福島の子どもたちを放射能被害から守るための除染・内部被曝調査・食品の安全確保・避難休暇制度創設を | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 ※福島県労連女性部からの報告の紹介と、「ふくしまの子どもたちを放射能被害から守るための署名」への協力のお願いです。(※9月10~11日に開催された全労連女性部第22回定期大会で報告されたものです)


 福島の子どもをめぐる現状と運動、課題について報告します。


 福島県内の公立小中学校に通っていた児童・生徒の内、約1万4千人の子どもたちが大震災以降転校を経験し、そのうち8千人以上は県外へ転校しました。福島市などいくつかの自治体では乳幼児から中学生に線量バッヂを貸し出して、9~10月の積算線量を計測しています。


 学童保育については何の手立てもされない状況でしたが、その後、親と指導員たちの運動で、土壌改善の費用が出されたり、夏休みの間だけ除染の終わった学校施設を使わせてもらえたり、と、一部改善されました。しかし、本当に一部で、目の前の遊び場は、土地の所有者が違うため、除染の対象に入れてもらえませんでした。また、他の学童保育では、その学童自体はビルの中にあり、ご近所のご好意で数十メートル先の空き地を遊び場にしていますが、それも持ち主が違うとのことで除染の対象にはなりませんでした。


 福島で子育てしている世代は、「将来の健康不安を抱えながら福島で暮らす」のか、「生活の見通しはつかないけれど、福島を出る」のか、日々葛藤しながら生活しています。ふくしま復興共同センターは、6月上旬に県民アンケート調査を県内の一般紙50万部に折り込み実施しました。今も、ハガキが返ってきていますが、放射能被害に関する悩み、不安、怒りの声をはじめ、子どもたちの健康や将来の不安に関する切実な声がたくさん寄せられています。そうした声や思いに応えるため、7月下旬、ふくしま復興共同センター内に「放射能対策子どもチーム」を立ち上げました。避難した人、したい人も、福島に住み続けたい人も、安心・安全の中で生活できるように、というのがチームの柱です。


 子どもチームは、8月上旬、県と福島市にそれぞれ要望書を提出し、交渉を行いました。主な要望としては、除染、健康診断や健康手帳の配布など子どもの健康管理、対象年齢の引き上げ、エアコンの設置、食品の問題、避難の補助、教員採用について、などを挙げまして、これらにかかった費用は東京電力と国に請求することを求めました。交渉の中で、福島県として単年度で総額358億円の「ふくしまの子どもを守る緊急プロジェクト」が示され、車載型のホールボディーカウンターが5台導入されることや、学校などがエアコンなどを設置する際に補助する事業として「校内環境緊急改善事業」に40億円が計上されていることもわかりました。しかし、プロジェクトの内容や利用できる様々な制度が、広く県民に知らされていない現状や、県内の各自治体との連携の悪さも目立ちました。また、福島市との懇談では、市の担当者の「対策がなかなか進まない言い訳」に交渉時間が費やされ、あらためて市民の立場に立った迅速な対応を求めました。


 世論を広げると同時に、やっぱり国にちゃんとした方針を持ってもらわないと、県も市町村も動けませんので、ふくしま復興共同センターとして国に向けた「ふくしまの子どもたちを放射能被害から守るための署名」に取り組み始めました。この署名の要望項目の根拠となった福島の実態の一部が、署名の裏に印刷されています。この署名は、10月末を第1次集約日として、県民の1割を超える20万筆を目標に取り組みます。


 福島県労連女性部としては、すべての項目をやってほしいのは当然ですけれど、とくに、「避難休暇制度」の問題と、男女平等の視点も大切にして復興プランを作ってほしいということを、声を大にして言いたいと考えています。夏休み、外で遊べない子どもたちのために、行政やNPO、NGO、様々な団体が、キャンプなどのイベントを企画してくれました。マスコミではとても多くの子どもたちが参加したように報道されていましたが、「保護者同伴」というのもありましたし、子ども自身も1人じゃ参加したがらないなど、大半の子どもたちは、福島で夏休みを過ごしました。「週末避難」といって、土日のたびに県外に出かける親子もたくさんいますが、ガソリン代やら入場料やら、出費もばかになりません。一時的に県外へ子どもを連れて行きたいと思って、職場に「いつもより何日か多く夏休みをください」と願い出たところ、「じゃあ、辞めていいよ」と言われたという相談も複数寄せられています。ぜひとも「有給の避難休暇を!」というのが、福島の子育て世代の大きな要求になってきていると思います。子どもを守るためには親を守ってほしい、と強く思います。


 また、放射能問題で県外に避難した多くが、「お母さんと子ども」です。男女の賃金格差、雇用形態の違い、「子育ては女性のほうが」という考えも、全部が、こういう形で現れています。母親は、母となる前から努力して職場や地域で築いてきたものを捨てざるを得ない、父親は生活を支えるため福島に残り、家族と離れざるを得ない、こんな不自然な家族のあり方や女性労働者のリタイアを、今回の福島原発事故は強要しています。


 保育園に通う私の娘の同じクラスの子が1人、今月退園しました。その子のお母さんは、ようやく昨年の秋ごろに正職員になりました。夏の間、小学生のお兄ちゃんとその子は県外の祖父母の家で過ごし、2学期が始まると同時に福島に帰ってくる予定でした。でも、おじいちゃんたちは、孫が心配。とくに「3歳になったばかりのその子だけでもここに残せ」と言いました。きっと、夫婦でも、実家を交えても、何度もいろんな話をしたと思います。結果、3歳の子だけが、県外に残ることになりました。原発事故さえなければ、こんな苦しい選択はしなくてよかったのにと思います。


 本当に伝えきれない福島の状況がたくさんあります。先の長いたたかいになりますが、先ほども言いましたとおり、避難した人、したい人も、福島に住み続けたい人も、安心・安全の中で生活できるように、運動を広げていきたいと思います。これからも引き続きご支援くださいますよう、心からお願いいたします。



 「ふくしまの子どもたちを放射能被害から守るための署名」にご協力ください


 ★地域全体の除染を急いで!


 学校や幼稚園などの除染は、少しずつですが、進んでいます。でも、子どもたちが過ごすのは学校や園舎だけでしょうか。通学路やお家(自宅もお友達の家も)、塾、近くの公園、お店屋さん…、など地域全体を除染しなければ子どもが受ける線量は下げることができません。専門家の助言も得て、一日も早く除染してほしい!


 ★内部被ばく調査を一日も早く!子どもたちの健康をずっとサポートして!


 事故直後の線量が一番高い時期、子どもたちはどこで何をしていましたか?「いっしょに給水や買い物の列に並んだ」、「雨の中、高校の合格発表を今か今かと待っていた」、「着替えも入浴もできず、そのまま寝ていた」…。あの時、どのくらい被ばくしてしまったのでしょう。今も低線量とはいえ被ばくが続いています。一日も早く、内部被ばくの検査や検診を受けさせたい!そして、万万万が一、悪影響が出た場合にすぐに発見でき、治療が受けられる体制をとってほしい!もちろん無料で!


 ★子どもたちの学ぶ環境を整えて!


 授業中の暑さ対策として、扇風機で対応した自治体があります。暑さ+扇風機の音+プリントや教科書が風で飛ばされる=集中力がもちません。学べる環境ではありません。そして、来年も夏は来ます。今すぐ、各教室にエアコンを付けてください。


 ★安心・安全な食べ物を子どもたちに食べさせたい!


 家でも学校でも、安心できる食材でできた料理を食べさせたい。食材を細かく測れるように、例えば学校ごとに計測器を置いてほしい。


 ★「避難休暇制度」の創設を!


 「『子どもと県外で一時的に過ごしたいので、少し休みをください』と言ったら、『じゃあ、辞めていいよ』と言われた」。こんな問題が県内のあちこちで起きています。夏休み中、県内の子どもたちのために企画されたキャンプなども、低学年の場合「保護者同伴」のものが数多くありました。「親子いっしょに過ごしたい」、こんな当たり前の要望に応えられるような制度がほしい!子どもを守るために、親を守ってください!


 ★かかった費用は、国と東京電力が支払ってください!


 今回の原発事故は、「地震や津波対策の抜本強化」を求めた警告を無視し、対策をなおざりにしてきた結果起きた「人災」。原子力政策を推進してきた国と事故を起こした東京電力に、事故さえ起きなければ発生しなかった被害・損害のすべてを賠償してほしい!


 あなたの声を国会へ届けます。どうぞ署名にご協力ください。



 ★署名用紙のワードファイルはこちら


 ▼署名用紙のテキスト


ふくしまの子どもたちを放射能被害から守るための署名


内閣総理大臣 様
衆議院議長 様
参議院議長 様


 【趣旨】


 東京電力福島第一原発事故によって、福島県は放射能に汚染されてしまいました。事故は未だに収束していません。避難生活を強いられている住民はもちろん、県民は放射能被害という先の見えない不安を抱えています。


 福島で子育てをする人たちは、将来の健康不安を抱えながら、この地に住み続けるのか、生活不安を抱えながら県外に避難するのか、という苦しい選択の中で、日々葛藤しながら生活しています。子ども自身もたくさんのガマンをし、楽しみが奪われ、さよならも言えないまま友だちと別れた子も少なくありません。


 子どもたちは毎日被ばくし続けています。原発を「国策」として進めてきた国と、放射能をばらまいた東京電力は、福島原発事故の一日も早い収束とともに、子どもを守るために一刻も早く対策を講じ、将来にわたって子どもを守ることに力を注いでください。


 私たちは、安心して暮らせる福島県を取り戻し、子どもたちを守るためにあらゆる選択ができるよう、次のことを求めます。


 【要望項目】


 1.専門家の英知を結集し、福島県内全域の除染を急いで行うこと


 2.内部被ばくの調査を20歳未満まで対象をひろげ急いで行うこと


 3.定期的かつ恒久的に無料で健康診断を行い、治療も無料で行うこと


 4.全教室にエアコンを設置し、無料で使用できるようにすること


 5.学校給食をはじめ食品の安全を確保すること


 6.自主的な避難や、「週末避難」に対しても財政的支援をすること


 7.有給による「避難休暇制度」を創設し、その制度を導入した企業に補助金を出すなど、一時的な避難をしやすい環境をつくること


 8.以上のことを迅速に実施し、費用は国と東京電力が拠出すること


 名前
 住所


【取り扱い団体】
東日本大震災・原発事故被害の救援・復興をめざす福島県共同センター(略称:ふくしま復興共同センター)
〒960-8061 福島市五月町2-5 一番丁ビル 電話024-522-3097 FAX 024-522-3102
*いただいた署名は、政府ならびに国会へ提出する以外の目的では使用いたしません。