「国民の生活が第一」から「国民の生活が台無し」になるマニフェスト違反の消費増税-野田民主党の自壊 | すくらむ

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 自民党の谷垣禎一総裁は、今年1月の国会代表質問 で次のように述べています。(※ちょっと引用が長くなりますが、意外にもまともなことを言っていますので我慢して読んでみてください)


 あなたが消費税率引上げを決めたことはマニフェスト違反でないといかに強弁しても、その弁明を真に受ける有権者など皆無です。マニフェストを掲げて政権交代を果たしながら、次々と政策を翻していった民主党政権に対する国民の視線は厳しいものがあります。


 野田総理は、先の衆議院総選挙において「4年間の任期中に消費税の税率引き上げを決めることに賛成か反対か」という新聞社の候補者アンケートに対し、「反対」と答えていますね。これはいまだにホームページにも掲載されており、こうした回答にもかかわらず、今は総理として自らの手で消費税率引上げを決めようとされていますが、あなたの言を信じて1票を投じた千葉4区の有権者にどう答えられるのですか。これは岡田副総理・安住財務大臣も同様の回答であり、当時の民主党代表にいたっては20年間は消費税を上げないとまでテレビで国民に明言していましたが、総理はそのことに一政治家として何の良心の呵責もないのでしょうか。誰が政権をとっても避けて通れぬ課題と開き直るばかりでは、民主主義の原点であり、国民から主権を預かる選挙、衆議院総選挙はどのような意味を持つのでしょうか。お答えください。


 総理は当時、自ら繰り返し次のように街頭で演説されています。「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです」と。さらに、当時与党であったわが党を批判して「書いてないことは平気でやる。それはマニフェストを語る資格がない」とも述べておられます。


 こうした総理自身の言葉に照らせば、マニフェストに書いていないからマニフェスト違反ではないなどというのが詭弁に過ぎず、特に憲法上の財産権の保障という国民の権利に直結する税の問題だけに、なおさら一体改革のマニフェスト違反は明らかです。


 民主党がこのまま消費税増税に突き進むことは、主権者は国民であるとの議会制民主主義の根本を否定する行為であり、断じて容認できないということです。


 私たちは議会制民主主義の歴史が租税とともに歩んできたことを忘れてはなりません。


 すなわち、今日の議会制民主主義の繁栄の淵源は、1215年でイギリスにおいて大憲章「マグナ=カルタ」に盛り込まれた「議会の同意なく税金、戦争協力金などの名目で課税してはならない」という条項にあります。


 爾来、国家の課税に対する国民の意思こそが、人々の政治への参画、ひいては議会制民主主義の発展の原動力となったのであり、このことはその後の「権利請願」及び「権利章典」を始めとするイギリス議会の歴史、「代表なくして課税なし」をスローガンとしたアメリカ独立戦争の歴史、主権在民を前提として納税の義務を明記したフランス人権宣言が示しています。


 私たちの議席はこうした長い歴史の積重ねと先人たちの文字通りの血と汗の上に築き上げられたものであり、その証が今日の憲法が定める租税法律主義の規定です。民主主義の下では租税の分担ルールである税制が国民の合意の下によって決定されることが、国民の納税の義務を支える礎であり、であればこそ、税制は主権者である国民に正直に訴え、その訴えが受け入れられるとその意思を反映して、国民の代表で組織される国会で法律により議決されるのです。


 このことからして、主権者を欺いて当選した民主党議員の投票で選ばれた民主党政権は、民主党マニフェストという偽りに満ちた国民との契約によって簒奪された多数の議席を利用して、マニフェスト違反の消費税率引上げを行う権限を主権者から与えられてはいないのです。それは議会制民主主義の歴史への冒涜であり、国権の最高機関の成り立ちを否定するものです。


 ――以上が、「第180回通常国会における代表質問」(谷垣禎一衆議院議員、2012年1月26日) からの抜粋です。


 「マニフェスト違反の消費税率引上げを行う権限を主権者から与えられてはいないのです。それは議会制民主主義の歴史への冒涜であり、国権の最高機関の成り立ちを否定するものです」というのは、議会制民主主義のあたり前の基本的なことにすぎませんが、自民党にしてはおそろしくまっとうな発言です。


 しかし、その「議会制民主主義の歴史への冒涜」である消費税増税を、自民党も一緒になって衆院で強行採決したのですから、上記で紹介した谷垣自民党総裁の言葉はそっくりそのまま自民党みずからにもあてはまるということです。


 そして、昨日の衆院予算委員会で、野田首相は、消費税率の引き上げを次の衆院選挙の民主党の政権公約に明記するかと問われたのに対し、「約束としてマニフェストに明記したいと考えている」、「マニフェストを順守するかどうかが公認の基準になる。マニフェストに明記することに賛同できなければ、公認の基準から外れる」と明言し、消費税率の引き上げに反対する議員は次の衆院選挙で公認しない考えを示しています。


 「マニフェストを順守するかどうかが公認の基準」、「マニフェストに明記することに賛同できなければ、公認の基準から外れる」という野田首相の発言も議会制民主主義にとってあたり前の基本的なことですが、この野田首相の言葉もみずからにブーメランのように帰ってきます。


 民主党は、そもそも先の衆院総選挙で「4年間の任期中に消費税の税率引き上げはやらない」「20年間は消費税を上げない」と公約し、マニフェストには消費税増税を明記していません。ようするに現在の民主党のマニフェストは「消費税増税反対」なのです。いまの民主党のすべての衆院議員は、「消費税増税反対」というマニフェストを順守して民主党の公認となって当選したのです。


 野田首相の言葉どおり、この「消費税増税反対」の「マニフェストを順守するかどうかが公認の基準になる。マニフェストに明記することに賛同できなければ、公認の基準から外れる」のですから、衆院で消費税増税に賛成した民主党の国会議員は全員「公認の基準から外れる」のです。現在の政権与党としての民主党の正当性は、野田首相みずからの言葉によって瓦解しているのです。


 民主党は、小沢新党の結成を受けて「国民の生活が第一」に代わる新たなキャッチフレーズをつくるための作業チームを立ち上げると報道されていますが、公約違反の消費税増税を強行しようとする民主党にもっともふさわしいキャッチフレーズは「国民の生活が台無し」でしょう。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)