はじめから子どもの芽を摘み貧困連鎖加速させる生活保護改悪-子どもの貧困ひろげる世界最悪の日本政府 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 昨日、中央社会保障推進協議会(中央社保協)の「生活保護基準引き下げを許すな緊急集会」に参加しました。


 中央社保協事務局長の相野谷さんは、朝日新聞大阪本社の記者・中塚久美子さんが著書『貧困のなかでおとなになる』(かもがわ出版)の中で書いている次の言葉を紹介しました。


 「はじめから子どもの芽を摘むような社会って、どうなんでしょう」


 「親、学校、社会の使命は、次世代を担うことのできる成熟した市民を育てることではないでしょうか。成熟した市民を育てるにあたって、子ども期の貧困は大きな障害になります。これから未来を切り開き、社会に参加しようという子どもの権利は、経済力と関係なく保障されなければならないはずです」


 この言葉を紹介しながら、相野谷さんは「はじめから子どもの芽を摘むような社会を許してはいけません。子どもの貧困と、貧困の連鎖を一層広げる生活保護改悪をストップさせましょう」と呼びかけました。


 安倍政権が生活保護費1割削減をねらうなか、社会保障審議会が16日、子どものいる生活保護家庭への支給水準引き下げを標的にしたようなデータを公表 しています。


 このデータのまま削減されると、直接、生活保護家庭の子どもの貧困を一層深刻化させるものであると同時に、生活保護が、住民税の非課税世帯の基準、就学援助や保育料など各種福祉制度の基準となっているので、生活保護を利用していない子育て世帯にも子どもの貧困が大きく広がることになってしまいます。『東京新聞』(1月17日付)は、「生活保護の支給基準が1割下がると、就学援助の利用者が20万人以上減るのでは」と指摘しています。生活保護家庭の子どもたちだけでなく、20万人もの子どもたちが貧困の淵においやられるのです。


 それから、「最低賃金法」の「第9条」には次のように書かれています。


 「労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。」


 生活保護改悪は最低賃金の切り下げにも連動し、ワーキングプア問題は一層深刻なものになってしまいます。『朝日新聞』(1月17日付)も指摘しているように、生活保護引き下げは「修学援助・非課税・最低賃金にも影響」 して、貧困をさらに大きく広げてしまうのです。


すくらむ-11


 上のグラフにあるように、税や社会保障、家族関係支出など政府によって再分配された後の方が子どもの貧困率が高くなる世界で唯一の国が日本です。他国の政府は子どもの貧困をなくそうと努力しているのに、日本政府だけ子どもの貧困を悪化させているのです。


 いま現在においても日本政府は世界最悪の「子どもの貧困推進政府」です。この上に、生活保護改悪で突出して世界最悪の「子どもの貧困推進政府」になろうというのでしょうか。


すくらむ-報われない社会



 上のグラフにあるように、いま現在でも、貧困な家庭に生まれた子どもが、実際にどんなに努力しても大学進学どころか、高校進学すらあきらめざるをえない「機会不平等」な日本社会であり、多くの子どもたちの未来を奪っています。政府のブレーンに返り咲いた竹中平蔵氏などは「努力すれば報われる社会にすべき」などとよく言いますが、現実は日本は世界でもっとも「努力しても報われない社会」になってしまっているのです。


 「学力向上を声高に叫びながら、そのための十分な教育予算を確保しない。これはもはや政策不在としか言いようがない。国の無策は、親の経済格差と相まって教育格差を拡大させている。教育格差は社会格差となって子どもたちの将来の可能性を奪ってしまう。子どもの教育こそ国のライフラインであることを、肝に銘じなければならない」 のです。


(byノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)