「サニーサイドテラス」佐々木彰子さんストーリー | 「小江戸川越STYLE」

「小江戸川越STYLE」

「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 

2014年3月22日に開催する第一回「KOEDOアジアフェス」。

雑貨部門に出店する、脇田町にあるアジアンギャラリー(現在は店舗を構えず出張出店スタイル)

「グリーンクラフト」さんに足を踏み入れると、
異国の地に来たような感覚になります。。。と思ったら、
店主の荻野さん曰く

「ほら、この唐草紋様見てみて。日本の唐草紋様と似ているでしょ??」

お店にあるアジア各国の生地を次々と取り出しながら、
花があり蔓が長い植物をモチーフにした生地を指差し、
同じようなものがアジア中にあることを説明してくれます。

「唐草紋様を辿るだけでもあっという間にアジアは一つになる。
アジアは遠くの場所ではなく、日本も川越もアジアの一部なんだよ」


一つを辿っていくと、

実は昔あの人とこの人が繋がっていて、この人はあの人と繋がっていて、と

次々と分かることがあります。そして大きな人の輪になっていることがある。。。

それはまるで、

唐草紋様を辿ってアジアがあっという間に一体となるように、

アジアフェス出店者さんを知れば知るほど、

結局はみんな繋がっていたんだ、と二つが重なるようでした。

 

人も、唐草紋様も、同じ。
アジアフェスで打ち合わせに準備に調整に、と

中心的な存在が、
一番街にあるベトナム雑貨の「サニーサイドテラス」の佐々木さんと
川越駅近くにあるアジアンギャラリー「グリーンクラフト」の荻野さんです。

 

両店とも川越でもう10年以上になるベテランのお店同士で、

昔から親交があります。

そして意外にも、

二人が一緒になって川越でイベントをやるというのは、アジアフェスが初めてのことだそう。


お店を始める前から親交があり、これだけ長い間川越で営業し、

同じアジアン雑貨のお店同士だけど、意外な事実でした。

川越に限らず、お店を10年も続けるというのは大変なこと。。。
10年前に川越にオープンしたお店はたくさんありました。
その中でこの二つは今も残っていることの凄さ、

今回こうしてアジアフェスというイベントに共に出ることの意味。

二つのお店、二人の繋がり、
今に繋がる系譜を紐解くことが、
川越をより深く感じ、唐草紋様のように、

街にある大きな人の円の話しへと繋がるように思います。

 

こういうイベントを機に、

普段伝えられない人とお店のルーツまで踏み込んで、書き残しておこうと思いました。
唐草紋様に触発されて、誘われるように、
川越の人の繋がりを深く掘り進めていきます。

一つの点が、

壮大な風景に広がっていくように。
今日はサニーサイドテラス

佐々木彰子さんのストーリーです。

どうぞ。。。
キーワードは、「新所沢レンレンの2階」。


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


川越の一番街。

蔵造りの建物が軒を連ね、
赴きある埼玉りそな銀行の大きな建物が視界に現れました。

道路向かいにある細い脇道を入って行き、少し進んだ先にあるのが、

サニーサイドテラスです。

 


お店は2001年12月にオープン。

最初にお店があったのは大正浪漫夢通りで、

今の場所に移ってから7年になります。
サニーサイドテラスが扱う雑貨は、

シンプルで優しい風合いのものが多いです。
ホーチミンからやって来た手編みのテープバッグはずっとお店の定番人気。

川越で手に入るお店はなかなかないバッグで、軽いので買ってすぐ使い回す方が多い♪
これは現地の人がエコバッグとして使っているもので、
ベトナムにはテープバッグ屋さんがあるくらい日常的に使われています。

 

扱っているカトラリーは、水牛の角で作られたものやアルミにプラスチック。



 

バッチャン村で手作りで作られているバッチャン焼き、

ほうろう鍋、刺繍のバッグに刺繍小物、
夏になるとビーズ・刺繍ののサンダルも人気です。


 

伝統的な模様の財布は、

ベトナムの北の方に住んでいるモン族が作っているものです。

「個人的にはモン族が作ったものは好き」
という話しで、オープンの時からお店でモン族の手仕事品を扱っています。

モン族は、こういう模様の生地を服にし、

普段着として着ているそうです。大切に作った服は親子三代で受け継いで着て、

着れなくなったらこうして財布にしたりしています。

ベトナムには少数民族が54民族もいるそうで、

そのうち90%がキン族と呼ばれる人たち。

ホーチミンにしてもハノイにしても会うのはほとんどキン族の人。

他にいるのが、花モン族、黒モン族。

 

モン族の人たちは山岳民族なので、

買い付けにはハノイから寝台車に乗り、

中国の国境近くまで行かないと会えないと言います。

山の集落に行くといろんな民族の人が集まっていて、

それぞれ着ているものも話す言葉も違うそうなんです(*^^*)

 

ハノイから

バッチャン村に行く途中の田園風景がベトナムならではで素敵と話します。

「ベトナムは三毛作なので、一年中収穫しているようなもの。

のどかな風景の中、今でも水牛が活躍していますよ」

ベトナムはまさに米が生活の中心にある米文化。。。♪

 


サニーサイドテラスの店内を見渡すと、やっぱり。。。と思います。
アジアが好きと意識しなくても、多くの女性が可愛い雑貨屋さんとして普通に通っている。
アジアン雑貨のお店の中でも、

いかにもアジアという感じではなく、

明るく入りやすい雰囲気のお店、

BGMは民族音楽でもなくお香を焚いているわけでもない。

佐々木さんがお店を始めた時から考えていたのは、

 

「誰でも入りやすいお店にしたかった」

 

と言います。

まさにそういう雰囲気で、ベトナム雑貨も上品で可愛く

シンプルな美があってお店の雰囲気にも合う。



ベトナムだったから、このお店はここにあるのかもしれません。
ベトナムはかつてフランス領だった影響があるんでしょうね。

 

「ホーチミンのカフェは洗練されていて、凄いおしゃれなんですよ」

 

佐々木さんは、自分でお店をやろうとした時、

アジアが好きだったのもあり、

自分の中で最もしっくり来たのがベトナムだったと言います。

ベトナムというのは

 

「落ち着いていて過ごしやすいし、やっぱりご飯が合うんです」

 

何食べても美味しい。

ローカルレストラン行くと、

ご飯、スープ、炒め物、煮物、食事の組み合わせが日本と似ていて飽きないと言います。

醤油が欲しいならヌクマムがある。

ベトナムに長くいても和食が恋しくならない、と。

 

好きな料理は、ココナッツジュースで煮た豚肉に、
土鍋で炊いたご飯に濃い目の醤油や砂糖で煮た魚も好き。


「ベトナム料理は辛くもなく濃くもなく食べやすいです」

 

佐々木さんは屋台でも生もの以外なら食べに行ったりするそう。

安くて美味しい、と。

お店で扱っているカトラリーは、

現地の屋台でも日常的に使われているものです。

ベトナムの人は、食事は屋台で食べる人が多いので、

大勢が押し寄せる中、大量の食器をすぐにガシャガシャ洗えようにと、

アルミやプラスチックの食器が多いのが特徴です。

 

「花柄しかない」というくらい

花柄のスプーンが日常的に使われていて、男の人もみんなこれを使っている。。。(*^o^*)

ベトナム繋がりから、チャオエムカフェさんの話しになりました。
お互いにアジアフェスに出店します。
今回のアジアフェスの出店者の顔触れは、

昔から繋がりがある方々ばかりなので楽しみにしている、

一堂に集まるなんて凄いな、そんなことをつぶやいていました。


サニーサイドテラスの佐々木さんは、

KOEDOアジアフェスで中心的な存在です。
佐々木さんがいなかったら、このイベントは実現していなかったかも。。。
というくらい周りを引っ張り段取りを進めていきました。

出店者さんのベトナム繋がりといえば、

ベトナム雑貨がサニーサイドテラスなら

ベトナム料理はチャオエムカフェ。

雰囲気が似ているお店同士が出れて嬉しい、そんな話をしていた時でした。

ふと・・・

「ホーチミンにあるチャオエムに行ってたんだよ」

と。

行っていた・・・??

現在、西武新宿線花小金井駅近くにあるチャオエムカフェは、

ホーチミンで雑貨店も営んでいます。

そのお店に、サニーサイドテラスを開く前の佐々木さんは訪れた事がある。

 

お店を始めようと決心し、
初めてベトナムツアーに参加して現地の様子を感じつつ、

自分のお店を具体的にイメージを膨らまようとした。

その時すでに、取引できる相手を探しながら旅をしていたと言います。
初めて買ったガイドブック

地球の歩き方ベトナム編を、今でも大切に持っていました。
「お店をやろうと思ってベトナムに行こうとした時に

この本を買ったんです」

ページをパラパラとめくっては、

どこ行こうかな、ここも行こう、ここも、と自分のお店をイメージしながら

旅の計画を立てていた。

その時あるページのある箇所で目が止まったそう。


「可愛いお店だな。ここも見に行ってみようかな」

 

それがホーチミンにあるチャオエムの当時のお店

プリキッシュでした。

現在のチャオエムカフェの塚本さんが、

7年間住んだホーチミンで一人で営んでいた雑貨店です。

今から14年前の2000年のことでした。

ここに一つの点。二人の接点はそこから始まった。
ページの下には・・・

「プリキッシュ」と書き出してチェックした跡が残っています。

そこは、日本でベトナム雑貨店をやろうとする人は大概行くような、

現地の人や日本人観光客も多くやって来る人気店です。

 

ベトナムに行くなら人気のお店を見に行って、

どんなものが売れるのか自分の目で見てみたかった。
イメージを膨らませながら、
夢はすでに夢でなく、決意とともにだんだんと現実の形になろうとしていた。
アジアフェスに出店するお店は、

偶然集まったように見えるけれど、
今までの道のりを辿ると
みんなどこかで交わった瞬間があって、

縁が今でも続いていることが分かります。

 

この顔ぶれは、昔からの縁が引き寄せた運命的な再会なのかもしれません♪

プリキッシュを始めベトナムをあちこち見て、

現地の人で取引できる相手も見つけた。

日本に帰って来てからお店の構想を練る日々。

そして、少しずつ慌ただしくなっていくのを感じながら、
ここからの展開が流れるように早かった。。。

 

初めてベトナムに行った次の年

2001年。

川越で新たな取り組みが始まりました。

チャレンジショップが始まる。。。

募集を新聞の記事で知った佐々木さんは、

「これだ!」と、すぐに直感して応募した。

チャレンジショップとは、

大正浪漫夢通りにあった建物を、

チャレンジの場として新しくお店をやりたい人に提供しようと始まった制度。
その新聞記事に書いてあったのは、まさに第一期の募集でした。

各メディアで大々的に報道されたので、目にした方もいるのではないでしょうか。

(現在の大正浪漫夢通り)

 

面接は、2001年の暑いさなかだったと言います。

「面接場所に行ってみたら100人以上集まっていました」

お店を開きたい、手作り品を販売してみたい、

そんな夢を持つ方々で場は埋め尽くされていた。

選ばれたのが5人。

オープンした第一期のチャレンジショップは、

「夢乃市」と名付けられ、2001年12月15日(土)に産声を上げました。

第一期の同期には、

松本醤油店さんのところにあるガラスアートの

ブルームーンさんも当時いました。
一つのスペースを仕切りで区切って、5店が揃って出店していた。

一人3坪のスペースだった。

(当時の告知ポスター)

 

その中でサニーサイドテラスは、

「最初はバッチャン焼き、刺繍商品、バッグ、サンダルが多かったかな。

チャレンジショップは

自分にとっても、入っていたみんなにとっても始めてのお店経営でした。

いろいろ勉強になりましたよ」

 

チャレンジショップに来てくれていた方が、

今のお店にも来てくれたりする。

お母さんに連れられていた小さな子が大きくなって、

一人でお店にやって来てくれる。

12年というのはそういう成長の様子を見守ることでもあります♪


街にも周期的に

芽生えの時期がやってくるものなのかも知れません。
佐々木さんがお店を始めたいと思ったのと同じように、
12年ほど前の川越は、

親から引き継いだ形でない
新たに始めようとする個人店があちこちに産声を上げた時期でもありました。
ブルームーンに、
時の鐘近くのライトニングカフェ、
大正浪漫夢通りの帽子のBlue Fairyが同期のお店。

 

チャレンジショップで1年間営業した後、サニーサイドテラスは松江町に移転。

松江町で6年間営業した後、

今の一番街の場所にやってきました。

佐々木さんは静岡県出身、昔から雑貨が好きだった。

好きな雑貨店に、学校の帰りに毎日のように通い詰めては、

シャーペンにノートに、プレゼントに、

ファンシー雑貨に目を輝かせていたのが原点と言います。

 

東京にしばらく住み、雑貨店で働いて仕入れのことなどを覚えていった経験から、

「自分でもお店ができるんじゃないかな」と思うようになる。

 

そう、10年以上前、二人の交差はちょうどその頃だったと言います。

よく仕事の帰りなどに行っていたアジア料理の

小さなお店が新所沢にあった。

それが今はなき「レンレン」。

当時のレンレンには、

のちに有名になったアーティストや音楽家、作家がたくさん集っていたそう。
まだ個人のお店が街に今ほどない時代。
少なかったからこそ、集まると言えば一つに集中した。

 

レンレンは特別な磁場があって、

個性的な人たちを呼び寄せる雰囲気があった。
夜な夜な大勢の人が集まり、お客さん同士の話しが楽しくて時間を忘れるよう、

文化交流サロン的な場所で時代の文化発信基地で、

集まっていた人たちが各地で活躍していった。

「あそこは個性的な人が集まってたし、
あのお店から繋がった人がたくさんいる」
その繋がりは今でも不思議に続いていて、
レンレンの近くの美容室には、今一番街の美容室にいる方がいたり、

今一番街の毎月のイベント『宵の市』に出店している方とも

実は当時出会っていたそう。

 

レンレンは1階が飲食店。階段を上がって2階が小さなギャラリースペースになっていた。

2000年頃。

そこで佐々木さんは、ベトナムで買い付けてきた雑貨で展示会を開いたことがあった。
その、展示の期間中だった。
1階からドタドタ階段を上ってくる足音が聞こえてくる。
「お客さんかな??」
中に入ってきたのが、当時すでにグリーンクラフトを始めていた荻野さんだった。
「その時にね、荻野さんから

どこで買い付けてきたの?とかいろいろ聞かれて、第一印象は良くなかったかな(笑)」
と話します。
荻野さんからしたら、
「女の子一人でベトナム雑貨の展示をやってる。ちょっと冷やかしというか偵察もあったかな(笑)」
と述懐します。


そんなお互いの第一印象をよそに、

佐々木さんがチャレンジショップを始めたと聞いて

川越にも何度も遊びに来てくれ、
レンレンのママさんと一緒に来てくれたこともあった。

 

荻野さんは川越にはそんなに来た事なかったそうだけど、

サニーサイドテラスをきっかけにして

川越という街が気に入っていった。

そして荻野さんも、一番街での運命的な出会いから

川越でお店を開く道へと進んでいきます。

 

レンレンがあったから。

佐々木さんがレンレンで展示会を開いたから。

荻野さんが二階に上がって行ったから。

チャレンジショップに遊びに来たから。

チャレンジショップが一番街に近かったから。

いろんな偶然が重なっていることに驚きます。


ある時偶然交わり、お互いの道に進み、

そしてまた交わり、また別々の道を進み、

そしてまた。

人と人はこれの繰り返しで、

アジアフェスの人間模様を辿ると、まさにこれです。
そして今、二人がメインとなり、

川越で第1回となるアジアフェスを開催する。

人って街って面白いですね。

 

その後の道のりを辿っても、

佐々木さんが代々木で初めて行われるベトナムフェスに出店する際、

一緒に出店してくれる方を探して紹介してもらったのが、

チャオエムだった。

「以前ホーチミンのお店に行ったことありますよ!」

と再開を果たしたり。

一事が万事、振り返るとみんな何度もどこかですれ違っている。

出会いはいつもたまたまで、

その後も実は

同じ人と何度もどこかですれ違っているものなのかもしれません。

 

レンレンの場合は、「あの時いたよね」とお互いに確認できるくらい

お店に魅力と磁場があったんだと思います。


一つのお店にいろんな人が集まるというのが、羨ましくも思いますね。
今はたくさんのお店があって選択肢が増えたけれど、

レンレンのような磁場のお店ってないかも。

それでも今の川越は、

また次の周期がやって来て、

新たなお店のオープンが続々と続いている時期にあるように感じます。

今川越にあるチャレンジショップに入るお店は、

どれも素敵なお店ばかり。

 

かつてのサニーサイドテラスのように、

今がまさにドラマの渦中だったと、あとの時代になって振り返るのかもしれません(*^o^*)

街の変化はやっぱり楽しいものですね♪

サニーサイドテラスは川越で12年。
それは、試行錯誤の12年だったと言います。
雑貨が好きですか?という問いに、
「そうですね」
と即答で答える気持ちがあったから、続けてこられた。

好きだから。

チャレンジショップの時から年に2、3回は

ベトナムに買い付けに行っていて、

「ベトナムに行くと、帰ってきた。。。という感じになるんです(笑)」

 

今ではベトナムは、実家に帰る感覚に近いと言います。

 

そうそう、

もともと佐々木さんがベトナム旅行のツアーに参加しようと思ったのは、

自分でお店やりたいんだ、とレンレンのママに相談した時に、

ベトナムいいんじゃない?行ってみたら?と

勧められたのもあったのでした。
ベトナム行って何か買ってきたら、うちのギャラリーで展示すればいいじゃない、

背中を押してくれたレンレンのMAKIさん。

 

買い付けた雑貨で展示会を開き、

たまたまやって来たのがグリーンクラフトの荻野さんだった。

そうして続いてきた12年。

人の縁は、小さな糸のようだけど、細く長く綿々と続く力強い糸でもある。

 

アジアフェスを開催するという機会に、

結ばれた糸をほぐして、

川越にある二つのお店の糸を辿ってみました。

 

これからも続いていく糸の途中に、

2014年3月22日KOEDOアジアフェス。。。♪


「サニーサイドテラス」

川越市幸町3-15

10:30~18:30

月休

 

 



 

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