあたりの判断力が十分に保たれていないので、そのような主張は良くない。だいたい薬については素人なんだし。

参考
リスパダール・コンスタ