戸倉の未成隧道5 | トリブログ

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とにもかくにも道が好き。
廃道と隧道、地形図と運転を愛する石井あつこが廃道のことを綴るブログです。
たまに温泉や着物、日常の話もするかも。

戸倉の未成隧道4の続きです。

橋台を過ぎると明治道もあとわずか。


だんだんと旧道が近くなってきます。
旧道が下に見えるようになると、旧道の擁壁に明治道は削られいくようになっていきます。


多少歩きにくくなりますが、少し我慢して歩くとまた平場が復活します。
このまま旧道と明治道(旧旧道)はゆるやかに合流するのかなぁと期待しますが…残念ながら、地図にはない無粋な作業道が旧道のヘアピンカーブ付近にあり、明治道を掻き消してしまいます。しょぼん。
ちょっと悲しい気持ちになりつつ、旧道に下りたつトリ。

さて、感傷に浸るのにはまだ早い。
まだ行きたい道がある。

旧道をまた県境に向かって歩く。10分ほどで戸倉隧道(鳥取県側)坑口に到着。
この近くに戦時中に工事着手したものの、未完成で終わった隧道があるという。それは見たい。
70年も山奥で一人ぼっちで眠る未成隧道に、ぜひとも会いたい。
なんとも例えようのない思いを胸に、トリはがしがしと山を登った。
砂防ダムを越え、道のない斜面を登り、カマドウマの棲む水路をくぐる、ちょっと休憩と背伸びして振り向くと、そこには人工的な平場が!
一方は広場になっていてすぐに行き止まりだけれど、もう一方は緩やかなカーブを描き続いていた。


手前の水たまりも、出来過ぎたセットのように不可思議さを増幅させている。
奥に見える漆黒の穴は自然のものではないことをアピールするように、コンクリートのアーチをむき出しにしていた。う、うつくしい。


続く