人間はみな超能力者として生まれている | 『 真理は自然の中に在り 』
『精神文明と奇跡』
政木和三

第3章 肉体と生命体

人間はみな超能力者として生まれている

 昭和四十九年、ユリ・ゲラーの来日によって、スプーン曲げという考えたこともない不思議な現象を見せられた。筆者は、電気抵抗線ひずみ計、CR発信器、マイクロメーター利用の測定器を試作して、その科学的な究明に努力した。

 同年五月、毎日テレビでスプーン曲げのできる少年少女を募集したところ、近郷だけにでも三百名以上もいることがわかった。その少年少女達に対して、百円硬貨の中心にストレーンゲージをはりつけたものを両掌の中に入れて、曲がれと念じさせ、そのひずみ量をペン書きオッシログラフに記録した。その結果は、多少の差はあっても、実験者の全部が百円硬貨が曲がることを示した。

 スプーンの時は、手で力をいれても曲がるが、硬貨を掌の中で押すだけでは、普通の力では曲がるはずはない。

 実験中に、四十歳ぐらいのテレビ局員が来室し、『私は子供のときから、スプーンが曲がっています、一度やらせてください』という。両手の掌を合わせた中へ、百円硬貨をいれて曲がれと叫ぶと、ペン書きオッシログラフの針は大きく振れ、その能力の大きさを示した。

 そのような実験は東京のテレビ局でも行ったが、いざ本番になると、能力がなくなり、放映することができなかった。子供が、無邪気にやっているときは気持ちがリラックスに保たれ、欲望がないために能力を十分に発揮できるが、いざ本番では、緊張、欲望が頭を出すために能力は減少するものである。

 そのころ、日本全国には、テレビ局の調査しただけでも一万四千人の超能力の子供がいたが、無申告の人々を加えれば、その十倍ぐらいの人がスプーン曲げができたのかも知れない。

 天玉尊先生が某日、知人の宅を訪問したとき、家人が、

 『いまスプーン曲げブームですけれど、先生は曲がりますか』と聞いた。

 先生は、

 『曲げたことはないが、一度スプーンの入った引き出しを開けてごらん』

 というので開けてみると、引き出しの中にあったスプーン数十本が全部ぐにゃぐにゃに曲がっていた。

 筆者は昭和四十九年の夏、宝塚でF社長と食事のとき、F氏が自分の四歳の男の子が少し普通でないように思うと語りかけられた。では頭の中でその子供さんを思って下さいといいながら、政木フーチパターンで測定を始めたところ、横方向に一直線の超能力型を示した。

 『このお子様は超能力があり、スプーンが曲がりますよ、一度実験してみてください』と伝えると、早速、その部屋から夫人に、『〇〇ちゃんは、スプーンが曲がるそうだから、一度やらせてくれ』と、電話された。

 電話の向こうで早速実験が始まった様子であったが、曲がりませんよ、と夫人から伝えてきた。またしばらくすると、『やはり曲がらないですよ』

 『だめですね』と、いった瞬間に、

 『あっ曲がりました。〇〇ちゃんの手にスプーンが巻きついてしまいました』と、はしゃいだ声が伝わって来た。このように、本人の自覚もなく、両親も知らないが、超能力を持っている子供は数限りなくいるのかも知れない。

 考え方によっては、生まれた人間には全部超能力が与えられているが、それが常識のベールを被(かぶ)ることによって超能力を打ち消し、発揮できなくなるのではないだろうか?

 どんな人でも虫の知らせとか、胸騒ぎを感じる。そして不思議な夢を見る。物理的には説明のできない現象をよく身に感ずることがある。それを偶然のできごととして片付けてしまう場合が多いが、この世の中に偶然は果たしてあるのだろうか。全(すべ)てが偶然ではなく、どこかで計算されたプログラムによって実施されているのではないだろうか。

 火事の際に、常時の十倍以上もの力持ちとなり、重いものを運んだ事実が多く知られている。人間は咄嗟(とっさ)に思いがけないことができることがある。これらも人間が皆超能力者であることを証明しているのではないだろうか。

 エジプトの留学生E君が、十円硬貨二枚を右手の人差指と中指の上におき、その上から親指で押すと二枚とも硬貨が曲がり、親指にやけどをした。本人は硬貨二枚は簡単に曲がるが、これは私は力が強いからだといっている。

 では親指がなぜやけどをするのだろう。力以外の何かの力が働くのではないだろうか。本人は子供のときからいつも曲がっていたと、こともなげにいっている。当年二十六歳の青年であり、この人のフーチパターンは十センチ以上あったことを覚えている。

 このようにして、本人は否定していても、普通には考えられない事実があれば、超能力を持った人間と考えることが正しいのかも知れない。

 人類が誕生してから何百万年の間には、極寒の氷河期を何回も生き抜いてきた。これを科学文明を持たなかった当時の人間は、どのようにして生き延びてきたのだろう。原始人は、占い人の指示によってすべての行事を行ってきたことから考えても、人間に超能力があったために、氷河期を生き延びられたのではないだろうか。

 虫の知らせとか、胸騒ぎの類も、人間の五感以外の感覚ではないだろうか。

 動物たちには、この第六感的な感覚と思えるものとして、渡り鳥の方向探知、ナマズの地震予知、蟻や蜂の帰巣性、小動物の火災予知等がある。

 科学の未開発時代の人間も、これら動物のように五感以外の感覚が大きく作用していたのではないだろうか。現在は科学の発達により、その必要がなくなったために、その能力が低下したものと思える。しかし、この特異な力がなくなったものではなく、特性は持っていながらその利用法を忘れたのかも知れない。

 ある地球物理学の教授の話によれば、三脈といって、手首の脈搏と、頸動脈の脈搏が同時であれば、それから二十四時間以内は、自分の一身上には変化はなく、もしもこの脈搏の時間に狂いがあるときは、変事が起きる前兆であるから注意しなくてはならない、といったことがある。

 例えば航空券等を買ってから、三脈を調べ、もし不調であればキャンセルすべきである。何年か前にも、そのキャンセルした券を買った人が事故によって死亡したことがある。

 その不調が自分だけの場合は、まだ自分ひとりが気をつければよいが、家族とかグループの全員が不調のときは、そのグループ全体の行動に注意しなければならない。このように、手首と頸動脈の脈搏差によって、未来の変事を予知することができることになる。この現象は全ての人間に可能であることから、人間はみな超能力者的素質を持っていることになる。

 このような能力の使い方を忘れさすのは、現在の科学かも知れない。それは、ただ物理的に証明できず、科学的に根拠がないという理由によるものであろう。

 筆者の身近に多くの奇跡が引き続いて起きている。しかしそれは現在の科学では説明も証明もできない。

 現在の科学で説明のできないことは、実在しないと思う人もあるだろうが、まだ現在の科学が、超常現象を解明する要素に欠けていると考えるべきである。

 米国、ソ連そして最近では中国においても超常現象の研究に着手している。科学のない時代の人々は、少しの科学的事件に対しても、魔法のように恐れおののいていたことを思い出せば、行きづまりつつある現代科学の再開発が、この精神的エネルギーの研究開発にあるのかも知れない。

 フランスのノーベル生理学・医学賞受賞のアレキシスカレルは、

 「美や宗教に対するインスピレーションや愛などは、多分直観を発達させることに好都合であろう。詩人は科学者より一層深く真実を把握する。直観は透視(クレアボイアンス)に非常に似ており、真実を感覚器官に頼らずに捕らえるようにみえる。『偉大な人物はすべて直観力に恵まれている。彼らは分析や理屈なしに、自分は何を知ることが必要かわかるのだ』

 直観と透視(クレアボイアンス)の違いは、たぶん量的にも質的にもあるに違いない。『透視(クレアボイアンス)と精神感応(テレパシー)は直接的に観察対象となるものである。こういう能力を持つ人は、自分の感覚器官を使わずに、相手がひそかに考えていることを把握できる。また多少は時間的に、あるいは空間的に離れていても、さまざまな事件を知覚することができる』こうした能力に恵まれた者は決して少なくない。

 ラインはデューク大学の学生に対して調査を行っているが、感覚器官に頼らずに感じとる力の存在を、しばしば観察している。旧約聖書の予言者たちは、未来を見通していた。一一世紀のアラブ人は、感覚器官に頼らない知覚を、精神発達の第四段階と定義している。ヨガの教理は人から人へ思いが伝わることがあり得る、と教えている。フィヒテ、ヘーゲル、ショーペンハウエル、フォン・ハウプトマンは、感覚器官外の知覚という概念を認めている。不思議なことにアリストテレスは予知を否定しているが、彼にはこの現象は説明できないものとうつったからであろう。デカルトと一八世紀の哲学者たちも、感覚器官を通らずに知性に到達するものは何もないと信じていた。

 こうしてルネッサンス以後、人間は五官という境界の中に、勝手に閉じこもったのだ。今日、われわれは精神感応(テレパシー)による否定できない出来事を、数多く知っている。精神感応や、過去の映像、未来の予知などの本質は、アリストテレスのころと同様、まだ明らかにされていない。しかし、こうした現象は説明もできなければ観察も難しいというだけの理由で、それが真実ではないと否定すべきでないことだけは明らかであろう」


 と語っている。



第三刷発行:昭和五七年九月二十日
著者:政木和三
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 政木和三先生とのご縁の始まりは、昭和五年生まれの私の実父が小学生時代の頃より電気のイロハを教わり(実際に、電気ギター制作等々、様々な電気技術のご教授を、家族ぐるみのご近所付き合いの中で個人的に無償で賜ったそうです)、その後、御晩年には、政木先生の素晴らしいご発明品の集大成のひとつとして“世のため、人々のため”に御余生をかけ陰徳にご尽力なさいました超強力 神経波磁力線発生器(改名機器、インパルス磁力線、そして、Mリングと、すべての御販売は㈲政木研究所、㈱ケントにて)の製造に至るまで、数々のお仕事をお世話頂き、政木先生がお亡くなりになる最後の最後まで、私も含め家族ぐるみのお付き合いを賜わり、今も尚、心の底よりとても尊敬し、感謝している恩師・師匠です。

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深謝
m(__)m





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