3年目を迎える後期高齢者医療制度のすみやかな廃止を | すくらむ

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 ※中央社保協の談話を紹介します。


 3年目を迎える後期高齢者医療制度のすみやかな廃止を〈事務局長談話〉


    2010年4月1日 中央社会保障推進協議会事務局長 相野谷安孝


 後期高齢者医療制度が実施から3年目を迎えました。


 後期高齢者医療制度は、制度の目的に「医療費の適正化」をうたい、高齢者医療費の抑制・削減を第一義の課題とする制度です。そのため、75歳という年齢で差別し、別枠の保険制度(「うば捨て山」)に囲い込み、75歳以上人口の増加や受診率のアップがそのまま高齢者自身の「痛み(保険料や窓口負担の増加)」としてはねかえるしくみになっています。年齢で区切り、所得の再配分機能を切り捨てたこのような制度は、世界にも類を見ないものです


 こうした冷たい制度に国民の怒りが集中し、08年4月のスタートからわずか2カ月後には、参議院において「廃止法案」が可決(08年6月6日)されました。


 私たちは、この制度が法案として準備されていた段階から、問題の多い制度として法案の成立に反対をしてきました。制度発足後も制度の廃止を求め運動を強めてきました。


 大きな国民の批判にもかかわらず、このような制度を2年にわたり続けてきたことが問題です。あらためて、同制度の即時廃止を求めます。


 同時に廃止の公約をかかげて政権についた現鳩山政権に、公約のすみやかな実施を求めるものです。


 運動と世論に押され、民主党は昨年夏の総選挙マニフェストに「後期高齢者医療制度の廃止」をかかげました。ところが鳩山政権は、廃止を実行せず、当面この制度の継続を打ち出し、3年後の2013年4月に後期高齢者医療制度を「新制度」に移行する方針を固め、厚生労働省内の高齢者医療制度改革会議で検討を重ねています。


 私たちは、この鳩山政権の方針を3重の公約違反として批判します。


 公約違反の第1は、廃止の先送りです。08年6月の廃止法案は、即時廃止をうたっていました。また、3党連立政権合意でも「後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度に対する国民の信頼を高め、国民皆保険を守る。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する」と明確に述べていました。


 毎日、75歳の誕生日を迎える方は4,000人と予測され、75歳を境に、それまでの保険を追い出され、鳩山首相の言う「悪い制度(09年11月9日、国会答弁)」に追いやられています。向こう3年間で400万人近くの人が同制度に追いやられることになります。保険料の滞納を理由に保険証を取り上げられる人々もすでに3万人近く存在します。制度の継続は日々新たな被害者を生み出しています。廃止を3年も待つことはできません。


 第2は、4月からの保険料値上げをそのままにしたことです。昨年、鳩山政権は廃止までの間、新たな負担増はしないとして、保険料値上げを抑えるために、後期高齢者の人口比率の上昇による値上げ分(2.6%)については、国庫補助を行う旨を自治体に通知していました。しかし、この通知にもかかわらず、国庫補助は実施されず、4月から大幅な保険料アップが行われます。


 厚労省発表で、31の都道府県(66%)が、最大7.7%もの保険料を引き上げることになりました。制度が継続することによる新たな負担増が発生します。廃止を約束した政府の公約違反が問われます。


 第3の違反は、検討されている「新制度」の問題です。


 現在、65歳以上の高齢者全員を国民健康保険に加入させる案が有力案として浮上しています。この案は、自民党政権時代の舛添厚労相案に近いもので、厚労省はこの案についてだけ財政試算を出しています。


 その試算は、65歳以上の高齢者全員を国保に加入させた上で、65歳未満の現役世代と別勘定にする前提で行われています。まさに、後期高齢者医療制度が批判された年齢による差別のしくみ、医療費抑制の仕組みを温存し、65歳以上に拡大するものです。こうした制度が検討されること自体、公約違反です。私たちは、すみやかな公約実施による廃止を求め、さらなる運動を強めるものです。