兵士のためのレイプ施設つくったのは日本とナチスだけ-レイプ犯の理屈で慰安婦容認する橋下大阪市長 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 橋下徹大阪市長(日本維新の会代表)による、日本軍「慰安婦」制度は「軍隊にとって必要だった」、「日本だけでなくいろんな国で慰安婦制度を活用してきた」という発言と、石原慎太郎日本維新の会代表の「軍と売春はつきもの」との発言だけを聞くと、世界各国の軍隊にも「慰安婦」制度があったのだから、日本だけが「レイプ国家」と批判されるのは、おかしいという橋下氏の言い分が正しいように思ってしまいかねません。


 先日、テレビ朝日「朝まで生テレビ」の「激論!ネット世代が日本を変える?!」を見ていたら、そこでも侵略戦争は世界各国がやっていたのだから日本の侵略戦争だけが批判されるのはおかしいというような流れの発言が見受けられました。


 そもそも、レイプ犯が「他の奴もレイプしてるのだから俺だけ批判されるのはおかしい」と言っているような「強盗の居直り説教」に過ぎないのですが、世界各国にも「慰安婦」制度が存在したのかどうかは気になるところではあります。


 この問題について、「『慰安婦』問題の解決に向けた意見書可決をすすめる会」の石川康宏神戸女学院大学教授は次のようにツイートしています。(※下記は石川教授の連続ツイートをまとめたものです。
https://twitter.com/walumono0328/status/334674023264948225  )


 橋下氏の発言は、女性を男性の性の道具とし、さらに戦争の遂行に不可欠な道具と位置付ける点で二重に異常と言わずにおれません。

 


 

 「慰安婦」制度は各国にあったと言っていますが、第2次世界大戦中に軍や政府が公的方針のもとに、兵士のためのレイプの施設をつくったのは大日本帝国とナチス・ドイツだけです。

 


 

 世界史は20世紀前半から、すでに売買春をなくす取り組みを進めていました。それは「慰安婦」制度や売買春をめぐる歴史研究を少しでも学べば、すぐにわかることです。

 


 

 橋下氏は、在日米軍に日本での「風俗業」の活用を勧めたそうですが、驚くべきことです。この国では売買春は違法ですが、それを公式の会談の場で勧めるというこの人の感覚は、まったく理解ができません。

 


 

 橋下氏が「河野談話」を批判する根拠にしているのは2007年3月16日の政府答弁書でしょうが、この答弁書は最終的に「河野談話」の継承を確認するものとなっています。はたして文書を読んでいるのでしょうか。

 


 

 大阪市民を代表するのにふさわしい人物なのかが、あらためて問い直されていると思います。


 ――以上が、石川教授の指摘です。橋下氏は、「『慰安婦』制度は各国にあったと言っていますが、第2次世界大戦中に軍や政府が公的方針のもとに、兵士のためのレイプの施設をつくったのは大日本帝国とナチス・ドイツだけ」なのです。

 


 

 それでは、ナチス・ドイツはどんな「慰安婦」制度を持っていたのでしょうか。この問題について、ジャーナリストの梶村太一郎さんがブログで以下のように指摘しています。


 ▼橋下市長の「慰安婦必要」発言は強盗の居直り説教に等し

 

   /ナチスの強制売春施設研究の紹介
http://tkajimura.blogspot.jp/2013/05/blog-post_16.html

 


 

 橋下市長は「当時は世界中の軍隊が慰安所を利用したのに、日本だけが悪者にされるのはけしからん」とご立腹のご様子です。

 


 

 第二次世界大戦でドイツも占領地などで現地の売春宿などを軍専用の施設として管理し、利用したことは事実です。

 


 

 だだしこれらは、橋下氏のどうやら豊富な風俗利用経験からする理解のように「兵士の慰安ため」などではありません。 兵士を性病から隔離し、軍の戦力維持をするのが主な目的です。また特殊ナチスの人種イデオロギーから、ドイツ軍兵士の「劣等民族との性交渉」を防ぐ目的も背景にありました。

 


 

 それに、日本ではほとんど知られていませんが、ドイツ軍には下級兵士にいたるまで、毎年3週間から4週間の帰郷休暇が与えられていました。敗戦間際まで出来る限りこの制度は実行されていました。日中戦争開戦以来の日本軍兵士には夢のような制度です。だだしこれも、「アーリア優等民族」を維持するための「子づくり休暇」としての制度であったと論じられています。ナチス型「産めよ増やせよ」政策です。そのため、わたしの戦中生まれのドイツ人友人にも「Urlaubskind/休暇の子ども」がかなりいます。

 


 

 ドイツ軍の管理売春の研究はまだ途上で、全体像は専門家もとらえていないようです。

 


 

 ただし現時点でも、ひとつだけ確定できることは、日本軍のように植民地や占領地の若い女性を甘言や拉致で組織的に集め、20万とも推定される膨大な人数の女性たちを拡大する最前線まで性奴隷として強制連行し続けた軍隊は他にはないということです。これが、日本軍による犯罪行為の特殊性なのです。

 


 

 世界中で20世紀の恥ずべき歴史とされるのはそのためです。橋下氏らが我慢できないとする「日本軍だけが悪者にされるの」ことには、このような根拠があるのです。この面では旧日本軍は特段に野蛮な軍隊でした。


 ――以上が梶村さんの指摘です。日本の「慰安婦」制度は、世界から批判されてしかるべきものなのです。

 


 

 こうした蛮行を、世界各国も同様に行っていたことにして、たいした問題ではないことにしたい。ウソは大声で堂々と言って、そうすれば信じる人が出るだろうことを目論んで、橋下氏はこうした妄言を繰り返しているのでしょう。


 また、橋下氏はきょうツイートで、この間の発言は、「慰安婦問題では強制連行の有無が重要な論点になると言うことのための発言。日本の責任回避のための論ではない」などと言っています。
http://blogos.com/article/62442/

 


 

 これに対しては、ジャーナリストの志葉玲さんがメルマガで次のように指摘しています。
http://www.mag2.com/m/P0007817.html

 


 

 ◆「強制ではなかった」は間違い!


 「国をあげて強制的に慰安婦を拉致し、職業に就かせたと世界は非難している。その点についてはやっぱり、違うところは違うと言わないといけない」(橋下氏会見から)


 橋下氏にかぎらず、従軍慰安婦問題で旧日本軍を擁護する人々に多い主張が、「強制連行はなかった」というものですが、これは明確な誤りです。詳細な裁判資料があるものとしては、インドネシアで日本軍がオランダ人女性達を強制連行し、従軍慰安婦とした、いわゆる「スマラン事件」があります。
http://194586245.web.fc2.com/13.html

 


 

 また、かつて私が取材したフィリピン人元従軍慰安婦のトマサ・サリノグさんの事例にもあるように、特に日本軍が侵攻し占領地とした東南アジアでは、拉致・誘拐が横行していました。
http://reishiva.jp/report/?id=560&category=56

 


 

 他方、韓国や中国では、いわゆる「強制連行」よりも、「いい仕事がある」と慰安婦にする事例が多く証言されています。当たり前ですが、拉致・誘拐が無くとも、騙しておびき寄せ、監禁した上で売春を強いるというのは、強制以外のなにものでもありません。
http://www.geocities.jp/yubiwa_2007/ianfukyousei.html

 


 

 また中国の事例でも、日本の裁判で拉致・強姦の事実認定した判例があります。例えば、1996年から2007年にかけて争われた中国人「慰安婦」損害賠償請求訴訟(第二次)では、一、二審とも日本軍が当時15歳の郭喜翠さんと13歳の侯巧蓮さんを連行、監禁、強姦したことについて自体は、事実認定しています。

 


 

 従軍慰安婦制度を日本軍がつくり、管理していたことは、これまで公表されている公文書からも明らかですから、強制の責任が当時の大日本帝国にあったことは、明白です。


 ※たとえば、1938年の内務省史料「支那渡航婦女ノ取扱ニ関スル件伺」、「南支方面渡航婦女ノ取扱ニ関スル件」の2つの史料では、中国南部を占領した第21軍の参謀と陸軍省課長の要請を受けて、内務省警保局が大阪、京都、兵庫、福岡、山口各府県知事に慰安婦400名の徴集人数を割り当て、慰安所の経営にあたる業者を選定させ、台湾経由で中国に送るよう命じている。また、「海軍航空基地第2設営班資料」には、インドネシア・ボルネオ島(バリクパパン)の海軍基地で「主計長(後の首相である中曽根康弘)の取計で土人女を集め慰安所を開設」とある。


 ――以上が志葉玲さんの指摘です。


 それから、過去エントリー「日本軍が取り仕切っていた『慰安婦』、今も続く戦時性暴力、戦後在日米軍に殺された日本人1,088人」で紹介した林博史関東学院大学教授の指摘は以下です。
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11478007067.html

 


 

 安倍内閣が再び。強制連行を証拠づける公文書はないと。ウソは大声で堂々といえ。そうすれば信じる、少なくとも事実を疑う人は出る。北朝鮮の拉致問題評価とのダブルスタンダード。刑法226条、力ずくもだましも刑の重さは同じ。


 1937年3月大審院(いまの最高裁)で有罪判決、女性を「売春」目的で海外に移送しようとした、「女給」「女中」とだましながら。7月から中国との全面戦争、大量に「慰安所」を。38年2月内務省警保局(いまの警 察庁)はこれを「黙認」する通達を府県知事に。国家犯罪。


 最初から最後まで軍が取り仕切っている。それを「業者」がやっているように偽装しなさいとの指示までも。強制連行についてのいくつかの証拠文書も。たくさんの将兵による証言・回顧録も。日本の裁判所での事実認定(裁判は却下だが)・拉致・監禁・強姦を。これも立派な日本の公文書。


 「慰安婦」集めの業者は軍から証明書をもらう。地元の警察に提出して集める。警察所長が身分証明を発行する(とりしまれるのに)。外務省が旅券を発行(後にいやがるようになるが)。醜業に関する婦女売買禁止条約(1910・21年)-未成年者は本人同意があっても海外移送禁止。


 外務省・軍の資料で未成年がたくさん。わかっていて「慰安婦」に。軍だけでなく警察・外務省などもふくめた犯罪。「慰安婦」は高給取りだというデタラメがネット世界に。ムン・オクチュさんビルマで2万数千円(当時)の貯金。ほとんどが45年になっての収入。1800倍のインフレ。


 ――以上が林博史教授の指摘です。


 それから、吉見義明中央大学教授は橋下に対して次のように指摘しています。
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11387426043.html

 


 

 あなたは、軍・官憲が暴行・脅迫を用いて連行する場合(軍・官憲による略取の場合)以外は強制連行ではないとし、そのような連行はなかったと言っていますが、中国・東南アジアでは、このような連行は数多く確認されている、と私は述べています。たとえば、インドネシアで起きたスマラン事件をあなたは否認するのでしょうか。

 


 

 次に、日本・朝鮮・台湾から女性たちを、略取・誘拐・人身売買により海外に連れて行くことは、当時においても犯罪でした(誘拐とは、ご承知のように、甘言を用いたり、騙したりして連れて行くことです)。誘拐や人身売買も強制連行である、と私は述べています。実際に誘拐や人身売買を行った者が業者であったとしても、軍・官憲がこれら業者を選定して女性たちを集めさせたのであり、また、誘拐や人身売買であることが判明しても、軍は業者を逮捕せず、女性たちを解放しなかったから、軍には重い責任がある、と私は述べています。

 


 

 また、「慰安婦」制度は、女性たちの居住の自由、外出の自由、廃業の自由(自由廃業)、拒否する自由がない軍の性奴隷制度であり、どのように連れて来られたにせよ、女性たちは強制的に使役された、と私は述べています。


 ――以上が、吉見教授の指摘です。


 それから、アジア女性資料センターはアピールで次のように指摘しています。
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11348373757.html

 


 

 橋下氏をはじめとするこれら政治家たちの発言は、「強制」と「証拠」という言葉をいずれもごく狭く解釈することによって問題の矮小化をはかり、多数の女性たちに対する組織的性暴力の事実をなかったことにし、責任を逃れようとするものといえます。


 「強制」の矮小化


 橋下氏は「軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない」「軍が慰安所を公的管理したことと、慰安婦が強制的に連れてこられたかは別問題だ」などとして、慰安所に女性たちを連行する際に、直接的な物理的暴行や脅迫が用いられたかどうかのみを問題にしようとしています。しかし、「慰安婦」の徴募・移送・管理を含む日本軍「慰安婦」制度全体のなかで、連行時に限って暴行や脅迫の有無を論じることに、一体どれほどの意味があるというのでしょうか。


 日本が植民地支配していた朝鮮では、日本軍の要請を受けた業者による徴募が広く行われましたが、「仕事がある」「教育が受けられる」などといって騙したケースが多数を占め、強要や人身売買も数多く行われたほか、官憲によって強制的に連行されたという被害者証言もいくつもあります。さらに、「慰安婦」被害があったのは朝鮮だけではないことを忘れてはなりません。日本が軍事占領していた地域では、軍による文字通り暴力的な強制連行がほとんどでした。慰安所で女性たちは性的暴力・身体的暴力にさらされ続け、出ていく自由も手段もありませんでした。それでも、連れてきた時に暴力はふるっていないから責任はないとでも言うつもりでしょうか。これではまるで、女性を部屋に連れ込み監禁して性行為を強要しておきながら、連れてくるときは暴力をふるっていないから強かんではないと強弁するレイプ犯の理屈です。


 そもそも、日本による植民地支配や軍事占領・侵略下において「慰安婦」とされた女性たちは、自由意思により行動する自由と手段を著しく制限されていました。軍や警察、植民地官僚が直接関わったか、民間業者が行ったかに関わらず、女性たちはその意思に反して「慰安婦」とされたのです。女性の意思を無視して性行為を強要するという性暴力システムを設置し管理した国家責任が問われているというのに、連行時に暴行・脅迫があったかどうかに問題を矮小化して責任を免れようとする政治家たちの言説を許すことは、今日における性暴力加害を許すことにもつながります。


 ――以上がアジア女性資料センターのアピールからです。


 最後に沖縄の女性たちが発信した抗議声明を紹介します。


抗議声明
 日本維新の会共同代表橋下徹大阪市長に強く抗議し、

 

 謝罪と、発言の撤回を求めます


 2013年5月13日、日本維新の会共同代表である橋下徹大阪市長は記者会見のなかで、先の大戦での日本軍「慰安婦」の問題で、「当時は軍の規律を守るために必要だった」と「慰安婦」問題を容認することを表明しました。さらに、普天間飛行場を視察した際に在沖米軍幹部に対し、「海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロールできない。建前論だと人間社会はまわらない」との理由で、風俗業者の活用を進言したとも発表し、その後も「兵士の性をどうコントロールするかはいつの時代も軍のオペレーションとして最重要課題だ」と重ねて軍が風俗業を利用するよう繰り返しました。

 


 

  こうした橋下市長の発言は、「本音だ」と繰り返すことで、あからさまな差別を正当化するものであり、女性のみならず男性、そしてすべての人間の尊厳を傷つけるものです。わたしたちは驚き、呆れ、また心底から怒っており、看過することはできません。

 


 

  真実と真理を黙らせることは出来ません。国家や戦争を正当化するために、事実を都合良く取捨選択したり、歪曲することを、わたしたちは認めません。


  わたしたちが知っている真実とは、日本軍によって強制・管理された「慰安婦」が存在したこと。戦中も戦後も、「慰安婦」を利用すればよいと発言する人がいたこと。「慰安婦」が過酷な暴力に晒されたこと。その苦しみが今日なお続いていること。


 わたしたちが知っている嘘とは、性欲がコントロールできないという、レイプを正当化する神話。性産業で働く人は「欲求のはけ口」になるのを自ら認めているという神話、あるいはそうされても仕方がないという神話。誰かの性を犠牲にすることで護られる「貞操」という神話。


 今なお癒えることのない戦争の傷と、押しつけられた軍隊の日常の暴力のなかにある沖縄から、そして戦争と軍隊を拒否する沖縄から、橋下発言に対し、強く抗議し、謝罪と、発言の撤回を求めます。

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沖縄県女性団体連絡協議会、アイ女性会議、新日本婦人の会、ジェンダー問題を考える会、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会、沖縄戦と日本軍「慰安婦」展実行委員会、オキスタ107,しんぐるまざーず・ふぉーらむ沖縄、沖縄子どもを守る女性ネットワーク、合意していないプロジェクト、北京JAC沖縄、沖縄県労連女性部、沖縄県チェジュ会、沖縄県母親大会連絡会、沖縄県女性の翼の会、沖縄県母子寡婦福祉連合会、自治労沖縄県本部女性部、沖教組女性部、高教組女性部沖教組退職者の会、沖縄県華道研究会、生活共同組合コープ沖縄、人権意識を育てる会、女性議員有志