高すぎる「自殺のコスト」~死んでまで後悔しないために | すくらむ

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 政府が昨日、2008年版「自殺対策白書」を閣議決定しました。昨年1年間の自殺者数は前年比938人増の3万3,093人で史上2番目に多い数になっています。男女別の自殺者の内訳は男性2万3,478人(前年比665人増)、女性9,615人(前年比273人増)。自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)は23.7で主要先進国では男女ともに日本がトップ。10年連続の自殺者数3万人超えも記録し、日本が自殺大国であることをあらためて浮き彫りにしています。


 雨宮処凛さんの『自殺のコスト』(太田出版)によると、自殺者数の10~30倍の自殺未遂者がいて、自殺未遂者の医療費は、健康保険も民間の医療保険も対象外のため、全額自己負担になるそうです。たとえば、飛び降り自殺などで未遂に終わると、全身骨折だらけの多発性骨折で病院に運び込まれ、最初の2カ月の医療費だけで月500万円にものぼります。


 他にも、夫が自殺未遂の後遺症で植物人間になり、莫大な医療費に悩まされている妻。賃貸物件で子どもに自殺されてしまったために、何年間も空き室の家賃を払い続けている親など、「自殺のコスト」はとんでもなく高くつくのです。


 東京の電車は、人身事故によるダイヤの乱れが日常茶飯事です。電車に飛び込み自殺するコストは、もっとも高く、鉄道会社から莫大な損害賠償を請求される可能性があります。損害賠償のメインは振替輸送乗車券代で、人身事故で電車が止まった場合、他の交通機関を使ってタダで目的地まで行ける乗車券代を負担することになります。もっとも損害賠償額が膨れ上がるケースは、乗客へのタクシー代支払いで、新幹線などに飛び込むと、たいへんなことになります。実際に新幹線に飛び込んで、遺族が1億4,000万円を請求された例があります。普通電車の場合で、ラッシュ時に影響が数万人に出て、800万円を請求されたケースなどがあり、一度に支払えずに、分割払いを続けている遺族もいるとのことです。


 処凛さんは、こうして「自殺の損得勘定」をしてみせ、どんなに「自殺のコスト」が高くつき、自殺をはかったり、自殺未遂となることが、自分自身にも、家族にも、まわりの人間にも、「損」をもたらすかを明らかにしています。「後悔だらけの人生で、死んでまで後悔したくない」、「死んでから後悔しても遅すぎる」のです。


(byノックオン)