【なぜ生きる】 流した涙の一滴一滴が、真珠の玉となって戻るような生き方を | 本好き精神科医の死生学日記 ~ 言葉の力と生きる意味

本好き精神科医の死生学日記 ~ 言葉の力と生きる意味

「こんな苦しみに耐え、なぜ生きるのか…」必死で生きる人の悲しい眼と向き合うためには、何をどう学べばいいんだろう。言葉にできない悩みに寄りそうためにも、哲学、文学、死生学、仏教、心理学などを学び、自分自身の死生観を育んでいきます。


映画を観てきたこともあり、

最近また、よく「なぜ生きる」ということについて考えます。


この患者さんにとって、家族にとって、

命を延ばすことは、本当に喜ばしい事だったのか、

と、悩まずにおれないことは、少なくありません。


高齢化がますます進む中、

この問題は、一層深刻になっていく気がします。



■なぜ生きる

つらい思いをして病魔と闘う目的は、
ただ生きることではなく、幸福になることでしょう。

「もしあの医療で命長らえることがなかったら、
 この幸せにはなれなかった」
と、
生命の歓喜を得てこそ、真に医学が生かされるのではないでしょうか。

世の中ただ「生きよ、生きよ」「がんばって生きよ」の合唱で、
「苦しくとも生きねばならぬ理由は何か」
誰も考えず、知ろうともせず、問題にされることもありません。

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「もう少し病院においてもらえないでしょうか」

患者本人に言われることもあれば、

家族が仰ることもあります。


退院することは、本来ならば喜ばしい事のはずですが、

残念ながら、そうではない場合もあります


年は老い、身体は衰え、

トイレは近く、耳は遠く、

いつも一緒にいるほど、心は離れ、

かつての面影が、今の姿を余計みじめにさせる。


そこまでして、何のために生きるのか。

生きる意味を問わずにおれなくなります。



年老い、

病に耐えて、

やがて散りゆく命と知って、

それでも、生きる目的は何なのか。


「本当の人生の目的を達成したとき、
 一切の苦労は報われ、
 流した涙の一滴一滴が、真珠の玉となって戻るのです。」



この、「なぜ生きる」の一節にあるような、

そんな生き方をしたいものです。



映画も、もう一度観てこようかなと思っています。



映画館の情報などは、映画「なぜ生きる」のホームページにもあります。