『 精神エネルギー 』
~ Spiritual Energy ~
第三章 肉体と生命体
◎ 死と死後の世界
『生あるもの必ず滅す』
とのことわざどおり、いま生きている人には、必ず死が訪れてくる。
この死は人間だけではない。
地球の石にも土にも同じことが言える。
また、大宇宙も生まれては死んでゆくものである。
しかし、死とは何とさびしい言葉だろう。
その人間にとってはすべての終末を示すものであり、精神のあった人間が、ただ一物体に変わり果てるときである。
私も若いころは、自分は永遠に生きるような思いで、死とは自分には無関係のもののように思っていた。
ところが、五十歳のころから、死を思うと無限のさびしさと、はかなさを感ずるようになった。
そしてなぜ死ななくてはならないのだろう、自分の死後の世の中はどうなるのだろう、と思うようにもなった。
ところが、数年前から突然、死のおそれが拭き消されるようになくなった。
死に対する恐怖がなくなると同時に、まだ見ぬ天上界に慕わしさを感ずるようになった。
ある日、成人病センターにおいて、肝臓機能が少し悪いから精密検査をしようと言われたとき、なぜその必要があるのか、悪ければ死ねばよいのでしょう、と言ったことがある。
虫歯も、どうせ死ぬのであれば、治療する必要もないと、一年余りそのままにしたこともあった。
その気持ちを友人たちに話しても、誰も信じる気にはなれなかったようである。
そして、昭和五十四年ころから、自分の死期が近いことを自覚するようになり、楽しい天上界へ早く行きたいような気持となった。
天上界にあこがれを持つようになった原因は、近い日に天上界へ召される心の準備のためであったようである。
私は毎年、年末年始は一日も休まず、発明品の試作研究をするようにしている。
昭和二十七年末から翌二十八年正月八日までの間に、簡易テレビの試作を行ない、三十万円もするテレビを三万円台で販売できるようにしたこともある。
昭和五十五年の正月は、特に全力を尽くして、毎夜十一時までも研究に没頭した。
周囲の人々がなぜそのように急ぐのかと不審がったが、
『自分の寿命がもう少ししか残っていないので、できるだけ多く片づけておきたいからやっている』
と答えていた。
そして一月五日、夢の中で、自分が七十九歳まで生かされることを知った。
それから二日後に、T・S先生から電話があった。
『一月四日に水を被(かぶ)った瞬間に、政木はあと二年以内に死ぬとの神のお告げがあった。
それから毎日、政木の延寿を神に願う祈りの水行を行なったところ、
「それほど必要な人間であれば宿命の上に十二年間だけ寿命を延ばす」
と申されました』
と。
その電話に対して、私は、
『一度お聞きしたことがありましたね』
と言ったが、それは夢の中のことだと思い直してすぐ打ち消し、
『大変ありがとうございました』
と厚くお礼を述べた。
そして、T・S先生が、拙宅に安置してある天界から出現した観世音菩薩像に、お礼の言上のため来られたとき、私の守護神として八幡大菩薩が降臨された。
神示の最初は、聞いたこともない言葉であったが、後半になって日本語となった。
『オームの命によってわれは政木和三の守護神となる。
われは八幡大菩薩である。
今後、汝(なんじ)は人を導き救うために、努力せよ。
われは後よりいくらでもエネルギーを与える』
この間、私の頭は押さえられたように重くてあげることもできず、神示を記録しようとした手も動かすことができず、ただこの荘厳なる神示を聞くだけであった。
このようにして、自分の寿命が十二年間も延びたことを知った日から、また、生に対する執念が湧いてきた。
人間は死に直面したときは、天上界にあこがれるような気持ちになり、さびしさも悲しさも消えてしまい、喜んで天上界へ行けるものらしい。
死とは、生命体と肉体の別離であって、生きているうちは生命体が肉体を支配しているが、老朽した肉体からは、生命体が離れてゆくようになる。
そして天上界に数百年を過ごし、自分の宿るべき肉体を地上界に見出すとその母胎に入ってゆく。
そのときは、父母との因縁には無関係に、子供になるべき生命体の意志によって生まれてゆくものである。
恋人、夫婦とか師弟友人は、ほとんど前世の因縁によって結ばれるが、親子だけは何の因縁もない者が、子供の意志によって、その両親のもとに生まれてくるものであるとされている。
そのために、友人となった人たちは一生不仲になってはならない。
またつぎの世に生まれ出たとき、同じような運命となる。
T・S先生による前世供養によれば、夫婦は何回も夫婦である場合があり、恋人と夫婦が隔世的に交替している人もある。
また、自殺をした人は、つぎの世でも自殺しなければならないので、生きているうちに自殺の因縁を断ち切らぬばならない。
人間が死に直面したとき、まず第一生命体が肉体から抜け出すことも、政木フーチパターンによって確かめられている。
第一生命体は、肉体を離脱して自分の体を眺め、この自分がもうひとつの自分を見ている。
自分の肉体を不思議に思って見ている。
そのうちに大勢の人々が集まって、告別式があり、毎週毎週、親族の者が集まってくるのを見て、私は死んだのだと気づくものらしい。
自分の死を自覚するには、数週間を要するのである。
自分の死を自覚することによって、その生命体は幽界、霊界、神界へと昇ってゆくとされている。
死後の世界を、生きている人は見ることができないが、仮死状態のとき、見てきたという人の多数の証言によれば、暑さ寒さもない住みよいところだとされている。
また、明るいところだという人と、暗いところだという人がある。
霊視のできる人の話にも、これと同じようなことがある。
有名な政治家が、暗いところで、私は戦後の日本を救ったのだと、うそぶいている姿を見たが、その人は生前の精神がよくなかったのだろうか。
天上界はお腹(なか)のすくこともなく、必要なものはすべて整っており、不要なものは何ひとつもないところである。
ひとりひとりは無限の距離にあるが、相互思慕の瞬間に傍(そば)へ寄ってくることができる。
片思いでは、いくら待っても相手は近づいてこないから、永久に近づくこともできない。
天上界は、質量がゼロであるために、無限の距離でも一瞬にして飛んでゆくことができる。
その死後の世界には、何段かのランクがあるらしく、生きている間に、人のために、社会のために尽くした人は高い位置にあり、人を苦しめ、社会に悪をまき散らした人は、暗いじめじめした最下位に永くいることになる。
生あるとき、他人に喜びを多く与えた人はかならず明るい地位にあり、来世も数十年から三百年未満で人間に生まれ変わることができるが、悪徳多い人は、千年から二千年も暗い場所で過ごすことになる。
人生が生きているときだけのものであれば、自分さえよければよいの一生も結構であろうが、その反作用は、自分の死後の世界と、次世代に生まれ変わって出てきたときの人生にも影響することを深く考えてみなければならない。
人間の生きている間は、生命体の修行期間である。
修行とは、他人に喜びを与えることである。
そして社会のために尽くすことである。
生まれ変わるとき、こんどこそは世に出たとき最善の人間になろうと意気込んで母胎から赤ちゃんとして出てくるが、物ごころつくころから、また煩悩の道に迷い、強欲の淵に落ち込み、また前世と同じような人間性となる。
このように、自分の前世や死後の来世は、その真偽を確かめることができなければ、あるのかないのかまったくわからない。
しかし多くの奇跡が実在すれば、私たちの知らないエネルギーの存在する別次元の世界のあることを信じられることになる。
何回人間に生まれ変わっても、毎回同じことを繰り返していては少しの進歩もない。
この書を読んだこの日、この時から、他人のために、社会のために尽くし、自分自身はなごやかな人間性になろう。
それは、自分自身の幸福のためである。
初版発行:一九八七年六月二五日
重版発行:一九九三年
著者:政木和三
発行人:赤尾文夫
編集人:新井政義
発行所:株式会社 旺文社
東京都新宿区横寺町五五
〇三-三二六六-六三七二(編集)
〇三-三二六六-六四一四(販売)
印刷:日新印刷㈱
製本:有限会社 市川第二製本所
©1987,Kazumi Masaki
Printed in Japan(303035)
ISBN 4-01-071062-4
政木和三先生とのご縁の始まりは、
昭和五年生まれの私の実父が小学生時代の頃より電気のイロハを教わり、
(実際に、電気ギター制作等々、様々な電気技術のご教授を、家族ぐるみのご近所付き合いの中で個人的に無償で賜ったそうです)
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政木先生がお亡くなりになる最後の最後まで、私も含め家族ぐるみのお付き合いを賜わり、
今も尚、心の底よりとても尊敬し、感謝している恩師・師匠です。
政木和三先生の廃刊御著書
以前、2013年3月20日、2015年1月28日より
二度に渡って掲載させて頂きました
『精神エネルギー』
~ Spiritual Energy ~
を再び継続掲載させて頂きます。
政木先生の御教えである
『目先の欲望を捨て去り、世のため、人々のために尽力せよ!』
との仰せを引き続き継承するため、
今後も少しずつではありますが、
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皆様には引き続きのお付き合いの程、
何卒、宜しくお願い申し上げます。
深謝
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