この日も川越の一番街は多くの観光客で賑わい、
風情ある蔵造りの町並みを楽しんでいた。
通りの一角から何やら木をカンカンカン!と叩く音が聞こえてくる。
鍛冶町広場が見えてくると、木のジャングルジムが出現していた。。。(!)
子どもたちが金槌を手に持ち、一生懸命木を叩いて組み上げていました。
出来上がったジャングルジムに登り、遠く町並みを見渡す姿があった。
2016年9月24日(土)、蔵造りの町並みが続く一番街の鍛冶町広場(川越市仲町4)にて、
第一回「川越の職人と手しごと体験市」が開催されました。
これまでの川越の文化を育んできた職人たちの技が
蔵のまちの中で体験できるという、かつてない画期的なイベントでした。
鍛冶町広場には、入口から奥までずらりと職人たちの体験ブースが並んでいます。
~出店職人~
《大工》
金物を使わない伝統的な木組みによるジャングルジム作り
鉋かけの体験と削り華を使ったフラワーアート (持ち帰り可100円)
《鍛冶》
5寸釘を叩いて和釘づくりの体験(持ち帰り可500円)
《木挽き》
前挽き大鋸(おが)を使って丸太挽きの体験
台切り大鋸を使ってなべ敷きづくりの体験(持ち帰り可200円)
《庭師》
竹の器を庭に見立て、ミニミニ庭造りの体験(持ち帰り可800円)
砂紋描きの体験
《瓦》
瓦葺きの体験と古瓦を使った箸置きづくり(持ち帰り可200円)
《家具》
木を削ってMY箸づくり(持ち帰り可500円)
川越では雑貨・ワークショップイベントは数多く開催され、
職人の技体験イベントもワークショップの括りになりますが、一つ一つの体験は他のどのイベントでも見られないものばかり。
他とは一線を画すイベントとなっていたのは、やはり、テーマが「職人技」だったから。
職人達自らが出店し、これだけの顔ぶれの職人が一堂に会したことは画期的で、
まさに夢の競演。
のみならず、職人自ら手本を見せ、手取り足取り教えてくれるというかつてないイベントでした。
職人技の体験イベントと聞くと、難しそう、と感じる人もいるかと思いますが、
あくまで楽しみながら職人の技に触れてみようという趣旨で、
自分で作ったものは持ち帰ることができるという部分は、他のワークショップイベントと変わらない。
「楽しいワークショップイベント」として来場しても全く問題なく、
その中で職人の存在と技を感じてもらえればイベントの目的は果たされていた。
落ち着いた風情の通りに、突如出現した賑やかさですが、
実はこれ以上一番街と相性良い体験イベントはないのでは?というくらい、一番街と融合していた。
このイベント内容と、そしてなによりこの場所とのマッチングが絶妙です。
会場となった鍛冶町広場というのは、一番街通り沿いにある広場で、
仲町交差点の近くにあります。
目の前に保刈歯科醫院さんや川越アートカフェ カフェエレバートさんのレトロモダンな建物を臨むことができる場所。
蔵造りの町並みの中で、それらを作り上げた職人達の技に触れるという体験の意味。
この場所がイベント会場になることは珍しく、毎年11月に行われる、食と音と灯りの祭典Kawagoe REMIXや2016年12月に開催された川越きものの日5周年記念イベント第1回「小江戸川越をきもので楽しむ日」など、数えるほどしかない。
広さはありませんが、一番街に面していることもあって通りすがりの人の入場が多く、
小さくてもコンセプトがしっかりしたイベントはピリリと届く、やりやすい場所とも言えた。
通りには、カンカンカンカン!と木を打つ音が響いてきます。
その音に惹かれて、足を止める人、面白そうなことやってると近づく人、自分たちも参加できるの?と加わっていく人、そして子供たちの数が増えて、またカンカンカンカン!の音が大きく鳴り響いていく。
蔵造りの建物に即して、それを分解するように職人たちの技ブースを見ていくと、
まず、木造建築は大工さんたちの技が発揮されて組み立てられたことを感じる・・・あのジャングルジムです。
《大工》
金物を使わない伝統的な木組みによるジャングルジム作り
鉋かけの体験と削り華を使ったフラワーアート (持ち帰り可100円)
入口から入っていくと巨大な丸太がお目見えする。それ以上に圧倒されるのが大鋸の迫力。。。
建物を構成する一本一本の木材は、木挽き職人が寸法に合わせて切り出していったもの。
《木挽き》
前挽き大鋸(おが)を使って丸太挽きの体験
台切り大鋸を使ってなべ敷きづくりの体験(持ち帰り可200円)
その横には、こちらからもカンカン!と音が聞こえてくる。五寸釘を叩いている音でした。
《鍛冶》
5寸釘を叩いて和釘づくりの体験(持ち帰り可500円)
さらに進んでいくと、建物を引き立てるような庭造り体験。
一番街の蔵造りの建物には中庭を持つところがいくつもある。細道を進んだ先に、こんな素敵な庭園があるなんて!というのは、まさにそういうこと。
《庭師》
竹の器を庭に見立て、ミニミニ庭造りの体験(持ち帰り可800円)
砂紋描きの体験
蔵造りの建物は瓦葺、そこには瓦職人の存在があります。
《瓦》
瓦葺きの体験と古瓦を使った箸置きづくり(持ち帰り可200円)
建物が出来上がったら生活が始まる。日々の暮らしにかかせない家具にも職人の技が生かされている。
《家具》
木を削ってMY箸づくり(持ち帰り可500円)
場から発せられる空気が独特。
その雰囲気は、職人達が仕事着そのままで集まっているという非日常感から生まれているのではないか。
蔵造りの町並みに職人たちの姿が映え、職人達の佇まいに蔵造りの町並みが映える。
独特で、同時にこんなにしっくりくるものはないようだった。
(いろんな職種の職人が集結している有り得ない空間!)
川越のまちづくり活動を進めるNPO法人川越蔵の会は、
先ほど触れた2016年11月の「食と音と灯りの祭典Kawagoe REMIX」でライトアップオブジェを制作していたり、
2016年9月の川越氷川神社「ご縁市」では、 お箸づくり体験!、リメイクスツール、伊勢型紙ポストカード、手拭いの販売を行いました。
2016年夏の川越氷川神社縁結び風鈴では、「縁むすび風鈴まちなか」の1つとして、蓮馨寺の境内に光のオブジェ「ごえんの樹」を制作・設置。
(蓮馨寺に設置された「ごえんの樹」)
今回のイベント会場である鍛冶町広場に設置した「結縁橋(ゆいえんきょう)」も蔵の会が中心となって組み立てたものでした。
(川越氷川神社「縁結び風鈴と縁結び風鈴まちなか」一番街に出現させた巨大ライトアップオブジェ
http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12189046367.html)
これに例年には、「時の鐘の除夜の鐘」運営もありましたが、
今回は耐震工事のため行われませんでした。
また、一般的には、毎年GWと7月の川越百万灯り夏まつりの時に、
蔵の会事務局となっている本町の長屋を開放して「長屋BAR」をオープンしていることがすぐにああ!と思い至ってくれるかも。
ビールや川越産農産物などを使った食をつまみにした交流の場は、毎回大好評を博しています。
(2016年本町の長屋「長屋「BAR」)
川越産農産物と言えば、夏に蓮馨寺で開催している川越Farmer’s Market会場の設営・撤収の支援も蔵の会のメンバーがしてくれている。
いろんな催しに関わり、支援している蔵の会ですが、
意外にも今回の職人の技体験イベントのように「主催」となるのは少なく、
それ故に、主催した職人イベントには並々ならぬ思いが込められていることが分るでしょうか。
鍛冶町広場に広がる職人仕事の体験風景に、もしかしたら「あること」に気付く人もいたかもしれません。
あ、これはあのイベントと同じものなんだ、と。
確かに、同じ職人の技体験はこれまで別のイベントの中で開催されてきました。
そうです、毎年10月に行われている「アースデイ・イン・川越立門前」です。
いくつかの会場に分かれていたあのイベントの中で、
川越織物市場会場で蔵の会が行っていたのが、職人の技体験だったのです。
(「アースデイ・イン・川越立門前2015」10月4日蓮馨寺・熊野神社・旧鶴川座・旧川越織物市場
http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11632764077.html)
これまで職人の技体験は、アースデイの中の一つの催しとして行われてきましたが、
これは独立させて発信しても良いのではないか、話し合いが重ねられ、
自ら主催となった一個のイベントとして独立させたのが、今回のイベントだった。
また、木のジャングルジムは、
つばさ館で開催されている「エコプロダクツ」でも体験でき、
いろんなピースを一ヵ所に埋め合わせたのが「川越の職人と手しごと体験市」でした。
(「エコプロダクツ2015」8月2日環境プラザつばさ館
http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12057981974.html)
よりそのものの意味、訴えたいことを理解してもらうには、場所というのは重要。
職人が一堂に会するイベントの場所に選んだのは鍛冶町広場。
この場所に思い入れがあるからこそここであり、
やはり、蔵造りの町並みを臨むことができるこの場所が最適だった。
職人の技の粋が籠められた蔵造りの建物をすぐ横にしながら、
職人の技を体験することができる、この関連性こそこのイベントの肝でありました。
職人の技を体験することで、蔵造りの建物というのはこういう技が注がれていると感じることができ、職人にしても自分達の技を知ってもらう機会となる。
この場所だからこその相乗効果がありました。
木のジャングルジムを組み上げる子どもたちの背後に、職人達が組み上げ、作り上げた本物の建物があるということ。
蔵造りの建物は、遠くから見ているだけでは本当の凄さが分らないかもしれない。
そこには数多くの職人達の技と知恵が注ぎ込まれ出来上がっている、つまり、人がいるんです。
作った人と技を感じられるイベント、こんなにも蔵造りの建物、町並みを
深く感じ、楽しめるイベントは一番街で初めてのことだったかも。
鍛冶町広場にはひっきりなしに人が訪れ、
全てのブースが常に埋まっているという盛況ぶりが続きました。
この日は午後から生憎の雨になってしまいましたが、
それでも、広場に入ってくる人の波は途切れることなく、終始ブースは賑わっていました。
場所柄、通りすがりの人が開催を発見して参加してみるというパターンが多かったよう。
子どもだけでなく大人の参加が多いのが目立ち、時間をかけてじっくり作り、楽しむ姿が見られました。
一番街で一番街を深く感じられる体験イベントに、最高の川越体験!と喜ぶ声があちこちから上がっていた。
確かに、これ以上の川越体験イベントはそうそうない。。。画期的な第一回開催でした。
最後は、華麗なる職人たちの職人仕事の姿を。
「川越の職人と手しごと体験市」は2017年も開催される予定です。
今回は観光客の参加が多いようでしたが、やはり、地元の人にも体験してもらいたいもので、
川越の人こそこういう趣旨のイベントは好きかもしれません。
他にも蔵の会の活動はいろいろ展開していくので、お楽しみに♪