アメリカの大学院の一番の利点は、何といっても待遇の良さ。アメリカの大学院では院生が授業を教えるシステム、TA(Teaching Assistantの略)、と呼ばれるものがあります。理系の大学院生の場合はほとんどみんなTAをしています。このTAをしているとなんと、大学院の授業料が免除になる上、お給料がもらえます。

そこで今回はこの気になるお金の話。「アメリカの大学院お金かからへんかからへんよう聞くけど、実際どんなけもらっとんねん。そこ教えてーな!」と思ってるあなた、お答えします。

様々なAssistantshipのお給料がうちの大学だとホームページで公表されています↓
UWM: Assistantship Information

TAの給料は一番上のTeaching Assistant Salariesの表です。上の注意書きにも書いているんですが、去年から1%アップしました。項目別に説明すると、まず横に見て、一番左列から

「C-basis(9month)」:
契約が一年通してだとA-basis(12 month)、夏休みを除いた春秋学期だけ(Academic year)だとC-basis(9 month)となります。B-basisは?と思うんですが、自分も聞いたことないのであるのかどうか不明です。。アメリカは夏休みが3ヶ月あるので、その部分を含むか含まないかでこのように契約が2種類に分かれます。TAは授業を教えるのが仕事なので、当然、授業のある9ヶ月の契約になります。(夏休み中のTAはまた別であります)

「Full-Time Rate」:
文字通りフルタイム(週40時間)で働いたときの給料です。これがベースとなってTAの学生の給料が計算されます。

「50% / 33% Appointment」:
院生は基本的に週20時間までしか働けません。ですのでフルタイムの半分、ということで50% Appointmentと呼ばれる契約になり、給料もフルタイムの半額になります。33%は、50% Appointmentがもらえなかったり、他のAssistantshipと併用するときの給料です。基本的にすべて比例計算なので、難しいことはありません。理系の場合は50%TAがもらえるのが普通ですから、この欄が実際TAをしたときにもらえる額です。


次に縦の項目を見ていくと、上から順に

「Non-Doctoral / Non-Doctoral Year 2」:
アメリカの大学院ではPhDコースに入学したからといっていきなりPhD候補生としては扱われません。前記事の「Qualifying Exam (資格試験)」なるものにパスして初めてPhDの学生として認められます。普通はそのExamが2年目にあるので、入学して1年目、2年目はまだまだ甘ちゃんのヒヨッ子扱いということで、Non-Doctoral(非ドクター学生)と呼ばれ、給料もちょっと低いです。

「Doctoral」:
見事Qualifying Exam にパスすると晴れてPhD学生扱いとなり、研究も開始できたりして、TAの給料も9ヶ月で1700ドルもアップします。ウハウハです。

「Dissertator」:
PhDコースにはいくつもの難関があります。PhD学生となった次は研究を進めて、その研究の正当性を教授陣の前で発表します。これをDefenseと呼びます。教授陣からの容赦ない攻撃(口撃?)に耐えるからDefense(防御)と呼ばれるとかなんとか・・・。これに見事パスするとPhD取得までもう一歩、あとはDissertation(学位論文)を書くのみとなります。この状態をDisseratorと呼び、お給料もさらに3000ドル、ドンとアップします。さらにウハウハです。


と、PhDコースの段階とともにTAのお給料が変わってきますが、9ヶ月で12000ドル~17000ドル近く、日本円に換算(1ドル=100円)して、120万~170万円程度です。

授業料が本来は春秋学期あわせて200万円以上するのが、それも免除になっていることを考えると、9ヶ月で320万円~370万円分の恩恵があることになります。

これだけ考えてもアメリカの大学院でPhDコースに入学するメリットがあることがわかって頂けると思います。

TAだけしているならこの額で終わりなのですが(実際に文系の友人はこの額しかもらっていません)、理系だとさらにプラスアルファのAssistantship があります。それについては次の記事で紹介します。