ノーベル物理学賞受賞の益川敏英さん「京大職員組合の書記長をしていて、忙しい時期の研究でした」 | すくらむ

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 今朝、NHKニュースを見ていたら、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんがインタビューにこたえていました。


 それで、ちょっと驚いたのですが、今回評価された「小林・益川理論」(素粒子理論)を研究していたときに、「京都大学職員組合の書記長をしていて、とても忙しい時期の研究でした」と益川さんがしゃべっていたのです。その研究成果「小林・益川理論」が発表されたのは、1973年ですから、国家公務員の労働運動の先頭に立っていたときの研究成果がノーベル賞を受賞したことになるわけです。京都大学職員組合のホームページ をのぞいてみたら、「益川敏英先生のノーベル物理学賞受賞を心よりお祝い申し上げます/中央執行委員会/益川先生は1970年に京都大学職員組合に加入され、以来、停年でご退職なさるまでの33年間の永きにわたり組合員としてご活躍されました」とトップページにアップされていました。


 毎日新聞(2003年8月30日付)の「〈挑む〉研究者たちの素顔」には、「益川さんは毎朝、京都府宇治市内の自宅から京大に向かう途中の喫茶店で前夜の考えを整理するのが日課になった。京大教職員組合の役員だった益川さんは、昼間は組合の仕事をし、合間を縫って小林さんと激論を交わした」と書かれています。


 また、「語る:戦後60年と憲法/科学者と9条」(毎日新聞2005年5月5日付)の記事の導入部では次のように書かれています。


 戦争放棄と戦力不保持をうたった憲法第9条は、常に改憲論議の中心に置かれてきた。平和憲法の象徴である9条の改定反対を訴え、昨年「九条の会」が発足した。呼びかけ人は大江健三郎さん、鶴見俊輔さんら9人。そして会の趣旨に賛同する全国の科学者が「『九条の会』のアピールを広げる科学者・研究者の会(九条科学者の会)」を立ち上げ、支援を始めた。「小林・益川理論」で知られる世界的な理論物理学者、益川さんもメンバーの1人だ。


 そして、この記事の中で、益川さんは、次のように語っています。


 名古屋市中心部、鶴舞の生まれ。生家は米軍の焼夷(しょうい)弾の直撃を受けた。不発だったため、焼失は免れたが、焼け野原の中、リヤカーにわずかな家財を積んで逃げる両親の姿が忘れられない。


 あんな思いを子や孫の世代にさせたくない。すごく単純な気持ちだ。戦争は大嫌い。尼崎の電車事故のニュースを見て、皆泣くでしょう。多くの人の死がそこにある。同じことが米軍が爆撃した街で起きている。たくさんの人が殺されている。僕は人間の名においてそんなことは出来ない。


 1955年、アインシュタインや湯川秀樹らは核兵器廃絶を訴えて「ラッセル・アインシュタイン宣言」を発表した。


 アインシュタインは核兵器で人類が滅亡する恐怖から、平和活動をした。僕はもう少し身近に、地球で生きている人間ひとりずつの今の生活を守るために、戦争はプラスですか、という問いかけを世の中にしたい。


 九条科学者の会は、科学者の集まりだけど、基本は市民として「戦争をしたいですか?」という問いが出発点だ。その後、行動を起こす時には科学者の経験や知識を生かすべきだが、それは他の職業の人も同じ。すべての市民が、それぞれの立場で戦争はやめようと言うことが必要だと思う。


 9条とともに議論の的になる「国民の義務」。自民党新憲法起草委員会の要綱は「家庭を良好に維持する責務」などの新設を盛り込んだ。


 人は誰でも良い家庭、幸せな人生を望むもの。そんなことを憲法に「ねばならない」と訓を垂れてもらう必要はない。憲法がなすべきは、幸せが実現する環境を作ること、それを妨害するものを取り除くこと。人から幸福を奪う最大の原因は戦争だ。今、9条を変える意味はない。


(byノックオン)