全国で相次ぐ「餓死」「孤立死」事件をどう捉えるべきか | すくらむ

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 ※全国「餓死」「孤立死」問題調査団の意見書を紹介します。


 全国で相次ぐ「餓死」「孤立死」事件をどう捉えるべきか


             2012年3月12日
             全国「餓死」「孤立死」問題調査団
             (構成団体:生活保護問題対策全国会議
                   全国公的扶助研究会
                   全国生活保護裁判連絡会議)


 日本では、今年になっていわゆる「餓死」「孤立死」が連続して5件(①札幌市白石区〔2012年1月20日、40歳代姉妹〕、②さいたま市北区〔同年2月20日、60歳代夫婦と30歳代の息子〕、③東京都立川市〔同年2月20日、45歳母親と4歳の障害児〕、④東京都台東区〔同年2月20日、90歳代と60歳代の父娘〕、⑤東京都立川市〔同年3月8日、90歳代と60歳代の母娘〕)も発生する異常事態となっている。


 いわゆる「孤独死」問題が社会問題と認識されて数年となるが、約1ヶ月の間に連続して5件もの「餓死」「孤立死」が発生するのは初めてのことである。こうした事態は、貧困問題や生活保護問題に取り組む、私たち民間団体としては、とうてい看過できない。


 それぞれの事件の詳細は、新聞報道等のレベルでしか把握できないが、それでも、これらの事件に共通する問題点として以下の諸点を指摘できる。


 第1に、日本においては、2009年の貧困率が16%に達し、年々拡大悪化するばかりの貧困が、社会の隅々まで広く深く進行しているということである。


 第2に、にもかかわらず、生活保護をはじめとするセーフティネットは穴だらけで十分に機能していないということである。日本の生活保護受給率は、増えたとはいえわずか1.6%であり諸外国(ドイツ9.7%、イギリス9.3%、フランス5.7%)に比して著しく低く、捕捉率は2割程度で膨大な漏給層が存在する。


 第3に、にもかかわらず、漏給防止策が大々的に実施されることはなく、逆に社会保障費の財政負担を問題視し、不正受給対策のみが声高に叫ばれ、生活困窮者にとって社会福祉制度がますます使いづらいものとされているということである。厚生労働省は、同様の悲劇が明らかになるたび、2000年4月以降6回にもわたって、電気ガス事業者等との連携強化による困窮者の把握を求める通知を発している。しかし、同様の悲劇が繰り返されていることからすれば、本気で漏給防止策を講じるつもりなどなく通知は単なるポーズに過ぎないのではないかと疑われてもやむ得まい。


 第4に、こうした構造的な背景がある以上、構造的問題が是正されなければ、今後も「餓死」「孤立死」は日本全国で起こり続けるであろうということである。とりわけ、阪神淡路大震災後の経験に照らせば、震災から1年を経過した今後、東日本大震災の被災地において孤立死が続発することも懸念される。


 以上のような問題意識から、私たちは、これら頻発する「餓死」「孤立死」の実態を究明し、責任の所在を明らかにするとともに、二度とこのような悲惨な事態を起こさないために、全国「餓死」「孤立死」問題調査団を結成することとした(今後呼びかけを広げ、構成団体を増やしていく予定である)。当面、以下の行動を行う計画である。


                   記


 1 所管自治体等への調査


 「餓死」「孤立死」が発生した所管自治体に別紙の公開質問や実地調査等を行い、原因の究明、再発防止策の構築についての現時点での所管自治体の認識を明らかにする。


 とくに、札幌市白石区については、3回も生活保護の利用を求めたにも関わらず、生活保護を拒否された姉妹が死に至っているため、現地調査を行う。


 2 「餓死」「孤立死」防止のための提言


 1の調査を踏まえ、必要な提言を行う。


                                         以上


                            2012年3月12日
 「餓死」「孤立死」についての公開質問状


 札幌市・白石区長 殿


 わたしたちは、貧困に起因する「餓死」「孤立死」などを日本から根絶することを目指し、生活保護などの貧困問題に取り組む民間団体で結成した調査団です。


 残念なことに貴区において、2012年1月20日、40歳代の姉妹が「餓死」「孤立死」しているのが発見されたとの報道がされています。私どもは、こうした事態を二度と起こさないために、以下の公開質問をしますので、お答えいただきますようお願いします。


 なお、ご多忙中にお手数をおかけして誠に恐縮ですが、3月末日までにご回答くださるようお願いいたします。


 【質問事項】


 1 〔事実関係〕亡くなられた方々の死因、関係諸機関が公共料金の滞納等の生活困窮状況の徴表事実を把握した経緯、死体を発見するに至った経緯などの事実関係について、すでに報道されているものも含め、現時点において把握されている限りでお答えください。


 2 〔福祉的給付、手当〕亡くなられた方々の世帯が、給付されていた手当(年金、児童扶養手当等)や、利用していた福祉サービス(ホームヘルパー等)などについて、すでに報道されているものも含め、現時点において把握されている限りでお答えください。


 3 〔生活保護〕亡くなられた方々は、報道を見るだけでも、相当厳しい困窮状態にあったことが推察されます。亡くなられた方々の世帯の最低生活費が幾らであるか、2で述べた社会手当を含む当該世帯の合計月収が幾らであったか、お答えください。また、貴区に対して、生活保護の相談はなかったのか、あった場合になぜ生活保護が適用されなかったのか、その理由を教えてください。


 貴区における過去5年間の生活保護受給世帯数・受給者数(受給率)、相談件数、申請件数(申請率)、保護開始件数(開始率)、受給世帯類型の比率の内訳をご回答ください。


 4 〔「餓死・孤立死」の原因〕亡くなられた方々がなぜ「餓死」「孤立死」されたのか、その原因についての貴殿の認識をお示しください。


 5 〔「餓死・孤立死」防止策〕これら「餓死」「孤立死」等を二度と起こさないために、関係諸機関との連携、生活保護制度の周知・活用などを具体的にどのように図っていくのか、貴区における今後の取り組みについてご教示ください。

                                      以上

             

                            2012年3月12日

 「餓死」「孤立死」についての公開質問状


 さいたま市・北区長 殿


 わたしたちは、貧困に起因する「餓死」「孤立死」などを日本から根絶することを目指し、生活保護などの貧困問題に取り組む民間団体で結成した調査団です。
残念なことに貴区において、2012年2月20日、60歳代夫婦と30歳代の息子が「餓死」「孤立死」しているのが発見されたとの報道がされています。私どもは、こうした事態を二度と起こさないために、以下の公開質問をしますので、お答えいただきますようお願いします。


 なお、ご多忙中にお手数をおかけして誠に恐縮ですが、3月末日までにご回答くださるようお願いいたします。


【質問事項】


 1 〔事実関係〕亡くなられた方々の死因、関係諸機関が公共料金の滞納等の生活困窮状況の徴表事実を把握した経緯、死体を発見するに至った経緯などの事実関係について、すでに報道されているものも含め、現時点において把握されている限りでお答えください。


 2 〔福祉的給付、手当〕亡くなられた方々の世帯が、給付されていた手当(年金、児童扶養手当等)や、利用していた福祉サービス(ホームヘルパー等)などについて、すでに報道されているものも含め、現時点において把握されている限りでお答えください。


 3 〔生活保護〕亡くなられた方々は、報道を見るだけでも、相当厳しい困窮状態にあったことが推察されます。亡くなられた方々の世帯の最低生活費が幾らであるか、2で述べた社会手当を含む当該世帯の合計月収が幾らであったか、お答えください。また、貴区に対して、生活保護の相談はなかったのか、あった場合になぜ生活保護が適用されなかったのか、その理由を教えてください。


 貴区における過去5年間の生活保護受給世帯数・受給者数(受給率)、相談件数、申請件数(申請率)、保護開始件数(開始率)、受給世帯類型の比率の内訳をご回答ください。


 4 〔「餓死・孤立死」の原因〕亡くなられた方々がなぜ「餓死」「孤立死」されたのか、その原因についての貴殿の認識をお示しください。


 5 〔「餓死・孤立死」防止策〕これら「餓死」「孤立死」等を二度と起こさないために、関係諸機関との連携、生活保護制度の周知・活用などを具体的にどのように図っていくのか、貴区における今後の取り組みについてご教示ください。

                                     以上


                            2012年3月12日

 「餓死」「孤立死」についての公開質問状


 東京都・台東区長 殿


 わたしたちは、貧困に起因する「餓死」「孤立死」などを日本から根絶することを目指し、生活保護などの貧困問題に取り組む民間団体で結成した調査団です。
残念なことに貴区において、2012年2月20日、90歳代と60歳代の父娘が「餓死」「孤立死」しているのが発見されたとの報道がされています。私どもは、こうした事態を二度と起こさないために、以下の公開質問をしますので、お答えいただきますようお願いします。


 なお、ご多忙中にお手数をおかけして誠に恐縮ですが、3月末日までにご回答くださるようお願いいた

します。


【質問事項】


 1 〔事実関係〕亡くなられた方々の死因、関係諸機関が公共料金の滞納等の生活困窮状況の徴表事実を把握した経緯、死体を発見するに至った経緯などの事実関係について、すでに報道されているものも含め、現時点において把握されている限りでお答えください。


 2 〔福祉的給付、手当〕亡くなられた方々の世帯が、給付されていた手当(年金、児童扶養手当等)や、利用していた福祉サービス(ホームヘルパー等)などについて、すでに報道されているものも含め、現時点において把握されている限りでお答えください。


 3 〔生活保護〕亡くなられた方々は、報道を見るだけでも、相当厳しい困窮状態にあったことが推察されます。亡くなられた方々の世帯の最低生活費が幾らであるか、2で述べた社会手当を含む当該世帯の合計月収が幾らであったか、お答えください。また、貴区に対して、生活保護の相談はなかったのか、あった場合になぜ生活保護が適用されなかったのか、その理由を教えてください。


 貴区における過去5年間の生活保護受給世帯数・受給者数(受給率)、相談件数、申請件数(申請率)、保護開始件数(開始率)、受給世帯類型の比率の内訳をご回答ください。


 4 〔「餓死・孤立死」の原因〕亡くなられた方々がなぜ「餓死」「孤立死」されたのか、その原因についての貴殿の認識をお示しください。


 5 〔「餓死・孤立死」防止策〕これら「餓死」「孤立死」等を二度と起こさないために、関係諸機関との連携、生活保護制度の周知・活用などを具体的にどのように図っていくのか、貴区における今後の取り組みについてご教示ください。

                                      以上


                            2012年3月12日

 「餓死」「孤立死」についての公開質問状


 東京都・立川市長 殿


 わたしたちは、貧困に起因する「餓死」「孤立死」などを日本から根絶することを目指し、生活保護などの貧困問題に取り組む民間団体で結成した調査団です。


 残念なことに貴市において、2012年2月20日には45歳の母親と4歳の障害児が、2012年3月8日には90歳代と600歳代の母娘が「餓死」「孤立死」しているのが相次いで発見されたとの報道がされています。私どもは、こうした事態を二度と起こさないために、以下の公開質問をしますので、お答えいただきますようお願いします。


 なお、ご多忙中にお手数をおかけして誠に恐縮ですが、3月末日までにご回答くださるようお願いいたします。


【質問事項】


 1 〔事実関係〕亡くなられた方々の死因、関係諸機関が公共料金の滞納等の生活困窮状況の徴表事実を把握した経緯、死体を発見するに至った経緯などの事実関係について、すでに報道されているものも含め、現時点において把握されている限りでお答えください。


 2 〔福祉的給付、手当〕亡くなられた方々の世帯が、給付されていた手当(年金、児童扶養手当等)や、利用していた福祉サービス(ホームヘルパー等)などについて、すでに報道されているものも含め、現時点において把握されている限りでお答えください。


 3 〔生活保護〕亡くなられた方々は、報道を見るだけでも、相当厳しい困窮状態にあったことが推察されます。亡くなられた方々の世帯の最低生活費が幾らであるか、2で述べた社会手当を含む当該世帯の合計月収が幾らであったか、お答えください。また、貴区に対して、生活保護の相談はなかったのか、あった場合になぜ生活保護が適用されなかったのか、その理由を教えてください。


 貴区における過去5年間の生活保護受給世帯数・受給者数(受給率)、相談件数、申請件数(申請率)、保護開始件数(開始率)、受給世帯類型の比率の内訳をご回答ください。


 4 〔「餓死・孤立死」の原因〕亡くなられた方々がなぜ「餓死」「孤立死」されたのか、その原因についての貴殿の認識をお示しください。


 5 〔「餓死・孤立死」防止策〕これら「餓死」「孤立死」等を二度と起こさないために、関係諸機関との連携、生活保護制度の周知・活用などを具体的にどのように図っていくのか、貴区における今後の取り組みについてご教示ください。

                                         以上