原発事故後2度目の実りの秋に窮状迎える福島農民-加害者の東電が損害賠償の対象を一方的に決める異常 | すくらむ

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 きょう東京電力本社前で農民連が抗議行動を行い、バス5台で参加した200人の福島農民の方を中心に要旨次のような発言がありました。


 福島は黙ってはいない



すくらむ-13  東日本大震災、福島原発事故から1年半が経過しましたが、いまだ16万人にのぼる福島県民が自宅に戻ることができず避難を強いられています。そのうち6万1千人の方が県外での避難を余儀なくされています。福島の農民の多くが、家や家族を失った上に、放射能汚染で農地を耕すことができない、酪農もできない状態に置かれています。放射能汚染によって農民が農地を耕すことができないというひどい仕打ちをしたのは一体誰なのか? あらためてもう一度はっきりさせなければなりません。この原発事故による放射能汚染というあってはならないことをやったのが東京電力です。そして原発を推進してきたのが政府です。加害者は東電と政府であり、被害者は福島県民、国民です。福島は黙ってはいない。たたかいはこれからです。


 福島を汚した東電は全面賠償を行え


 原発事故後、福島は2度目の実りの秋を迎えようとしています。来週になれば稲刈りが本格的になります。昨年は作付けはできなかったけれど、今年は作付けをしてなんとか頑張りたい、そういう農民がたくさんいます。しかしいま現在も昨年と同様、福島の果物も野菜も私たち農民の暮らしが成り立たないような安い値段で販売されています。私が車で移動販売をしていても、福島の野菜は消費者が買ってくれないという現実を目の当たりにします。多くの福島農民が窮地に陥っているのです。しかし、これは消費者が悪いのではありません。こうした状況をつくりだした東電が悪いのです。1年半が経過し福島原発事故に対する東電の責任が風化していくようなことは許してはいけません。私たち福島農民連は、東電に対して早期の全面賠償を求めます。


 ――最後に、自由法曹団事務局長の泉澤章さんの激励あいさつの要旨を紹介します。


 加害者の東電が損害賠償の対象を一方的に決めるという異常


 福島原発事故から1年半経過しても、なぜ原発事故に対する損害賠償が進まないのでしょうか? それは、東京電力が損害賠償紛争審査会「指針」の原発事故との「相当因果関係」を盾にして恣意的に自らの賠償額を小さくすることに躍起になっているからにほかなりません。


 東電は損害賠償紛争審査会「指針」の「相当因果関係」があるものはすべて賠償するなどと言っているにもかかわらず、実際には農民連から出された多くの具体的要求に対し、「『相当因果関係』が不明」「指針の類型で明示されてない品目や地域だ」「合理的理由がない」などを理由として、「賠償対象としない」と繰り返しているのです。



 東電は損害賠償をできるだけしたくないから、「指針」の「相当因果関係」を盾にしているわけですが、こんなおかしな話はありません。そもそも原発事故を起こした加害者である東電が決めた「指針」に、被害者である農民がなぜ従わなければいけないのでしょうか? 加害者側が被害者の損害賠償の枠組みを一方的に決めて、加害責任を恣意的にできるだけ小さくしようとするなどありえません。本来は、被害者側が被害にあった損害に対して賠償を求め、そしてそれに対して加害者側がどう応えるのか、というのが本来の損害賠償のやりとりです。加害者側が示した枠組みになぜ被害者側が唯々諾々と従わなければいけないのか。私は法律家としてこんなバカな話はないと言いたい。



 加害者である東電のこうした不遜な姿勢は、被害者から賠償請求があっても理由も何も言わずに受け取りさえ拒否している事例が出ていることにも示されています。


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(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)