民自公3党は原発をなくすどころか原子力の軍事利用に道ひらく原子力基本法改悪を強行した | すくらむ

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 昨日、講演内容を紹介した池内了(さとる)総合研究大学院大学教授 は、「世界平和アピール七人委員会」のメンバーのひとりでもあります。


 「世界平和アピール七人委員会」は1955年に生まれ、湯川秀樹さん(ノーベル賞学者)や平塚らいてうさん(日本婦人団体連合会会長)らが発足メンバーとして加わっていました。
(※現在のメンバーは→
http://worldpeace7.jp/modules/pico/index.php?content_id=118  )


 池内了教授は、「世界平和アピール七人委員会」が6月19日に発表したアピール「原子力基本法の基本方針に『安全保障に資する』と加える改正案の撤回を求める」 について、第30回国立試験研究機関全国交流集会の記念講演の中で要旨以下のように紹介しました。


 憲法のもとに1955年に制定された原子力基本法は、基本方針の第2条で、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と明記されました。


 この原子力の利用を「平和の目的に限り」、「自主」「民主」「公開」で行うという「原子力平和利用3原則」の存在を、歴代政府みずからも原子力の軍事利用ができない理由としていました。今回の「改正」は、この原子力基本法の基本方針の第2条に「第2項」として「安全保障に資する」を加え、原子力の平和目的に限る利用から軍事利用に道を開くことをねらったものと言わざるをえません。


 国内外からのたびかさなる批判に耳を傾けることなく、使用済み核燃料から、採算が取れないプルトニウムを大量に製造・保有し、ウラン濃縮技術を保持し、高度なロケット技術を持つ日本の政治家と官僚の中に、「核の潜在的抑止力を持ち続けるためにも、原発をやめるべきではない」などと核兵器製造能力を維持することを公然と唱えるものがいることや、核兵器廃絶への世界の潮流に反して、日本政府がアメリカに対して拡大抑止、「核兵器の傘」の維持を求め続けていることを思い浮かべれば、原子力基本法第2条の基本方針の第1項「平和目的限定」と、今回付け加える第2項「安全保障に資する」の間に、矛盾を持ち込んで実質的な原子力の軍事利用に道を開くという可能性を否定できません。


 政府答弁では、IAEA(国際原子力機関)の「安全保障措置」を意味しているにすぎないと強弁していますが、これは成り立つ話ではありません。IAEAの「安全保障措置」は「セーフティーガード」で軍事的な意味ではありませんが、この法案の「安全保障」は「セキュリティーガード」であり軍事的な意味を持つものです。いずれにしても「安全保障」という名において日本はどんどん軍事化しているという事実があるのですから成り立つものではないのです。


 加えて、国会決議で、平和利用に限り、公開・民主・自主の下で進められてきた日本の宇宙研究・開発・利用が、宇宙基本法の目的に、「わが国の安全保障に資すること」を含めることによって、軍事利用の道を開いたことを忘れることもできません。軍事利用に道を開いた宇宙基本法に連動する形で「平和目的に限る」という条項が入っていたJAXA法も宇宙の軍事利用へと改悪されてしまったこともこうした流れと軌を一にするものです。


 こうした重大な事態が次々と今国会で進んでいます。民主党と自民党と公明党の3党が合意すれば――つまり大連立すれば、何でも通るというわけです。この原子力基本法の基本方針に「安全保障に資する」と加える重大な問題をはらむ法案が民自公3党の協議による議員立法という形で突然出されて衆議院で審議されたのはたったの2時間です。この法案が出されたのは審議のわずか2時間前です。265ページに及ぶこの分厚い法案を、みんなの党が受け取ったのは、審議の2時間前で「これで審議しろ」と言われ、質問を考える時間も与えられなかったのです。そして、2時間の審議で民自公3党で決められてしまったのです。この問題においても、大連立が非常に怖い状況を生み出しているのです。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)