「21世紀の歴史――未来の人類から見た世界」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界/作品社

¥2,520
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★★★☆☆


そこそこ面白かったですが、期待以上には予想の範囲を出ていない予測、という印象も。なんとなく物足りなさが残ります。2008年に出た本なので、当時としては結構先進的な予測だったのかもしれません。





以下、備忘


市場の秩序における9つの「中心都市」

ブルージュ(1200-1350)
ヴェネチア(1350-1500)
アントワープ(1500-1560)
ジェノヴァ(1560-1620)
アムステルダム(1620-1788)
ロンドン(1788-1890)
ボストン(1890-1929)
ニューヨーク(1929-1980)
ロサンゼルス(1980-?)

後背地に肥沃な農業地や大規模な工業地、港湾など交易のハブ機能、発達した金融市場、技術革新とクリエーター階級の集積、など共通点。



ニューヨークの次に東京が中心都市になる可能性もあった。工業力、テクノロジー、金融力、などがあった。しかし、金融システムの構造問題、労働市場の流動化や労働生産性向上ができなかったこと、世界中からエリートを集められなかったこと、交流インフラも見劣りしていたこと、などで条件満たせず。



カリフォルニアが中心都市であり続けるのは2030年ころまで。

高度な情報ネットワークの世界的な浸透で、人々は場所に依存しないユビキタス・ノマド状態に。カリフォルニアにはクリエーター階級が集まらなくなる。

さらに、不動産を基礎とした金融信用構造の崩壊で金融危機が勃発する(なお、この本はリーマンショック発生前に書かれている)。



ロサンジェルスを引き継ぐ10番目の中心都市は現れない。ネットワーク社会とノマド化で市場の機能は十分強力となり、クリエーター階級が同じ場所に集結する必要はなくなった。

地域や国に所属しない、超ノマドが台頭。暴力の分野では、国家の弱体化で海賊が勢力拡大。



最終的には、世界の調和を重視する組織が登場。超民主主義の実現に向けて活動するトランスヒューマンや、収益を目的としない調和重視企業が台頭。超ノマドの利己主義や海賊の破壊欲に立ち向かう。