自動炊飯器を発明した意外な理由 | 『 真理は自然の中に在り 』
『 人類を救うヒット商品開発法 』
~ 誰にでもできる「精神エネルギー」の応用と実践 ~
政木和三

第1章 発想力 <インスピレーションを発揮>

ヒット商品開発の源は
『自然の真理と愛情』にあり
~ 自然界の現象、身近な物事への関心や疑問から発明、開発のヒントを掴め! ~


『必要』『愛情』こそ発明の母
● 何が必要かを愛情と思いやりで知る


【 自動炊飯器を発明した意外な理由 】

 『あら、大変! またオコゲをつくっちゃった』

 妻があわてて台所に飛んでいき、ガスの栓を止めてボヤいている。

 これまで二、三度は同じようなことを繰り返していた。

 私の新婚当時、戦前の昭和一八年(一九四三年)ころのことである。

 この話は先ほど少しふれたが、妻はお米をといで何回もゆすぎ、そして釜をガスにかけ、他の用事をしながら、ちょくちょく釜の前で炊け具合を見ながら待っているといった始末であった。

 それを見るとはなしに見ていた私は、『メシ炊きっていうのは随分と手間ヒマがかかるもんだな』と思っていた。

 妻にとっては、時間と労力が大変であるような気がしてならなかった。

 それでも、おいしいご飯を期待しているのだから、夫は気楽なものであったが……。

 そのころ、戦争のさ中で食糧事情が悪くなりつつあり、米が不足して小麦粉で自家製パンをつくりカバーするという時代でもあった。

 パンを焼くといっても、電流の発熱、つまり、ニクロム線のコンロによってパンを直接焼く方法であったが、妻が焼くのを見ていると、パンの水分がなくなると電流が流れなくなるようになっていた。

 それにヒントを得て、冒頭で紹介したように、ご飯も同じように炊き上がれば水分が少なくなるので熱の伝導が悪くなるわけで、これを利用できないかと実験をした。

 それで、水がなくなるとガス栓が自動的に止まるという『自動炊飯器』をつくったのである。

 また、台所と茶の間を行ったり来たりする妻は片手だけで物を運び、何度も往復していた。

 そのたびにドアを開けたり閉めたりしているのだ。

 これでは不便で、両手で物を運ぶには自動的にドアを開けられればいいわけで、手を使わずにドアを開け閉めできる自動ドアをつくったのである。

 我が家では、戦後もずっとこの両方の装置を日常的に利用していた。

 ところが、そんな便利なもので生活している家庭があるということで、当時、映画館で上映されるニュース映画のアサヒニュースが取材に来て、我が家の生活ぶりを撮影していった。

 このニュース映画を見た家電メーカー数社が私のところにやって来て、これを製品化したいといってきた。

 『どうぞご自由にお使い下さい』と答えておいた。

 そしてしばらくしてから『自動式電気釜』として発売されたのを知った。

 第一号は東京芝浦電気(現東芝)で、『眠っている間に、ご飯がたける』という宣伝で、以後、各家電メーカーも発売して、アッという間に『電気釜』は全国の一般家庭に広まっていったのである。

 昭和三〇年(一九五五年)当時のことである。

 そうした私の発明品などが知られたのか、当時の新聞に『日本一の発明王』などと紹介されたことがある(下図の写真①)

人類を救うヒット商品開発法003


 この年は“神武景気”というのが始まった年であり、政治の世界でいえば自由党と民主党の二大保守政党が合同して自由民主党が誕生し、いわゆる『五五年体制』がスタートした年でもある。

 そして翌年、経済白書で『もはや戦後ではない』と発表され、日本は復興から経済成長への波に乗っていくのであった。



人類を救うヒット商品開発法
第1刷発行:1995年3月2日
第3刷発行:1995年4月5日
著者:政木和三
発行者:神尾昭男
発行所:東洋経済新報社
    〒103 東京都中央区日本橋本石町 1-2-1
    電話 03(3246)5661(編集)
       03(3246)5467(販売)
    振替 東京3-6518
印刷・製本:丸井工文社
© 1995 <検印省略>
ISBN 4-492-04081-1
Printed in Japan




 政木和三先生とのご縁の始まりは、
昭和五年生まれの私の実父が小学生時代の頃より電気のイロハを教わり、
(実際に、電気ギター制作等々、様々な電気技術のご教授を、家族ぐるみのご近所付き合いの中で個人的に無償で賜ったそうです)
その後、御晩年には、政木先生の素晴らしいご発明品の集大成のひとつとして
“世のため、人々のため”に御余生をかけ陰徳にご尽力なさいました
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(改名機器、インパルス磁力線、そして、Mリング。すべての御販売は㈲政木研究所、㈲ケントにて)
の製造に至るまで、数々のお仕事をお世話頂き、
政木先生がお亡くなりになる最後の最後まで、私も含め家族ぐるみのお付き合いを賜わり、
今も尚、心の底よりとても尊敬し、感謝している恩師・師匠です。


 政木和三先生の廃刊御著書

~誰にでもできる「精神エネルギー」の応用と実践~
『人類を救うヒット商品開発法』

を掲載させて頂いています。


 今までに紹介して参りました数々の政木先生の御著書内容と重なりますが、
政木先生の御教えである
『目先の欲望を捨て去り、世のため、人々のために尽力せよ!』
との仰せを引き続き継承するため、
今後も少しずつではありますが、
何度も何度も繰り返す、日々の心の学びの礎として、
政木先生の御教えのすべてをこれからも紹介させて頂きますので、
皆様には引き続きのお付き合いの程、
何卒、宜しくお願い申し上げます。

深謝
m(__)m





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