過敏性腸症候群と頻尿に生きて | あべこう一(阿部浩一) Official Blog

あべこう一(阿部浩一) Official Blog

シンガーソングライター

 成人男性は腸が弱いという人が多いようです。特に朝は駅のトイレで個室が空くのを待つ人たちをよく見かけます。そういう私も本当によくお腹を壊します。食いしん坊で胃はかなり丈夫なほうですが、胃の元気さに腸のほうがついていけていないといった感じ。

 10年以上前に過敏性腸症候群と診断されて以来、騙し騙し過ごしてきました。

 ストレスがピークに達すると冗談ではなく、いっそのこと外出時にはオムツをしたほうがよいのではと思うほどつらいときがあります。そんなときは気軽に心療内科を受診するのですが、今度は薬が効き過ぎてためこんでしまう上に、併せて飲む薬で本当に眠くて仕方なくなって困ります。

 停まる駅の少ない急行列車に乗るときはいつも緊張するし、何らかのトラブルで電車が走行中に停車すると、トイレに行きたくなったらどうしようと思いめまいがします。

 それだけでお腹も痛くなるし、尿意をもよおすこともたびたび。オシッコに行きたくなるのも心因性のものだと思っていましたが、どうも私は腎臓もあまり丈夫ではないようです。

 時々、木の棒を使って足裏を刺激する『足揉み』を、本を見ながら行うのですが、腎臓のツボを刺激すると激痛が走る上、その日の夜は何度もトイレに目が覚めてしまうのです。普段も尿意が近いので、つい水分をとることを控えてしまったりしがちです。

 ドライブなどに行っても、たびたびトイレに行きたくなって同乗者に不審がられたりもします。何かご年配の方かよって感じですが。

 そんな不便な体質で、日常生活の中で困る場面はたくさんあります。

 たとえば映画館やコンサートホールなどの客席で、端っこやトイレに近い席なら少しは安心なのですが、真ん中のほうの席だと上映・上演中に狭い暗闇の中、他の客の前を謝りながらトイレに行く自分を想像してめまいがします。

 新幹線の指定席キップを購入するときも、本当は窓側の席で走り去る景色を眺めながら旅情にひたりたいのに、トイレに行くことを優先して泣く泣く通路側の席を選んでいます。

 すぐにトイレに行けないシチュエーションでの急な腹痛と頻尿と。満員電車の中で腹痛に耐える私に、隣に立っている人のカバンや体が当たるたびに「お願いだから俺に刺激を与えないで!」といつも心の中で叫んでいます。


PHOTO:Noriko Ohba