1時間に3人の高齢者が孤立死・孤独死している日本社会 - 絶望の国の不幸な高齢者たち | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 全国各地で孤立死・孤独死が多発しています。ニッセイ基礎研究所は「セルフ・ネグレクトと孤立死に関する実態調査と地域支援のあり方に関する調査研究報告書」の「孤独死のリスクと向き合う」 の中で、「孤立死を『自宅にて死亡し、死後発見までに一定期間経過している人』」として、「人口動態統計(厚生労働省)」などで推計をおこない、「(65歳以上の)死者100人のうち8.36人が死後2日以上、5.69人が死後4日以上、3.90人が死後8日以上経過して発見されるという実態がある。その確率を元に全国の推計を行うと、全国において年間1万5,603人(男性1万622人、女性4,981人)の高齢者が死後4日以上を経て発見される状態で亡くなっていることになる」と発表しています。(※下のグラフは孤立死数の推計を私が棒グラフにしたものです)


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 ニッセイ基礎研究所は、死後4日以上経過して遺体が見つかった65歳以上の高齢者を「孤立死」としています。その数、年間1万5,603人ですから1日に42人が「孤立死」していることになります。「死後2日以上」まで広げると、2万6,821人ですから1日73人、1時間に3人が「孤立死」していることになります。これほどの人数の高齢者が誰にもみとられることもなく息を引き取る社会は異常ではないでしょうか。


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 上のグラフは内閣府の「国民生活白書」(2008年版)に掲載されている「年齢による幸福度の推移」 で、白書は「日本人の幸福度は高齢になっても上昇しない」とし次のように指摘しています。


 「これまでの諸外国における調査では、年齢と幸福の間にU字型の関係があるとの結果が出ているものが多い。つまり、若者と高齢者は熟年層よりも幸福だというのである。その理由としては、熟年層に入る頃には、自分の人生がある程度定まってくるので、人々は若い頃持っていた野心を実現することをあきらめざるを得ないから幸福度が下がる。その後の高齢期に入ってからは考え方を変え、後半の人生を楽しく充実させようと努力するから幸福度がまた高まるのではないかとの考察がなされている。しかし、今回の推計ではU字型にはなっておらず、67歳を底にして79歳にかけて幸福度はほとんど高まらないL字に近い形状を取っており、アメリカの結果と比べても我が国は特異と言える」


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 上のブラフは内閣府の「国民生活選好度調査」(2008年版)に掲載されている「老後に明るい見通しを持っている」人の割合 で、年々老後の見通しが暗くなっていることが分かります。


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 憲法25条は国民の生存権を保障し国に社会保障の充実を義務付けています。しかし、上の表にあるように、「貧困を解消するための公費支出」の国際比較で、対国民所得比で見ても、対GDP比で見ても、日本は最下位です。そして上のグラフにあるように、税と社会保障による貧困改善効果は、OECD17カ国平均9.8%に対して、日本は3分の1以下の3.0%と最低です。


 いま日本社会に緊急に求めれているのは、「貧困を解消するための公費支出」と「税と社会保障による貧困改善効果」を抜本的に増加させることです。野田政権は消費税増税を狙っていますが、貧困層に最も負担の重い消費税増税は「貧困を解消する」どころか貧困をさらに増大させ、「税による貧困改善効果」を一層低下させるものです。「孤立死」「孤独死」「餓死」をさらに増大させる消費税増税は絶対に許されません。


 もちろん、地域住民による見守りやネットワーク、通報体制づくりなども重要ですが、社会のベースとなる「貧困を解消するための公費支出」と「税と社会保障による貧困改善効果」をまともなものに改善しなければ、誰もが人間らしく暮らせる社会は到底実現できません。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)