北欧ライフスタイル | ようこそ 家づくりの羅針盤

北欧ライフスタイル

湘南の空にもどんよりとした重い雲。


そして雲間から時折明るい日差しが筋となって落ちて来る。


ここを足がかりにして何やら神聖なものが降りて来るのではないかなどと想像を巡らせる。


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午後からは乾燥した大地を潤すような雨に恵まれそう。


海と山の境の城下町小田原でも秋が真っ盛り。


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海岸近くには色づく木々が少ないせいか秋本番というイメージは薄いのかもしれない。


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なんとか微速前進の成果を上げつつある住宅メーカーの小田原営業所。


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今日も半日課題のお客様への商談アドバイスに明け暮れる。


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一件の課題客様はインテリアに造詣が深く、北欧的なライフスタイルをイメージしているとのプロファイリング。


そう、最近若い世代を中心に同様のライフスタイルが顕在化してきている。


それはまさしく一時の流行だったシンプル・モダンの次にやってくるべき潮流なのだと思う。


私はスカンジナビアン・モダンと呼んでいる。


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スカンジナビアン・モダンはどういう背景から生まれたのか?


ミクロの視点では、単純なシンプル・モダンを学習し卒業してしまったという流れがひとつ。


そしてマクロの視点からは、長引く世界的な不況を背景に生活にもっと明るい色どりを摂り込んでいきたいという心理も加わって


いると考える。


生活者レベルでは北欧の雑貨やホームウェアそしてインテリアという順番で火が点いているのではないかと見る。


シンプル・モダンのようにブラック&ホワイトでは生命力が乏し過ぎる。


もっと優しくナチュラルで積極的なセンスがスカンジナビアン・モダンだ。

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限りある資源と自然を守ろうと言うエコロジーの視点。


無駄遣いをやめて価値の高いもの・ことに消費を向けようと言うエコノミーの視点。


バブルを作り出した団塊世代とは真っ向から異なる時代背景と行き方。


もちろん誰だって豊かな生活を望んではいる。


しかし現実の生活はそれを望むべき時代ではないことをメッセージしている。


団塊世代とは異なり、一家の主は職場の上司や同僚と酒を酌み交わし社会に愚痴るよりも、早く帰宅して家族との有意義な時


を積極的に楽しもうとする。


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まさしく北欧に生活する人が長い冬に閉じ込められて家の中での生活に重点を置く価値観に似ている。


そういう生き方を「巣籠り」と呼ぶ評論家もいる。


確かに、ゲームやマルチメディアにどっぷり浸かった世代だからそう呼ばれるのもいたしかたない。


しかし多くの評論家たちは、戦後アメリカ型生活スタイルをお手本として育った世代である。


「豊かさは美徳」である。


それが背景となる価値観である。


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大排気量の大型車を乗り回し、家族数の3倍の部屋数がある住居に暮らし、動物性脂肪をたんまりと摂取してメタボリックな


暮らしを享楽的に過ごす。


戦後、そういうライフスタイルを模範として来なかっただろうか。


そしてその日本のジュニアたちは不況と言われる社会の真っただ中で家族を作り子育てをしているのだ。


少子化の時代、そして晩婚化の時代を生きていると言われている。


彼らの視線が向かうべき方角はその両親の時代とは変わって来る。


ヨーロッパである。


その中でも最も模範とするべき世界が北欧なのだと思う。


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それはアメリカンドリームのような一攫千金的夢の生活では無く、真面目に働き社会に貢献をした分だけ充実した日々の暮らし


を地道に享受するべきではないかという考え方。


上り坂ばかり歩んできた親世代から見れば面白みが無く冒険心に欠けるようにも映るのではないか。


物的な豊かさよりも心の豊かさの方が彼らにとっては大切なのだ。


スカンジナビアン・スタイルは一時の流行では無く、今世紀前半の生活の下敷きとなるであろう潮流である。


日本人はかつてはアメリカを模範として生活の基盤を作り上げてきたように、これからは広く言えばヨーロッパ、的を絞れば北欧


諸国の社会的メカニズムを学習していくことになるであろう。


そしてシンプル・モダンはスカンジナビアン・モダンを止揚してヒューマン・モダンへと向かうと予測できる。


2年前の夏、そういう潮流の兆しなど気づくこともなく、デンマークとスウェーデンを旅して歩いた。


今年は北欧諸国への旅行者が倍増しているそうだ。


2年前にはそんなことも全く想定していなかった。


しかしシンプルに私は北欧の旅で学習した収穫が大きかったと自分を振り返って感じることが多い。


だからあらためて感じるのである。


日本の若い世代は北欧の人たちの価値観とライフスタイルに共感しはじめたのだと。


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日本人の美学に最も適合した植物が「桜」であるならば、北欧の人たちにとってのシンボルは「木の葉」である。


彼らの生活のそこここに植物の葉がモチーフとして生かされている。


人間は自然の一部であり、人は森から命をもらい、森に生きて森に帰っていくもの。


国土に占める森林率の世界第1位はフィンランドであり、第2位は何と我が日本国なのである。


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豊かな海洋資源に恵まれた日本は北欧の人たちの食文化と共通するものも持っている。


経済大国という看板を下ろしたとき、日本は福祉大国の看板を掲げることができるだろうか。


私は若い世代の感性にエールを贈りたいと思う。


なぜならば、いずれはこの国の将来は彼ら若い世代に託さざるを得ないのだから。


古い世代がこの国をおかしくしてしまわないうちになるべく早く次の世代に継承するべきであると。


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一件の若いお客様へのコンサルティングが大きく飛躍してしまったようである。


この辺でいい加減にやめておこう。


そうそう、ここからは本日のオマケの話。


アメブロを通じて知り合った glad さんから注文の品物が届いた。


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英字新聞?に大切そうに包まれた品。


目を凝らして見ると、英字では無く独語だった。さすが、良いセンス。


ドイツのタブロイド紙を梱包に使っているんだ。


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へえ~、VWはとうとうハイブリッド車を開発したのか・・・、やっぱりトヨタ組、などと見入ってしまった。


そして、届けられたのは、スウェーデンの陶磁器ブランド、グスタフスベリのベルサの角皿。


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glad さんのショップの在庫で前から目をつけていたところに、少し値下げをされたタイミングをみて購入してしまったもの。


1970年代に作られたヴィンテージ。


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ベルサ(Bersa : 葉っぱの意、スウェーデン語では「ベルショ」と読む。環境変化に敏感なブナの葉を模したものと言われる。)


デザイナーはスティグ・リンドベリ。


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Stig Lindberg (1916-1982)




またしてもデザイナーの仕掛けた罠に嵌ってしまった。


私にとっての北欧インテリアのスタートはこの葉っぱをモチーフにしたシンプルな形。


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グスタフスベリの田舎町のアンティークショップを見て回ったことが昨日のように思い出された。


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glad さんは、いま北欧への旅の途中。


ちょうどヘルシンキに到着したころだろうか。


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旅程にはストックホルム、そしてグスタフスベリも入っていると聞いた。


同じ道程を通過しながら何を見つけるだろうか。


私にはこのヴィンテージの角皿の中に北欧的ライフスタイルがギュッと凝縮されている。


そうそう、家人からはまたしても変人を見るような目線を送られてしまったけど。


このお皿に鯵の干物は合わないでしょって。そりゃそうだ。


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