格差の底辺から~貧困のただ中の若者たちは6人で1万人のアルバイトの残業代を支払わせる | すくらむ

すくらむ

国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 このブログで、「無法な労働現場・暴力支配を是正する力は若者の社会的ネットワークにある 」というエントリーをアップしたら、NANASIさんから、「正社員以外の社員は何の力も持たないモノなんですよ。こんな世の中を若者の力で解決できるだなんて非現実的なことを言われても希望なんて持てませんね」とのコメントをいただきました。


 このコメントに対する明確な回答を見つけました。首都圏青年ユニオン書記長の河添誠さんが、雑誌『DAYS JAPAN』11月号に寄せている「格差の底辺から~貧困のただ中の若者たち」です。


 NANASIさんの「正社員以外の社員は何の力も持たないモノなんですよ」という言い方は、今の格差社会の現実から一見もっともな意見に聞こえますが、首都圏青年ユニオンは現実の社会の中で、「正社員以外の社員」の「若者の力で解決」してきているのです。


 河添さんは語ります。「企業の中に組合員が1人しかいなくても、労働組合法によって団体交渉を申し入れ、しかも労基法を楯にすることにより、企業の側も正さざるをえなくなる」、「牛丼チェーンで、店舗リニューアルに伴いアルバイト全員が解雇された。団体交渉で企業側は、解雇理由を『人心一新』と説明したが、解雇理由としては不当なものであり、謝罪と解雇撤回、未払い残業代の回収をかちとった。6人の組合員で、1万人のアルバイトたちの残業代を支払わせることに成功したケースだった」


 他にも語学学校のアルバイトの女性は、1カ月分の給料を未払いにされ、会社に通う交通費もなくなるという状況におかれたが、首都圏青年ユニオンの組合員になり、会社の中ではたった1人の組合員だけど、ユニオンの仲間とともに会社側と団体交渉を実施して、未払い賃金を支払わせ、解決しているのです。現実に非正社員の若者がたった1人でも問題を解決しているのです。


 最後に河添さんは、こう結んでいます。「ワーキングプアが声をあげ始めるという流れは不可逆的である。止めることも後戻りさせることもできない。ワーキングプア層の要求を反映した『反貧困運動』が試行錯誤を繰り返しながら発展していくのは間違いない」


 そして、一昨日、首都圏青年ユニオンの組合員であるグッドウィルの元支店長らが、「名ばかり管理職」にあったとして、未払い残業代を求める労働審判申し立てを行っています。


 毎日新聞記者の東海林智さんが、「7月に廃業した日雇い派遣最大手グッドウィルの元支店長ら19人が『名ばかり管理職』として扱われたとして、不払いの残業代計6700万円の支払いを求める労働審判を24日、東京地裁に申し立てた。19人のうち合意退職に応じず解雇された4人は、解雇を不当として社員の地位確認も求めている。19人は個人加盟労組『首都圏青年ユニオン』の組合員。申立書などによると支店長は管理監督者として扱われ、派遣労働者の手配や営業などの職務で連日午後10時過ぎまで働き、繁忙期には週2日支店に泊まった。入社から2カ月ほどで支店長にされたが、出退勤の自由や部下の採用、時給決定の権限はなく、管理監督者の要件を満たしていないのに残業代はなかったと主張している。不払い額が2年で635万円に上るケースもあった。入社2カ月で支店長になった男性(35)は『上からの圧力で仕事をさせられた。廃業時に十分な説明もなく、使い捨てに怒りを感じる』と話している」と報道しています。


(byノックオン)