国民の安全を軽視する国家公務員総人件費2割削減-OECD平均の半分以下まで落ち込む異常な日本 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 昨日、岡田克也副総理が、今国会提出予定の「行政構造改革実行法案」に、国家公務員総人件費2割削減を明記すると表明したことがマスコミ報道されています。


 国家公務員の総人件費を削減するためのツールは、人事院勧告を大幅に上回る憲法違反の連年の賃下げ と、「地域主権改革」なども活用した国家公務員数削減です。


 しかし、「国家公務員の賃下げは財源確保どころか財源を減少」 させる愚策ですし、国家公務員数削減は「国民の安全を軽視するもの」(『福島民報』)です。『福島民報』はこう報道しています。


 ▼災害対応、施設整備に懸念市町村の反発続出

  国出先機関の移管構想
  (『福島民報』2012年2月5日付より抜粋)


 国の出先機関改革に対し市町村の反対意見が続出している。国土交通省地方整備局の地方への移管が現実味を帯び、災害対応やインフラ整備に影響が出るのではないかとの懸念が背景。


 政府が昨年末、整備局を含む三機関を地方移管の「候補」と明記した文書を決定後、市町村の反発が噴出した。


 整備局は、重要インフラの整備や管理が主要業務で、東日本大震災では、幹線道路などの早期復旧に高い評価を得た。市町村は、地方移管によるノウハウ不足で大災害時の対応が遅れたり、予算の制約から地域のインフラ整備が滞ったりするのではないかと不安視している。


 全国の市町村長約120人でつくる「地方を守る会」(代表・国定勇人新潟県三条市長)は移管候補の機関が決定した翌日、整備局存続の要望書を関係省庁に提出。「大震災で出先の役割が再認識された。改革は国民の安全を軽視するものだ」と訴える。


 そして、国の出先機関廃止、地方移管に反対する市町村は300超に急増しています。


 ▼反対市町村300超に急増
  3月に東京で決起大会 出先機関廃止・地方移管
  (『建設通信新聞』2012年2月7日付より抜粋)


 出先機関廃止、地方移管に反対する市町村の活動は、昨年末から徐々に活発になり始めた。


 2011年12月に國定勇人新潟県三条市長、立谷秀清福島県相馬市長、石原正敬三重県菰野町長らが中心となり、120余りの市町村で構成する「地方を守る会」が発足。同月末には、前田武志国土交通相と経済産業省の北神圭朗政務官を始め、川端達夫内閣府特命担当相らに拙速な廃止議論が進まないよう、要望書を提出した。その後も市町村長が自らのネットワークを生かしながら参加を呼び掛け、同会に賛同した市町村は2月までのわずか2カ月間で、発足当初の3倍程度となる300超に急増した。


 市町村の主張は、東日本大震災を始め、2011年の全国各地を襲った水害を振り返り、国の出先機関の役割が改めて認識されたことで一致。特に、国交省の地方整備局や経産省の地方経済産業局と市町村が一体となり復旧を進めた経験を、全国でも共有すべきだと訴えている。


 同会は賛同する市町村が急増している状況を踏まえ、3月に東京で市町村長が一堂に会する決起大会を開催する予定だ。当面は全国の市町村の3割程度に当たる500市町村が同会への参加を目指す。


 そもそも日本は下のグラフにあるように、公務員数と人件費の面から見ても「小さすぎる政府」です。


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 上のグラフにあるように、「人口千人当たりの公務員数」も「労働力人口に占める公務員数」も「国・地方の総支出に占める公務員人件費」も「対GDP比の公務員人件費」も、すべてOECD諸国の中で断トツで最下位です。そして、他国の公務員総人件費は上がり続けていますが、日本だけ下がり続けています。また、国家公務員数の半分を自衛官が占めています。


 対GDP比の公務員・公的部門職員の人件費(上のグラフ)は、日本6.4%、OECD27カ国平均11.4%で、今でも異常に「小さすぎる政府」です。さらに2割削減となると、5.12%となり、27カ国平均11.4%の半分以下になってしまいます。


 今でも日本は地震が多い国でありながら世界で最も「国民の安全を軽視」している国と言えますが、民主党政府が狙う国家公務員総人件費2割削減は、これをさらにOECD諸国平均の半分にまで落ち込ませ、一層「国民の安全を軽視するもの」となるのです。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)