PC代替と近未来。 | 境界線型録

境界線型録

I Have A Pen. A Pen, A Pen Pen Pen.

 

 昨夜は異常なほど眠くTKOしたが、今夜も眠い。日記後すぐ眠りこんだのに、午前一時半に目が覚め、それから三時間近く眠れなかった。五時近くまた寝入り、今朝は八時起床。まだ眠かったけど、生活のリズムが乱れるとイケないので就労準備に入った。午前は昨日仕入れてきたPC代替機のセットアップ。まだ本格始動にはならないだろうと考えていたけれど、ボーッとしつつも就業体制にしていたのは正解だった。いきなりラッシュ模様になってしまったから。が、それはさておき、昨日の補足をしておこう。


 もう十年くらいノート型にしているので、またちっこいノートにしようと思っていたが、ソフマップを眺めると意外に高額だった。中古ならあるかなと調べると、Windows10ものはけっこう安価のが揃っていた。が、どうも気乗りしないので、Windows8くらいにしておこうと探すと、どうしたわけか、10よりも8の方が高額だった。んーと、いつものように悩んだ。
 結局決められずヨドバシカメラを眺めたが、琴線に触れるものはなし。チラッと怪しげな中古屋を覗くも、意に適うものは皆無。
 以前は最新OSのアウトレットものに激安が多く出回っていたが、どうも変化が起きてきたらしい。
 今日の代替機決定は不可かなと思いつつビックカメラへ足を向けた。かなり小規模な店舗なので無理だろうと諦め気分だった。やや不調になってきたとはいえ、まだ今のノートは生きているから、今回は調査ということで良いだろうと、物見遊山で立ち寄ったのだった。なにしろPCの横で酒を売っていたりするし、売り場面積も小さめだから、まず無いだろうし。
 基本的には、無かった。
 が、奥のオーディオ関係売り場でカセットテープをデジタル音源化できる小さなラジカセにばったり出会し、ややッと興奮した。昨年からそれが欲しくて、昔みたいなラジカセが無いかなと思っていたのだった。超小型のものはいくつか出ているのは知っていたが、できればスピーカー付きでAC/DC二電源に対応しPCを介さずUSBやSDに放りこめるのが欲しかった。ソニーとか東芝か忘れたがそういうものを出しているけど、ちょっと高額で散財する気になれない。が、そこで目にしたものは、スピーカーは一個だけの小さめだが、ラジオ付きで側面にはUSBとSDのスロットがあった。これだッと雀躍した。しかも、価格は税込四千円ちょい。一気に機嫌が良くなった。
 というのは、暮れに超大掃除をしていて、秘蔵の音源を発掘したせいだった。高校生のころ、文化祭でやったライブのダビングテープで、マスターテープは紛失したけど、確か半分くらい残されていたと記憶している。昨秋、米子から来た同級生と呑んだとき、「あのテープ、探して送ってくれよ」としつこく頼まれたのでなんとかデジタル音源化して当時のメンバーたちに贈呈したいと思っていたのだった。
 で、ラジカセ購入は即決。けれど、ラジカセを買いに来たのではないから、一応PCも詳しく見分して帰ろうとPC売り場へ戻った。
 これが運の尽きだった。

 『展示品』と金赤で記された平べったい物体に目が止まった。現品処分である。
 あれ、これって、いつか目にしたぺったんこPCじゃないか、と気になった。価格を見ると、一万四千八百円だった。うむ、激安系だな、とスペックを眺めた。すると、CPUはいまのノートに遜色なく、メモリは四ギガで、HDDが三百二十ギガ、無線LANもBluetoothも搭載で、無線キーボードとマウスもセットだった。
 ゲゲッと悩んだ。ノートと思っていたけど、ディスプレーはあるし、ノートはキーボードが壊れやすくてたいてい四・五年で代替してきたから、いっそこういうやつの方が安上がりじゃないか。DVDなどもないけど、キーボードに次いで壊れ安いのがDVDなので、外付けの方が合理的じゃないか、と。十五センチ四方で厚さは二センチくらい。ポケットには収まりそうにないが、腹巻きになら収まるくらい小さい。これなら寅さんだって携帯できるじゃないかッ、とだんだん興奮してきた。
 かなり行ったり来たりしていて、そろそろ午後四時半になってしまったので、意志決定した。
 もちろん、帰路は、ぺったんこPCと小さめのラジカセが入った袋を手にしていた。
 

 そして、ようやく、本日の日記になる。
 ほぼ終日、ぺったんこPCのセットアップに費やした。この手はどんな商品でも簡単にできますというものだけど、時間はかかる。PCを立ち上げるだけなら小一時間もあればすむが、そうは問屋が卸さない。ネット通信環境を仕込み、平常使うアプリケーションをインストールし、あれこれ設定などして、旧マシンから百数十ギガのデータを引っ越しさせなければならず、何度やってもうんざりする。
 しかもショックだったのは、旧マシンと同等のスペックなのに、どうも動作が遅いこと。旧マシンはWindows7で、新マシンはWindows8・1だからいくらか速度改善されるだろうと踏んでいたのに、やや遅い。7同士なら性能比較して問題点を探ったりできると思うけど、8は7とまったく勝手が違っていて、使いにくく、なにをどうしたら良いのかわからない。同じブランドのOSなんだから、インターフェイスくらい似たようなものにしておけよと腹が立つ。どうも、8からはスマホみたいなインターフェイスにしたがったようで、使いにくくてしょうがない。7まではClassicという設定ができて違和感なく改変できたけど、8はいろいろ試してもそういう変更ができないようで、Windows7搭載の中古を探すべきだった、とちょっと後悔している。8でもClassic風にできるのだろうか?できるなら教えて欲しいが。どうも、できなそうな気がする。
 

 またも進化の耐え難い境界に衝突し、昨夜は倒れてしまったのだろうか。いや、昨夜はまだセットアップしてなかったので、ただ疲労と酔いでノックアウトしただけだろう。
 いまはもう新マシンを仕事に使える状態にしたが、使いたい気にならない。なぜ、馴染んできた使い方を捨てて、メーカーのお仕着せ的なインターフェイスにこの体や感覚を適応させなければならないのだろう?と不思議かつ不愉快に感じる。旧弊愛好家の私としてはWindows98のインターフェイスのままで充分と感じているのに、年々面倒臭いことに適応せざるを得ず、不快でしょうがない。Classicの仕組みすら未完のままなのに、インターフェイス自体を変えてしまうなんて異常としか思われない。同じインターフェイスで性能を極限まで突き詰めて限界に達したなら、新たなインターフェイスへの模索があって良いと思うけど、なんだか、ただコロコロと変化して、ユーザーに無要の努力を強いているだけとしか思われない。スマホが誰でも楽々使えると評判だから、スマホ的インターフェイスを目指したのだろうか。なんとかストアなんて、アップルやグーグルの真似をしたり。マイクロソフトは、もう限界に達したのかな。いや、まだ10とかも出しているから、よく判らないけど。
 

 PCのお仕着せ環境はインターネットの普及でもはや如何ともし難く不快なレベルに達した感があり、広告は間抜けなマーケティングという名の押し売りに溢れている。テレビやラジオというメディアはまだ一方通行だったので、消費者が自己意志の元にアクションを起こさなければセールス不可だったけど、ネット界ではちょっとしたタップミスも商売成立に運んでしまいかねず、守銭奴のためのツールに成り下がったようで実に気持ち悪い。こんなにも便利で役立つツールだというのに、商魂がどんどん腐らせていくのか。世界中のいろいろな人々がボランティアで鍛え上げてきて、いまでも頑張っているというのに、ビジネス界がそれをムシャムシャ食い漁り、次から次と不快な存在にしていくようでうんざりする。
 経済や金融の論理が、憧れの二十一世紀を蝕み尽くすという感じだろうか。
 けれど、それは営為として発生するのではなく、一部のセレブが意図して操作するのでもなく、ただこの世の庶民大衆が生じさせる避けがたい現象に過ぎなかったりする。
 一パーセントのセレブを憎悪しつつ、アメリカの庶民大衆は、不動産王らしいセレブに国の未来を託した。私的には不思議な選択だけど、冷静に分析する人には当然の帰結だろう。
 新しいPCを弄りつつ、逆説的な『動物農場』みたいな感覚に襲われていた。IT系に関しては、すでにわれわれ庶民大衆は奴隷になったと感じる。奴隷の逆襲はあるだろうか?なんてことが、この後十年くらいの関心事になりそうな。