「ノロに負けるな、新春もちつき大会」2017年1月9日 これからも餅の可能性を広げ続ける | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

広場に鎮座する姿は、子どもたちにイジられ、大人たちの格好のネタ的写真の被写体で、
ある意味、このイベントの顔(まさに!)的存在だった。
そのインパクトは、後々まで記憶に焼きつきトラウマになるような臼の顔。
新年、またこの臼がネタにされ、活躍する季節がやってきました。
お餅でここまで盛り上がれるなんて、面白いことが出来るなんて、一体今まで誰が証明したでしょう。

今年もまた、餅の可能性を深めるべく、準備を進めているところ、、、からの急展開。
2016年1月9日、小江戸蔵里で開催され・・・るはずだったのが、
第4回「小江戸蔵里餅つきまつり」。
広場にまた、たくさんの人が詰めかけ、子どもたちの歓声が響き渡る、あの光景が再現されるはず、だった。
川越で餅つきイベントと言えば、市民ならすぐに思い浮かべる、毎年1月の小江戸蔵里餅つきまつり。
蔵里の餅つきまつりの歴史は、2014年1月に始まり、
以後2015年、2016年と毎年1月に3回開催されてきました。

例年、来場者700人以上の人で賑わう、川越最大の餅つきイベントは、
搗いた餅は全て無料でプレゼントされるということで、毎回長蛇の列が出来ていました。
それに子どもたちに餅つき体験してもらうことも恒例で好評となっていました。
さらにこのイベントの凄いところは、単に餅を搗き、餅を振舞うだけのイベントでなく、
餅はもっといろんなことが出来るはず!という問題提起から、
餅つきの餅と言えば、きな粉餅やからみ餅、磯部焼きくらいでしょうという世間の風潮に異を唱え、
「餅はもっとできるはず」、
餅の可能性を広げようと、実行委員長の頭に降り注いだアイディアから、
いろんな味のお餅を考案、提供してきました。
このイベントで、初めてメープルシロップとお餅の組み合わせを堪能したという人もいたでしょう。
その陰には、広場に餅ラボを特設し、
「こんな味いいんじゃない?」
「これを組み合わせたら面白そう!」など、餅の可能性を探るべく、実行委員たちの涙ぐましい取り組みが行われていたのだった。
餅というだけでなく、あらゆる意味で、川越の斬新を更新し、可能性を広げてきたこれまで。

現場の餅つきの運営にあたっていたのは、川越を盛り上げようとする市民ボランティアたち。
自治会などの主催の餅つきとは異なり、市民有志が集まって、
蔵里と一緒になって開催していたという類を見ない形式の餅つきイベント。
ちなみに、同じく小江開催された「川越水かけまつり」も、この面々が運営しているものでした。
誰もやらないことをやろう、という信念を胸に、誰もやらない、誰も考えもしなかったことをここで実現、
その裏には、アイディアを受け入れてきた蔵里の度量の広さがあり、いいコラボレーションがありました。

今年もたくさんの人が餅つきまつりを待ち焦がれていたでしょう。
今年はどんな内容になるのか、どんな味の餅を開発するのか、
年が明けると街は餅つきまつりの話題に持ちきりとなっていた。
・・・が、しかし。
急転直下、残念な結果が待ち受けていた。。。
餅つきを巡る昨今の世間の風潮に抗えず、最後まで粘り強く開催の道を探っていた蔵里さんは、
断腸の思いで開催中止の判断を下した。。。

 

・小江戸蔵里ブログより

http://blog.livedoor.jp/koedokurari/archives/8770233.html

『小江戸蔵里 もちつき大会 中止のお知らせ
1月9日(月)に予定しておりました、「小江戸蔵里 もちつき大会」は、
近年流行している ノロウィルス などによる集団食中毒を踏まえ
中止させていただくことになりました。
昨今、マスコミ報道などでも、もちつきによるノロウィルス感染が問題になっています。
今回は、衛生対策に万全を期すために中止にさせていただくこととなりました。
何卒、ご理解の程よろしくお願いいたします。』

 

今の状況では致し方なかったかもしれない。
中止というのは今年はということで、今後のことは不明ですが、まだ道は残されているはず。
川越の餅つきイベントの灯を消さないためにも、今回は中止ではあっても何もしないわけにはいかないと判断した実行委員たちは、
餅つきを開催することを決行。ただし、場所を実行委員長宅に移して、

タイトルも「ノロに負けるな、新春もちつき大会」に変更しての開催とした。
規模はこじんまりではありますが、餅つきまつりの灯を継いでいこうと判断しました。
正確に言うと、変更というか、元の鞘に戻ったというか。。。
そう、振り返ってみれば、小江戸蔵里餅つきまつりというのは、
2013年、実行委員長宅でかつてない斬新餅つきイベントが開催され、その様子を記事にしたところ、
蔵里のイベント担当者の目に留まり「ぜひ、蔵里で餅つきをやってくれませんか?」という提案があり、
2014年1月から始まったものだったんです。
考えれば、原点に立ち返っただけであり、今までと変わらないもので、
ここからまた、いろんな展開をしていけるかもしれない。
餅の可能性はまだまだ未知数。
これからも餅の楽しさを追求していくことには変わりないと、意を決する実行委員たちなのでした。

 

朝までは雨か雪かという天気予報も、日中は暖かくなることが予想され、今年も天候は問題なさそうだった。
川越の福原地区、実行委員長宅の庭では、すでに竈が設置され、薪によって火が轟々と燃え盛っていました。

 

 


この竈が、まさに小江戸蔵里餅つきまつりで使用していたものであり、傍らには見覚えのある臼と杵も。
つまり、餅つきまつりの備品は市民ボランティアの持ち込みだったのです。
蓋を開けて中の水の具合を確かめる。よし、沸騰してきたみたいだ。
 

そして室内に目を転じれば、いろんな味の餅を作るべくラボと化したそこには、
子どもたちが定番のきな粉の準備に取り掛かる中、

パッと見、どんな味か想像つかないような味のレシピが。
斬新な餅を作ろうと、実験員たちが着々と進めていました。

 

 

 

 


一つ二つではなく、想像力溢れる味の餅ばかりをこんなに試すというのがさすがラボ。
実験員たちも口にするまではどんな味が分からない、未知との遭遇がここにありました。
一体どんな新発見味が見つかるでしょう。
想像の中では、どれも絶品なはず。。。

続々と集まってくる参加者、蔵里で出来なかったことに残念な言葉を口にしつつも、
餅つきの楽しさは場所に関係ない、ここでも川越一と謳われた勇姿を見せようと、やる気いっぱいなのでした。
この日は気温が高く、温暖な空気が流れていた。
竈の湯が十分熱くなっているのを確認すると、いよいよ、もち米を詰めたせいろを竈に載せる。

 

 

 

 

ここから一気に蒸かしていきます。
 

参加者の一人には、キックボクシング元日本チャンピオンで、
現在川越駅近くでキックボクシング「ビクトリージム川越」を構える代表の木暮さんの姿も。


ちなみにジムには、弟子の瀧澤博人選手が現在日本チャンピオンの座にあることは以前にも伝えました。

 

(「日本バンタム級チャンピオン瀧澤博人選手防衛戦に挑む」2015年8月30日ディファ有明

http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12069979502.html
 

また、実行委員長が通う川越のパン教室、「happybreadmaking」さんがトマトブレッドを差し入れしてくれ、みんなで堪能。

 

 

 

(「happy bread making」ウェスタ川越南公民館のパン教室

http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12053651786.html

 

沸騰する湯で強烈に蒸されたもち米が、もう十分だぞー!と主張するように、
香ばしい香りを辺りに漂わせ始めていく。その香りに誘われて竈の回りに人が集まる。
蓋を開けて、もち米をひとつまみ味見。
「もう十分蒸かされてる!いつでも大丈夫!」

 

 


周囲はざわつき始め、いよいよこの時が来たか、男たちが杵をがしりと手に握り締め、やる気みなぎる表情を見せる。
蓋を外されたせいろからは、熱々のもち米の煙が立ち上り、立ち込める。
蒸しあがったもち米はすぐさま臼に移され、まずは杵でしっかりともち米を潰す工程から。

 

 

「今年のもち米は柔らかいな!」
今まで蔵里では、蒸かし工程に悪戦苦闘していたので、今年の最高の蒸かし具合に喜びの声。
餅つきでは、この潰しが実は大事なポイントということをご存知だったでしょうか。
ここで十分に潰さないともち米が餅になっていかず、杵で搗いても時間がかかる。時間がかかると餅が硬くなってしまいます。
反対に、もち米がしっかり蒸かされ、潰しを入念に行うと、それで餅になってしまうくらい。
えいや!えいや!としっかりと潰して状態を確認すると、いよいよ、
男たちが杵を豪快に振り上げ、搗いていく工程へ、餅つきの華と言える部分です。
「ヨイショー!」と杵で搗き、合いの手を入れるように餅を返していく連携プレー。

 

 


毎年行っていているので、いつの間にかプロのような惚れ惚れする華麗な餅つきに達している面々、
これが、川越中心地で多くの人を魅了した技でした。

しっかりと搗き、
「もう十分、いつでも食べられる!」
という状態にしてから、最後の搗きには、子どもたちが小さな杵を手にしての体験タイム。
これを楽しみにずっとうずうずしていた子どもたちは、列をなして餅つきを楽しんでいました。

 


「いい仕上がりだ!」
搗き上がった餅は、すぐに室内ラボに運ばれ、様々な餅へと味付けされていく。
通常の餅つきでは、餅を搗くまでが最高の盛り上がりとなりますが、
このメンバーの餅つきは、ここからが面白いところで、本領発揮となる。。。
搗き手が華麗なら、切り分け、味付けの部門も華麗さもさすが。
この流れるような一体の連携プレーは、どこかのスポーツチームのような感も。

 

 


餅を小さく切り分け、いろんな味をまぶしていきます。子どもたちは、みんな大好き定番のきな粉餅のお手伝い。
たくさんの人が集まり、次々と、食べるまでは誰も味が分からない斬新な餅が出来上がっていった。
こんなにもいろんな可能性を試せるというのが餅の最大の魅力で、
どんな色にも染まる白という餅の色そのままに、
どんな味にも染まる餅という食べ物の底知れぬ奥深さ。その姿は健気ですらあります。


くるみ餅の味に、「意外にも美味しい!」、

「おお~!これも合う!」と、初めての味に感動する面々。
どんな味ともしっくり仲良くなってしまう餅の守備範囲の広さ、オールラウンドプレイヤーぶり。

餅つきは一回に終わらない、次のもち米はすでに竈で蒸かし上げられていて、
もち米は次の搗き手たちの登板を、煙を噴き出して催促しているようでした。
蔵里では餅つきを3、4回やっていたハードなものでしたが、今回は2回まで。
「いい感じに蒸かされてる!」
もち米が蒸かされるほんわかした煙は、人の心を柔らかくさせる力がありますね。
柔らかさを確認し、また搗き手の男たちが臼の周りに集結しました。

 


ここでももち米の潰しから入念にやってくことに変わりない、
粒だったもち米が力強い潰しで、どんどん餅になっていきます。
最初の餅つきで慣れた男たちは、さらに鮮やかな段取りで餅を搗いていきます。
「ヨイショー!:「ヨイショー!:
豪快な餅つきは、見る者を圧倒し、餅つきならではの活気が溢れる。

 

 

 

 


二回目もすぐに餅が出来上がり(なんというスムーズ!)、子どもたちも体験に満足し、ラボで餅の味付けがすぐに始まります。

次はどんな味・・・??
先ほどと同じではつまらない、好評だった定番のきな粉に背を向け、という
一般では考えられない采配を見せて進む実験委員たち。
まだ試していない味はいくつもある、開拓されていない未舗装の道を進んで行く一同。
西部開拓時代を彷彿とさせる勇気です。

 


出来上がったのは、バター餅。。。!(想像できるでしょうか!)
埼玉の人には馴染みがないでしょうが、実は秋田では昔から食べられて郷土菓子になっている地域があり、
食べてみると・・・なんとも合うのです。!信じられないでしょうが、誰がなんと言おうとも合うのです。
続いてラボが作り上げたのが、おっと、これはあの大人気商品の雪見大福ではありませんし、パクリでも何でもありません。
雪見大福風餅です。


しかし、中にクリームが入っているので、味は冷たいか温かいかだけの違いで限りなく同じ。。。
クリームが合うなんて、最初に試した人の功績はもっと讃えられても良いですよね。

次々と新作を発表するラボの勢いは留まるところを知らない、、、
想像力の羽は、一度広げたらどこまでも羽ばたくよう。
どんな味になるか分からないけどとりあえずやってみようというノリから、
いろんな食材との組み合わせと試していく面々。企業の商品開発部も真っ青の想像力です。

明太マヨ餅。

 

チョコ餅。

 

煎餅バーガー餅などなど。

 

途中、どら焼きの差し入れに訪れたのが、和菓子店「彩乃菓」の小島さん。

和菓子店の主としては、お餅と聞いて黙ってはいられない、応援に駆けつけてくれました。

 

餅つきをやりきり、餅を食べながらまったりする一同。
今年も餅つきも大成功に終わりました。
餅の味をこれでもかといろいろ試し、美味しい組み合わせをいくつも発見した実験委員。それでも。
一つ新たに解ったことは、
お餅はまだまだ底知れないということ。。。
試せば試すほど、餅の奥深さをさらに感じ、まだまだいろんなことができるはず、ということが解った。
たかが餅、されど餅、餅の可能性は広がっていくばかりです。
餅つきイベントの今後の展開にも注目してください。
またどこかで、この顔に出会えますように。。。