前の記事でTAの給料 を見てみました。TAの給料は、学部に関係なくどの院生もTAさえしていれば同じ額の給料がもらえます。

今回は理系、特に物理学科に限っての話です。

院生の給与水準というのは基本的に、その土地の物価、生活費用を考慮に入れつつ、全米の他大学の水準から大きく離れない程度に決められます。

物理学科を始めとして、一般的に理系学部はアメリカでは資金が潤沢にあります。なので理系の給与水準も他学部に比べて高めです。TAの給料は大学が独自で決めるものですから、その大学のTAの給料と全米の給与水準に差があれば何とかしてその差を埋めなければなりません。というのも、そうしないと学生が集まらないから、という切実な思いもあると思います。

うちの学科では給料とは別にScholarship(奨学金)とAward(賞金)がもらえます。別に何か特別に応募したり申請したりする必要はないので、奨学金・賞金というのはあくまで言葉のあやです。

うちの大学(UW-Milwaukee)の物理学科の場合、TAの給料と奨学金など含めて、9ヶ月間(春秋学期)の給料が合計で21000ドル~23000ドル(210万~230万円)程度の範囲に収まるように調節されます。

ですので、1年目のときは、前回の記事に書いたようにTAの給料が12000ドル程度しかありませんから、奨学金が8000ドル程度もらえました。ですがTAの給料が上がると、その分奨学金の額が減ります。ですので、実際は学年が進んでTAの給料が上がったからといって、毎年の給与にそれほど差は出来ません。ウハウハではないんですね、実は。

20000ドル以上というのは税金が引かれる前の額です。アメリカでは毎月Federal Tax(連邦税)とState Tax(州税)を払わなければなりません。その分と健康保険料合わせて年間2000ドル近く取られます。なので実際の手取りは200万円いくかいかないかぐらいです。それでも院生の身で自由に使えるお金が年間200万円もあれば生活には何も困らないどころか、年に1回日本に帰る飛行機代も全然まかなえます。贅沢しなければ、着実に貯金も増えていきます。

上記の奨学金のほかに、個々の実験や理論分野で優れた成果を出した人にはその都度1500ドルの奨学金がもらえます。うちの研究室の先輩が去年これをもらっていました。

アメリカでは大学院生は学生というよりむしろ社会人として見なされます。会社を辞めて大学院に戻ってきたりすることが比較的容易に出来るのがアメリカのシステムの良さだと思います。