正夢と不思議な出会い

『 私は奇跡を見た 』
～ 超能力エネルギーの神秘 ～
政木和三

第一章　目の前で起きた奇跡

第二節　正夢と不思議な出会い

　そんなころ、私自身が決定的な事件に遭遇することになった。

　昭和五十年一月一日夜半一自に眼がさめた。

　雪深き信州、信濃の志賀高原熊の湯、国鉄山の家の一室であった。

　外はまっ白な雪が月に白く光っている。

　白根火山に近いこの温泉地である。

　三時ごろからふたたびうとうとする。

　夢の中で私は絶壁の上を歩いていた。

　海の中に黒い大きいものが二つ見える。

　そこを通り過ぎて岬へ出ると、かっこうのよい松の木が二、三本あった。

　岬の下は絶壁で、五〇メーターぐらいもある。

　岬の後方は細い道が森の中に続き、そのかたわらに、木造の小さなホコラがあった。

　岬をまわると入江になっており、その海面に腹部を水につけた金色の龍が、岬の上まで立ちあがり、私の前に顔を出したのである。

　腹から上が五〇メーターもあろうと言う金色の生きた龍だ。

　私は初めて動いている生きた龍の顔をハッキリと見ることができた。

　私に絵心があれば、これを書き残したいと痛切に感じたほどである。

　龍の顔と私は、数メートルのところで向かい会っている。

　身も凍るような、大きな尊厳と威圧力であった。

　金色に光り輝き、金色のウロコから金色のしずくがしたたりおちているようにも思えた。

　しばらくの間、そのままの形で過ごした。

　そして目がさめた。

　しかし目覚めた後も、その強烈な印象は、頭の中にしっかりと焼付いたままであった。

　私にとって、この初夢は、生涯の思い出となるとさえ思えた。

　その半年ほど後に、私はこの話を、東京に向かう新幹線ひかり号の中で、名古屋駅を過ぎてしばらくしてから、同乗のSさんに話しをしてみた。

　するとSさんが言った。

　『今あなたが話された島は、ちょうど右に見える蒲郡の竹島ですよ。

　あの島のことを言っているのですよ。

　今の話と完全に同じ場所がありますから、いっしょに行って見ましょう』

　これを聞いて、私はずいぶん不思議な事があるものだと思った。

　その年の七月のことである。

　この日の旅行の目的は、箱根でゴルフをすることだったが、箱根のホテルに着いた夜、招待者のA氏が、ショックをあたえると発光するという、新しく開発された製品を持って来て、私の前で実験し、その米国の特許書類差し出しながら

　『実はこの特許番号をある霊感者が透視し、さらにこれをあなたに見せれば、新製品ができると言われたものですから。

　こうやって箱根まで来ていただいたわけなんです』

　と招待の真意を明かしてくれた。

　すると私の頭の中に、その製品の構造がいつものように瞬間に浮かび、その場で略図を書いてみた。

　そして計算し、一時間ほど後に完成してしまった。

　この発明のヒラメキについては後の章で述べよう。

　ゴルフを終えて、私達はその霊感者に会いに新横浜へ行こうということになった。

　Sさんと二人で、国鉄にしようか私鉄にしようかと相談したが、私鉄の駅へ行くと、通しの切符を売っていないとのことで、しかたなく国鉄で行くことにした。

　新横浜駅に着いて、改札口を出ると、なんと、私が第八次元の先生と名付けた、その霊感者の使いの人が迎えに来ているではないか。

　その人が言うには『先生が迎えに行けと申されたので、いま来たところです』とのこと。

　私とSさんが来ることがなぜわかったのだろう。

　私自身でさえ、私鉄にしようか、国鉄にしようか迷ったのに、なぜ八次元の先生には、この時間に新幹線でくることがわかったのだろう。

　つくずく不思議だと思ったが、いくら考えても理由はわからなかった。

　その先生宅に一泊させてもらって、翌日またまた不思議な奇跡を見せられたのだが、これは次節にゆずり、初夢のつづきを記しておこう。

　その後、九月にS氏と二人で、竹島へ行くことになった。

　この日、八次元の先生もここへ来られることになっていた。

　かくて蒲郡の竹島にかかる二百メーターぐらいの橋を渡り、島に着いてみると、見渡せども松の木は一本も生えていないのである。

　夢は間違っていたのだろうかと、少し心配になって来た。

　S氏は先に立ち、どんどんと歩いて行くので、南端近くまでついて行くと、

　『あった！　夢に見た左側の絶壁だ。……』

　この下の海に、黒い龍が二ついたのである。

　岬へ近づくと、夢に出たのと同じ松の木があった。

　この島の中で松の木があるのはこの岬の数本だけだった。

　そしてさらに、岬の右側に、金龍が顔を私に近づけた場所があった。

　夢に中ではせまい土の道であったが、今は舗装になっていた。

　木造のホコラも今はコンクリートとなっている。

　私の見た風景とは、十五年程前のものだそうである。

　その神社の守護神というのが、なんと白龍王だというのだ。

　それは、ここに伝わる二千年前からの伝説である。

　あるとき、この地方にいた男性が、盲目となり、この白龍王に祈願をした。

　すると、満願の日に、白龍王があらわれ、

　『私には二人の子供がいる、その内のひとつの目をそなたにあたえる』

　と言ったかと思うと、その瞬間に男は目が見えるようになったというのである。

　その後、父親もやはり盲目となったので、息子がまたお願いすると、白龍王は、

　『もう一人の子供の目の一つをあげよう』

　と申され、父親の目も見えるようになった……という伝説である。

　私の見た金色に輝く龍は、親の龍であり、黒い二つの龍は子供の龍であったのだろう。

　そこへ、八次元先生の支配霊の一つが白龍王であり、本年より白竜が金龍となられたとの、お告げを受けたと述懐された。

　実に不思議な因縁の始まりである。



私は奇跡を見た
初版発行：昭和53(1978)年1月10日
10版発行：昭和59(1984)年3月15日
著者：政木和三
発行者：瓜谷侑広
印刷所：藤印刷 株式会社
発行所：株式会社 たま出版
　　　　〒162 東京都新宿区納戸町33
　　　　電話 03-269-4367
　　　　振替 東京3-94804
0014-0023-4354
1978©
ISBN 4-88481-023-6 C0014 ¥980E



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