2012-08-21 12:16:27

福島原発事故収束作業で労災認定基準超の被曝すでに1万人弱-内部被曝消し健康被害の責任回避する東電

テーマ:原発問題

 NHKのETV特集「ルポ 原発作業員~福島原発事故・2年目の夏」(8月19日放送)を見ました。福島原発事故の収束作業にあたる被曝労働について考えなければならない問題が、原発作業員の現状のルポとともに告発されていましたので、以下、私が番組を見ながらメモした部分を紹介します。(※例によって私のメモは部分的な要旨に過ぎませんこと御了承を。by文責ノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)


 ETV特集「ルポ 原発作業員~福島原発事故・2年目の夏」


 ◆事故収束作業に620社1日3千人の原発作業員


 毎時300マイクロシーベルトの放射線が飛びかう福島第1原発の建屋の上。そこで作業している人の多くは東京電力から発注を受けた下請け企業の作業員たちです。原子炉からの燃料取り出しやがれきの撤去、処理施設の建設などの工事に、620社、1日3千人が携わっています。こうした仕事を担う下請け企業の多くが福島県の東部、浜通りにある中小企業です。


 原発の南30キロに位置するいわき市久之浜町。事故のあと放射能汚染により住民は一時避難を余儀なくされました。この町で20年以上原発の仕事を請け負ってきた東北イノベーターは、大手プラントメーカーの協力企業として、原発の設備工事や保守点検作業を手がけてきました。


 ◆一般人の1年間の被曝限度量1ミリシーベルトの
  2倍近くをわずか1日で受ける原発作業員


 東北イノベーターは、いま福島第1原発の収束作業を請け負っています。収束作業から戻ってきてまず行うのがその日被曝した放射線量の記録です。この日の被曝量は高い人で1.8ミリシーベルトを超えています。一般人の1年間の被曝限度量1ミリシーベルトの2倍近くをわずか1日で受けたことになります。日本政府は原発作業員の被曝限度について国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告にもとづき、5年で100ミリシーベルト以内と定めています。


 福島第1原発では、これから本格的な収束作業が始まる予定ですが、その本格的な収束作業をする原発作業員たちが少しでも余分に被曝しないための段取り、準備の段階の作業をいま東北イノベーターが行っているのです。今後の収束作業のために線量を遮蔽して線量を下げるための作業をしているのですが、その作業で東北イノベーターの社員は建屋に20~30分いただけで約2ミリシーベルト被曝しています。彼らがこの日作業したのは2号機。一連の事故でもっとも大量の放射能を放出したと見られる原子炉です。現在は飛び散った放射性物質を取り除く作業が行われています。特殊な塗料に放射性物質を吸着させて取り除きます。その後ろに作業員の被曝を減らす鉛の遮蔽板があります。この遮蔽板を設置する作業がこの日の東北イノベーターの仕事でした。


 東北イノベーターの社員は口々に語ります。「恐怖ですよ。未知の世界ですから」、「放射線は目に見えないからどうしようもない」、「放射線量が高いところで仕事をするのは無事に帰って来られるのかと特攻隊のような気持ちになる」、「これまでが大変だったのか、これからが大変なのか誰にも分からない」、(1人が大量に被曝すると仕事ができなくなってしまうため)「みんなで放射線量を分け合うしかないですから」。


 去年12月、国は事故処理のロードマップを発表。4つの原子炉の廃炉まで30年から40年かかるという見通しを示しました。


 ◆廃炉に向け今後5年でのべ4万人の原発作業員が必要
  「なんでわざわざ放射線を浴びにいくのか?」
  「原発のほかに仕事がない」


 福島第1原発がある大熊町。2世帯あたり1人の割合で原発で働いてきました。事故によって住民は避難しましたが、今も収入の多くを原発に頼る構図は変わっていません。多くの人が仮設住宅などから原発に通っています。1人が大量に被曝するのを防ぐため作業は人海戦術に頼らざるをえません。その結果、必要な作業員の数は事故前の2倍にふくれあがりました。事故後、福島第1原発で働いた人の数は2万人を超えています。


 いま警戒区域のすぐ外側に作業員の宿舎が次々と建てられています。広野町だけで21カ所。仕事を求めて全国から人が集まっています。廃炉に向けては少なくとも1兆円以上が投じられる予定です。被曝限度を考慮した国の試算では今後5年でのべ4万人の作業員が必要になると見込まれています。


 震災や放射能汚染で仕事を失った地元の人々が、新たに原発の仕事を選ぶケースも増えています。第1原発から西に25キロの川内村。福島原発事故の前は公共事業の仕事をしていた渡辺重建。原発事故で公共事業がストップしてしまったため福島第1原発での建設作業をやるほかなくなりました。「なんでわざわざ放射線を浴びにいくのか?と最初は思いましたけど、人間慣れてきますね」、「ほかに仕事がない」、「すでに半年で40ミリシーベルト被曝した」、「被曝限度を超えて仕事ができなくなっても東京電力が何かしてくれるわけでなく、原発作業員は使い捨てなのかと感じる」と語る渡辺重建の社員たち。


 福島第1原発で仕事をしている会社は全部で600社以上。東京電力の下に何重もの請負の構造が形づくられています。東京電力は元請けと呼ばれるプラントメーカーに発注します。それらの仕事は地元ゼネコンなど1次下請けに発注され、そこからさらに2次下請けに出されます。なかには請負が6次、7次にまで連なるケースもあります。
 いま福島第1原発で働く作業員の6割は福島住民です。「ずっと原子力をやってきましたからね。今さら逃げるわけにいかないしね」「今までやってきた仕事だから。家族を守るため生活のため、被曝は仕方がない」と語り、事故後も原発作業員を続ける福島住民。


 ◆原発事故で被災した人々が
  原発での仕事を続けるために被曝を隠す悲劇


 先月(7月)、原発作業員の線量計を鉛の板でおおい、被曝線量を実際より少なくみせようとしたケースが発覚し、国が実態調査に乗り出しました。線量を低くおさえなければ原発で長く働くことはできません。原発事故で被災した人々が原発での仕事を続けるために被曝を隠す悲劇が起こっているのです。


 国がこれまで原発による放射線被曝による労働災害として認定したのは11件。白血病や悪性リンパ腫など限られた病気のケースだけです。


 福島原発の地元の双葉郡で40年以上に渡って原発作業員の支援をしてきた石丸小四郎さん。福島原発に関連した労災認定6件のうち3件を手伝ってきました。1980年には地元の作業員100人から聞き取り調査を行いました。当時は原発の定期点検のときなどに1日数ミリシーベルトという高い被曝をすることがありました。しかし、健康を害しても、本人が労災の申請をためらったり、会社がそもそも労災保険に加入していなかったりするケースが数多くありました。


 「当時、労災申請は眼中にない時代でしたから、本来加入するべき健康保険、厚生年金にも加入できないという訴えが多くありましたね。それを東京電力に交渉で言ったら、東京電力は『第3ランクの2次下請けまではきちんと加入しています。しかし、それ以下については把握できません』という回答でした」と語る石丸さん。


 石丸さんが支援した原発作業員に、12年間働き、白血病で亡くなったケースがあります。1999年の秋、その男性は突如ひどい疲れを訴え、仕事に出られなくなりました。検査を受けると白血球の数値が大きく低下しており急性白血病と診断され、男性はその1カ月後亡くなりました。12年間で74ミリシーベルトの被曝をしていました。遺族から相談を受けた石丸さんは東京電力に問い合わせました。しかし、男性の被曝は5年間で100ミリシーベルトの法令限度以下であり、東京電力に責任は無いとの回答でした。そこで石丸さんは遺族とともに労働基準監督署に労働災害として申請。10カ月後、認められました。国は白血病での労災認定について昭和51年に通達を出しています。1年あたり5ミリシーベルト以上の被曝がありかつ被曝開始から発病までが1年を超えていれば労災認定の対象になるとしています。たとえ法令が定める被曝限度以下であっても健康障害が起こる可能性があり、そうした疾病は救済されるべきという立場です。


 ◆労災認定基準の1年あたり5ミリシーベルトに達した

  原発作業員は事故後、少なくとも9,800人を超えている
  ――「将来健康に障害が出ても保障は求めない」
      という同意書にサインさせられる原発作業員


 いま石丸さんが心配なのは、事故後の福島原発で働く作業員たちの被曝です。白血病の被曝線量に関する労災認定基準1年あたり5ミリシーベルトに達した人は少なくとも9,800人を超えているのです。


 この日、石丸さんは地元の40代の男性を訪ねました。原発事故後、去年12月から福島第1原発でがれきの処理などの作業に従事し3カ月間働きました。男性が持っていた放射線管理手帳。原子力施設で働く作業員全員に発行されるものです。働いている間は会社にあずけられ、やめる際にこれまでの線量の合計を記入して返却されます。1カ月で5ミリシーベルト被曝。「日給はおよそ平均で2万円弱ぐらい。危険手当と被曝手当があって、被曝手当はその日に被曝する量によって金額が変動する。たとえば0.3ミリシーベルト被曝すると0.1ミリシーベルトに対して1,000円、0.15ミリシーベルトであれば1,500円とか、そんなふうに出してる会社もあれば、ゼネコンとかメーカーによって危険手当の額もバラツキはありますけどね」と語る男性。この男性は、危険手当を受け取る際、「将来健康に障害が出ても保障は求めない」という同意書にサインを求められていました。


 男性は語ります。


 「危険手当をもらうにあたって入所するときに誓約書を書かされて、これをもらう代わりに異議申し立てをしない。今後、身体に何があっても異議申し立てをしないという誓約書を書かされますね」


 「収束作業で仕事をもらってるから東電を守んなきゃみたいな部分が暗黙のうちにあるのかなって思います」


 こう語る男性に対して、「実際はこうした同意書があっても病気になれば労災申請は可能だ」と石丸さんはアドバイスしました。


 ◆3カ月に1度、内部被曝はゼロにリセットされる


 きょうは渡辺重建の社員の3カ月に1度の内部被曝の検査です。5年で100ミリシーベルトの被曝限度量の中には毎日線量計で測る外部被曝に加えて内部被曝も含まれます。東京電力が内部被曝の測定に使っているのは簡易型のホールボディーカウンター。この機器では放射性物質の種類を特定することができないため正確な被曝線量は分かりません。測定の結果、高い値の人だけがさらに詳しい検査を受ける仕組みになっています。渡辺重建の社員の1人の値は約0.06ミリシーベルトでした。社員は「まったく問題ない値」と語ります。しかし、この値は記録には残りません。かりに精密検査に回ったとしても2ミリシーベルト未満の数値はゼロとみなされ放射線管理手帳に記録されないのです。なぜこうした運用が行われているのか、東京電力にたずねました。


 「いわゆる内部被曝に関しましてはホールボディーカウンターという装置で測りますが、人間の体内にはもともと主にカリウム40というものが含まれております。従いましてもともと入っているものと新たに内部被曝で取り込んだものとの区別がなかなかつかないもののレベルにつきましては記録レベル未満というデータの扱いをしています。実際に値として2ミリシーベルト未満の場合には記録レベル以下ということで記録しています」


 ――ゼロと記録されるということでしょうか?


 「扱い上はゼロですが、記録レベル未満という記録になります」と、平然と受け答えする東京電力。


 東京電力は2ミリシーベルト未満は記録する必要がないという立場です。しかし、白血病になった原発作業員が年間5ミリシーベルト以上で労災認定を受けることを考えると記録に残すべきだと指摘する専門家もいます。


 渡辺重建の社員は、内部被曝はゼロの記録ですが、しかし、外部被曝だけですでに37ミリシーベルトに達しているのです。


 「何年、何十年後かに身体がおかしくなるという可能性はあると思う。でも何年も経っているから原発作業による放射線被曝との因果関係が認められないというふうになっていくんじゃないかなとすごい思うんですよ。先のことってそんなリアルに想像できないけど、そうなるかも知れないなっていう不安は当然ありますよ。先が見えないんじゃくなくて先を見てない。自分自身が先を見たくないんじゃないか。見たくない、見たくないって。半年後ですら見えないですから俺は」と語る渡辺重建の社員。


 今年7月末までに第1原発では熱中症が6件発生しています。防護服と全面マスクに身を包んでの作業が大きな負担となっているからです。とりわけ作業のあと、身体や車の汚染をチェックする待ち時間が長くて辛いと言います。汚染チェックの時間になると原発の敷地内に長い車の列ができます。その間、作業員たちは炎天下で全面マスクをかぶり水を飲むこともできません。汚染チェックは、車で30分ぐらい、身体で30分から1時間ぐらいかかります。


 ほかに実入りの良い仕事がない以上、原発に頼らざるを得ません。渡辺重建の渡辺社長は、「線量の低い現場の仕事を取ってくることが従業員のためにできる精一杯だ」と言います。「原発作業員が一番身分が低い状況だと思うんですよね。何も言えなくて。その人達に対して、国の方では、現に今、雇用がないわけです。それで原発で仕事して線量が一杯になったら仕事がなくなる。その後はどうしてくれるのか? 彼らは被災者であるわけですからね。その事故を起こした会社の仕事をやっているわけですけど」と語る渡辺社長。渡辺重建の社員も被曝限度に達すればやがて働けなくなる日がやってきます。


 きょうも3千人の作業員が働く福島第1原発。廃炉までには40年かかると言われています。必要となる作業員は今後5年間だけでのべ4万人。あと何人がどれだけ被曝すれば廃炉に至るのか? 具体的な見通しはまだ立っていません。

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