謎の質問とその背景についての考察 | kyupinの日記 気が向けば更新

謎の質問とその背景についての考察

最近、このブログもアクセス数が増加しているのもあり、いろいろと変な人たちが訪れるようになっている。まず、「3人の不登校」から、この質問と僕のレスをみてほしい。

■不登校とドグマチール
はじめまして。現在25歳の娘は、中学1年の秋から不登校になり、中学2年の5月に近所の精神科のお医者様に、統合失調症だと思いますと言われました。その根拠は、娘が学校で、周囲の人から悪口を言われるとか、母親の作る食事に毒が入っているのではと心配になると、そのお医者様に打ち明けたからです。そして処方された薬が、ドグマチールでした。5年間位、そのドグマチールを飲ませましたが、状態が悪くなって、その後、病院を2箇所変わり、セロクエル・ジプレキサを経て、セレネースになりました。2番目の病院の頃から、家庭内暴力ガ出るようになって、H17年1月に、ついに入院になりました。現在は、再入院中です。今から約12年前、最初のお医者様に統合失調症だと思いますと言われた時に、何も解からなくて、娘にずっとドグマチールを飲ませ続けた事を、悔やんでいました。先生の記事に、ドグマチールの事が書いてあったので、コメントさせてもらいました。これからもよろしくお願いします。
マメコロ 2008-02-20 22:00:58 [コメント記入欄を表示]

■>>マメコロ
>>現在は、再入院中です。今から約12年前、最初のお医者様に統合失調症だと思いますと言われた時に、何も解からなくて、娘にずっとドグマチールを飲ませ続けた事を、悔やんでいました。

これはちょっと考え方がおかしいと思います。なぜかというと、ドグマチールは統合失調症も有効な薬物だからです。徐々に悪化したのは、中学生の時に発病した人は予後が悪いことがやはり大きいと思われます。

中学2年生の時にどのような治療をしたら良かったかは、今は検証できませんが、少なくとも、その後にジプレキサやセロクエルで不調に終わり、セレネースになっていることを考慮した場合、たいていの治療ではかなり難しかったと考えます。

ドグマチールはうつ状態にも幻覚妄想にも効果があり、また脳に対し比較的侵襲が少ないように見える薬物なので、若い人にはわりあい使われている薬物です。今、まだ25歳と若いので良い方法はあるように見えます。
kyupin 2008-02-20 22:52:51 [コメント記入欄を表示]


■ご意見伺えたら嬉しいです。
お返事ありがとうございます。そして、ごめんなさい。当時は、ドグマチールの処方で良かったのですね。

2006年の10月から、娘は再入院となっていますが、多剤大量の処方で、夜も、寝付けない日があるようで、主治医も頑張って頂いてますが、もう少し、薬の整理をして頂きたいなと思っています。現在の処方を書かせて頂きますね。

ソフミン錠         200mg/日
リスパダールOD錠   12mg/日
トロペロン錠        12mg/日

アキネトン錠        3/日
バレリン錠        600mg/日
バルネチール錠   1800mg/日
ルーラン錠        48mg/日
ロドピン錠        200mg/日
カマグ           3袋/日
センナル錠        7錠/日
サイレース錠       2mg/日
チスボン錠        20mg/日
ラキソペロン錠      7錠/日
ワイパックス錠      3錠/日
テグレトール錠     100mg/日
ハロマンス注       2mL 月一回
フルデカシン筋注    75mg 月一回


エビリファイは、興奮しやすい娘には、合わないと主治医から言われています。
重複している薬があるように思うのですが、kyupin先生のご意見が伺えたらとても嬉しいですm(_ _)m
マメコロ 2008-02-20 23:37:02 [コメント記入欄を表示]

このマメコロ氏の質問だが、最初の僕のレスに続き、すぐ上のような質問をしている。これについて今日は考えてみたい。はっきりいって、こういう下らないことでエントリを消費したくないのであるが、ここで取り上げておかないとやがて収拾がつかなくなるような気がするので、あえて特集を組んだ。

まず、このマメコロ氏の娘さん(25歳らしい)の処方を見てほしい。これははっきり言って多剤大量処方である。しかし僕の目にはあまりにもリアリティがないように見える。これは一般の人にはわからないと思うので解説したい。

普通、多剤大量と言っても、プロの精神科医がした場合、それとなくわかる調和みたいなものがあるのだ。僕はこの処方を見たとき、なるほどと思った。おそらく、プロの精神科医の多剤大量は、基本的に「消極的多剤併用」だからであろう。これは過去ログでも出てきている。そういう色合いみたいなものが処方に出てしまうのである。これは「分類不能の発達障害」から、

リスパダール 2mg
テグレトール 200mg
リーマス100  200mg
アキネトン   2mg
メトリジン   4mg
リズミック   1T

セレネース 3mg
ヒルナミン 50mg
バルネチール 100mg
ベゲタミンA    1T
ユーロジン 2mg
リボトリール 0.5mg
メトリジン    2mg  (コントミン換算475mg)
他下剤。


この処方は確かに多剤併用だが、なんだか焦点がぼけていて何1つ最高用量が処方されていない。僕はこの処方について確かに多剤併用だが、あまり悪い評価はしていなかった。(過去ログ参照)。消極的だけに、患者さんへの「申しわけなさ」が見て取れるのである。僕はこの処方の一見アマぽいところに、かえってプロフェッショナルを感じる。

あとマメコロ氏の娘さんの処方だが、赤で示した薬が一般的な最高量である。ここがいかにもアマチュアに見える。精神科業界では、抗精神病薬の最高量なんてあってないようなものだ。一番上のソフミンはレボトミンのジェネリックだが、書物的な最高量はなぜか200mgまでになっている。この200mgはほとんど周知されていなくて、こういう多剤併用をする人なら、200mgまでで止めるはずがない。というのは、レボトミン200mgはリスパダールの2mgにしか相当しないからだ(上限の決め方が変と言う意味)。

僕はトロペロンはよく使う薬だが、真に重い長期入院中の人には18mg使う人もいる。もちろん併用薬もある。この薬も12mgという数字はあってないようなものだ。

つまりプロなら、こういう風にぴったり最高量の薬物を7つもアホみたいに並べずに、特定の薬を最高量を超えて使い、他の薬は最高量より下の量で並べるという感じになることが多い。実際、僕が他の病院に診察に行ったときに、リスパダール14mgとかそんな風な処方を良く見た。これがプロっぽいのである。プロはマメコロ氏の処方のように、剛速球で何本も投げ込まないのである。

最大のおかしいところは、なぜかアキネトンが3錠なこと。こういう多剤併用になると、やはり薬理的に釣り合いが取れない。だからこれほどなら、アキネトンは6錠入れてあって、なおかつアーテンなど3錠から6錠くらい併用されていることが普通だ。そうしないと副作用でやっていけないから。この処方はここだけですべてのリアリティがなくなっている。

やはりプロの多剤併用はそれなりに調和があるというか、完結しているのであろう。

あと、付録。上のマメコロ氏のレスの最後に、「エビリファイは、興奮しやすい娘には、合わないと主治医から言われています。」これって、精神科医でもあんがい周知されていないと思うよ。かなりエビリファイの処方経験がないと、こういう風にさらっと言えない。ということは、この処方はけっこうエビリファイを処方する医師がしているという話になる。そういう医師はこの処方はしないね。まず間違いなく。だからこの部分は、マメコロ氏の個人的な知識なんだと思う。

僕はこの処方を見て、コントミン換算を計算しようかと一瞬思ったが、バカらしくてやめた。この処方はアマチュアが考えた架空の処方だからだ。

では、マメコロ氏はこのような一連の質問を、なぜ創作してまでしたのか?という疑問に行き着く。最初から、もう一度マメコロ氏の質問を読んでみよう。最初のパラグラフは、不登校から統合失調症と診断されてドグマチールを長く飲んでいたのに悪くなったという話だ。これには僕は普通にレスを返している。このドグマチールが挙がっていることは、そのエントリの不登校に対するドグマチール処方の疑問、不満なんだと思われる。これはドグマチールに不満と言うより、明らかに僕個人への不満だ。

そのあと、ジプレキサ、セロクエルでの処方で不調だったというのは(実際どんどん悪化してしまったという口調)、僕がこの2つの薬を高評価していることへの反発だと思う。間違いなく、そういう心理が見て取れる。

その後、ドグマチールが敗因だったという感じになっているが、この文章の流れ自体も一般の人が読んでも相当におかしい。最終的にセレネースに変わったと書いているのに、出ていないし。(ハロマンスは出ているけどね~)ちゃかり、ルーランが48mg入っているのには思わず笑ってしまった。

そして、「ご意見伺えたら嬉しいです。お返事ありがとうございます。そして、ごめんなさい。当時は、ドグマチールの処方で良かったのですね。」というバカ丁寧さ。不自然さが爆発していると思う。

こういう自分の家族の処方を挙げて、その内容について質問をするときは、「なんとか助けてほしい」という切実さが出る。そういうのはこのブログの過去のコメント欄でいくつも出ているし、例えば、taniyanさんのレスでも読んでほしいと思う。彼には「娘を置いては死ねない」といった感じのリアリティがにじみ出ているから。(参考

マメコロ氏のこの質問は、あまりにも他人行儀で切実さがゼロなのである。

マメコロ氏の真の意図だが、僕が生意気なので、このようなやりとりで何か困らせてやろうとか、やりこめてやろうと言った感じなのだと思う。例えば、りすさんの、

■まめころさん
メールを送りたいのですが メルアド載せていただけないでしょうか。
適当に取ってください。
あとこれでは娘さん かわいそうです。
りす 2008-02-21 07:54:13 [コメント記入欄を表示]


こんなレスを呼び起こして、いかに多剤大量処方が横行しているかこのブログのレス欄で盛り上げようとしたのかもしれない。どうみてもこの一連の質問は僕に対し悪意があり誹謗中傷に近いと思うよ。

こんな風になった原因だけど、

■無題
>抗精神病薬は 患者の人生を 左右する
本当に そう思います。
誤診 ご処方が 多く 問われているにも
関わらず 一向に埒が明かない わが国の
精神医療事情  5年も その状態が 続けば
慢性患者になると 言われてます。
つくづく 恐ろしい事だなと 思います。
ノア 2008-02-18 00:10:38 [コメント記入欄を表示]

■無題
抗精神薬・・・・ほんまに 精神病の改善に 役に立つのでしょうか?いくら 世の中 進歩したと
いえども 精神を変える薬なんて 不可能と思う。
でも 脳の病気として 開発されたいくつかの薬 
とりあえず ないよりは マシ程度。
何が アカンかって 世の多くの精神科医の
不勉強さ!!ロクに 話も聞かずに すぐに
統合失調症だのの診断・・・・そして 多量多剤投与・・・・患者を 沈静化させることで よしとする診断。せめて 少量処方から 様子を診て 副作用の事を 感知しながら 何故 各々の病状を 把握できへん・・・・・プロやろうが~でも 現状の医療なら 仕方なしで すませらへん。
人生を 左右させらるのやから いつかは もう
黙っていないかも・・・・・精神医療事情 肝炎の薬害性のように いつかは 公に 訴える日が来るかも。障害者としては 差別なり 偏見のある精神障害 でも いつまでも 沈黙で 医療のいいなりになるとは ・・・・・・なめたら あかんで~

緑 2008-02-18 02:38:17 [コメント記入欄を表示]

■>>緑、ノア

あなたたちは、基本的に精神医療を誤解している。このブログを一通り読んでみることをお勧めします。 

このブログの中でも出てきますが、統合失調症だからどうだというのはないのです。従って、「統合失調症」なのか「統合失調症様状態」なのかは大きな問題ではありません。また、この2つでは治療もほぼ変わらないし、誤診したとしても経過や結果はあまり変わらないからです。それほど精神科薬物は対症療法的だということです。

真の大きな誤診と言えるものは。例えば、ヘルペス脳炎をヒステリーと間違うことなのだと思う。

まず、精神医療に対する他罰的姿勢を改めないと、家族も良くなるものも良くなりません。

参考
http://ameblo.jp/kyupin/entry-10067039989.html
kyupin 2008-02-18 18:41:53 [コメント記入欄を表示]


■>>きなこ
>>リスにする前は、ジプを2年ほど飲みましたが最悪でした。不眠がひどくなるし、体は重いしで、一日中寝転がっていました。 

これは、結果論に過ぎません。
どちらが良いかはその薬の絶対的な良し悪しではなく、個人差なのです。僕はジプレキサでの大きな悪化についても過去ログに書いています。
kyupin 2008-02-18 18:46:12 [コメント記入欄を表示]


このブログの読み方について」の中での僕の2つのレスが気に入らなかったのだと思う。たぶんマメコロ氏は、ここで僕が諫めた人たちの友人ではないかと思った。このブログで、ここまで長文を書いて僕を困らせる時間があったら、もう少しプラスの方向に生きてほしい。(僕の心をこめての希望です)