698. メン・イン・ブラック(97)/ワイルド・ワイルド・ウエスト(99) | 同世代名画館DX

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昭和37年生まれの支配人です。小学校でライダースナックを川に捨て、中学で赤いシリーズに毎週熱中、高校で松田優作に心酔した世代です。50~60代の皆さん、いつかどこかで観た映画とともに、時間の旅をお楽しみください。

私はジョーンズ。トミー・リー星から、地球という惑星について潜入調査にやって来た。潜入してからもう30年になるが、この星は実に不思議で興味深いものに満ちている。
例えばハリウッドという土地で作られる“ムービー”と呼ばれるものがある。現実にはないことを空想して、それをあたかも本当に起こっていることのように、人間が芝居をしたり、風景を似せて作ったり、時には想像上の生物や世界まで作り上げて、それをフィルムというものに収めた上、金を取って他人に見せるのだ。
これがめっぽう面白い。この星の人間たちは、ウソの話をウソとわかっていながら、これを見ながら笑ったり、時には泣いたりもする。私が気に入ったのは、ワレワレ宇宙人が登場するSFと呼ばれるジャンルだ。


例えば「メン・イン・ブラック」という作品。
地球に潜入した異星人たちを、見つけては退治する機密機関があって、その捜査官たちの活躍を描くものだ。最初は、そんなものが本当にあるのか!と驚いた。ワレワレのことが気付かれているのかと。
しかし、そんな心配はすぐに吹き飛んだ。全く他愛のない絵空事だ。地球人たちはゲラゲラ笑ながら観ていた。コメディと呼ばれる、ふざけたお笑い映画だったのだ。あせって損した。
何でも、スピルバーグというハリウッドで一番有名な監督が総指揮をしているそうだ。彼は「未知との遭遇」とか「E.T.」とか宇宙人を扱った映画をたくさん作ってる。
この主演の俳優を見てくれ。ジョーンズとかいう名前で親しみを覚えるが、なかなかのイイ男だ。普通こんな顔の俳優はハリウッドにはいない。もっとノッペリして深みのない顔の男ばかり。最近では“イケメン”とか言うらしいが。
ジョーンズは苦労人だから、顔にそれが出てる。「逃亡者」という映画ではアカデミー賞という勲章も受けている。最近でも「ノーカントリー」や「告発のとき」という作品でますます渋い芝居をしている。私はこの俳優のファンだ。

そして、もう一人のサングラスの男はウィル・スミスという。
彼はこの前にも「インデペンデンス・デイ」というSF映画で、宇宙からの侵略者と戦う芝居をしてた。この元気のいい黒人俳優はSFが好きみたいで、他にも反乱したロボットを制圧したり、死滅した地球最後の男となってゾンビたちから逃げ回ったり、そんな映画ばかりやってる。


「ワイルド・ワイルド・ウエスト」もそんな作品だ。「メン・イン・ブラック」がヒットしたので、同じバリー・ソネンフェルド監督とのコンビで、ほとんど同じノリで作られた。
ノリと言えば彼はラップという音楽もやるアーティストだったりもする。多才な男だ。無敵のボクサーを演じたこともある。「ワイルド~」では西部の保安官役だ。普通は西部劇というジャンルには登場しない、クレイジーな博士が発明したロボットなんかを敵に回して活躍する。
相棒はジョーンズじゃなくて、ケヴィン・クライン。この俳優はコメディからシリアスまで、同一人物とは思えぬ上手な芝居をする。敵役はケネス・ブラナー。本当はシェイクスピアなんてクラシックな劇をやる人間だが、本作では宇宙人にでも乗り移られたような狂った芝居をしてる。


そう言えば、「麺・イン・ブラック」というカップラーメンを売ってたこともある。この星の商売人は時にくだらないダジャレを思いつく。
それと、この星では“二匹目のどじょう”というものがある。ヒットした映画は必ず“PART2”が出来る。「メン・イン・ブラック」も「2」があったが、ポスターはカッコ良かったけど、出来はさっぱりだった。マイケル・ジャクソンという気持ちの悪い歌手がチラッと出てた。この人ももう死んだらしい。


以上、報告終わり。