2週間ごとの通院 | kyupinの日記 気が向けば更新

2週間ごとの通院

僕の外来患者さんは2週間ごとに来る人が多く、1週間や1ヶ月ごとの人もいるのはいるがそう多くはない。これは習慣であって、患者さんの希望で2週間になることが多い。長い経過のうち、良くなったので1ヶ月にすることはあるが、僕から言い出すことは少ない。これは過去ログでもどうも書いたことがある。(何度も同じことを書くようになったら人間終わりだ)

ところが、僕がお手伝いに行っている病院は、引き継いだ時はほとんどの人が1ヶ月処方であった。その理由を考えるに、やはり医師不足であろう。2週間に1度だと、外来人数が多すぎてやっていけないのである。

その病院では僕は1ヶ月だけでなく、多くはないが2ヶ月や3ヶ月ごとの人も診ている。半年ごとの人もいる。いつだったか、デパスだけ処方している統合失調症の女性患者さんなどは4ヶ月に一度しか来ない(参考)。かつては通院間隔の制約は主に睡眠薬であったが、今年度から1ヶ月処方が可能になったので、1ヶ月通院に移行しやすいのである。

これは精神病院協会なども要望を出していたのでそれが認められた形であるが、結果的に医療費の削減になるので、今となっては厚生労働省も望むところであったと思われる。

僕は外の病院で、1ヶ月処方で問題がない人たちはそのままにしたが、もう少し短い期間に診察すべき人は2週間に変更した。一応、精神科の診察は2週間間隔が基本と思うからだ。

過去ログで出てくるジプレキサ20mg処方だった少年は、ジプレキサザイディス10mgに変更しているが、今や完全に幻聴が止まっているという。この患者さんはずっと1ヶ月処方であったが、ある時、僕が診察する日が都合が悪くなり42日目に来てもらおうかと思った。彼は過去にそのようなケースで、2週間後の診察を頑として受け入れなかったからだ。ところが、僕からそう言ったら2週間目に来ますと言うので、変われば変わるものだと思った。ジプレキサやパキシルはかなりの長期の投与が可能な薬なので、そのような長い期間にも対応できるのである。(参考

たまたまうちの病院の近くに住んでいた女性患者さんは、前の病院で1ヶ月処方だったが、うちの病院では1週間ごとに通院するようになった。概ね良いがどうも波があって、良かったかと思うと調子を崩す繰り返しであった。ここ数ヶ月に限れば調子の波がかなり減ってきたと思う。(参考)この人は今はクレミンとリスパダールを処方しているが、ロナセンは大失敗であった。1週間目に来るので、悪い時はすぐに対応できるのがメリットである。この人が病状改善したのは、通院間隔の変更も無関係ではない。(この人のジプレキサを諦めた理由は過食、肥満のためである)

僕は初診の日に次の受診日を決める際、1週間後が最も多いが、週の前半の初診の場合、土曜日に診察をする週では土曜日にすることも多い。ごく稀に1週間後に本人が受診できないとか、時間が経って診てもあまり変わらないと思う時は2週間目にすることもある。いきなり1ヶ月にすることはまずない。というか、患者さんがびっくりするって。

ごく稀に、初診日に薬を処方せず、その後もずっと処方しないまま、治療を続ける人もいる。診察の時にお話をするだけ。僕みたいなタイプの精神科医はそのようなことをしそうにないように見えるだろうが。

この人は当初思っていたよりずっと良くなり、診断やその考え方も非常に面白いのでいつかエントリとしてアップしたい。本人が薬を飲みたくないと言ったので、それに沿ったのである。もし許されるなら、おそらくデプロメールを処方していたように思う。この人は処方をしないので、次の診察日に必然性がなく、話し合いでその都度決めたが、ほぼ2週間ごとであった。これを見ても診察の基本はやはり2週間なのだろう。その時、改めて感じたのである。

僕はたとえ短い時間でも「診察する」という行為に意味があるような気がする。特別なことをしなくても。

ある患者さんはノリトレンを主体に治療をしているが、ほぼ良いけど完全ではない。その人は「診察に来た日だけはとても調子が良いんですよ」と言ってくれる。

リエゾンや外の精神科病院での診療を通じて、そのような無形な治療の意味をなんとなく理解するようになったのである。