アトピー性皮膚炎とは | こどもクリニック四方山話

アトピー性皮膚炎とは

「小児科医がやさしく教える赤ちゃん・子どもの病気」(PHP研究所)
第1章 子どものよくかかる病気・早わかり教室
ー皮膚の病気ー

 アトピー性皮膚炎について1-アトピー性皮膚炎とは

(8-4)

 アトピー性皮膚炎(以下アトピー)について、お話しましょう。

 アトピーはまるで流行している病気のように、育児雑誌やお母さんたちの話の中で、よく取り上げられます。乳児健診で湿疹が少ししか出てないのに、お母さんたちは、まるでアトピーと言われるのを待っているかのように、「アトピー性皮膚炎ではないでしょうか?」と質問します。症状に病名をつけられるのが心配なはずなのに、なんとなくつけられて安心しているかのようで、ちょっと不思議です。

 アトピーは、いったいどんな病気なのでしょうか。アトピーは、アレルギーが原因となって起こる皮膚の病気です。原因は、乳児期には食べ物、幼児期以降になるとダニやホコリなども原因となります。

 一目で普通の湿疹と区別することは、簡単ではありません。乳児期早期には、湿疹は顔を中心として現れ、しだいに全身に広がり、年齢とともに関節の折れ曲がるところに見られることが特徴です。乳児湿疹( ページ参照)との区別は初期には難しく、湿疹が慢性化することにより、アトピーと診断します。

 診断でもう一つ大事なことは、かゆみです。かゆみのないアトピーはないと言ってもよいでしょう。ひどくなると一晩中かきむしって眠ることができなかったり、下着が血だらけになったりと、結構大変な病気なのです。大変な病気なのにお母さんたちの多くは、お風呂に入って赤くなるからとか、かさかさしているからなど、ちょっとおおげさですが、まるで虫眼鏡でも使って探さなければ見つからないような小さな変化まで、アトピーと心配するのです。

 お母さんたちが、子どもの皮膚が絹のようであることを願うのを否定するつもりはありません。しかし、しみや湿疹、肌荒れのない人はいないはずです。まして、その程度の変化が自分の背中にあっても、かゆみなどの症状がなければ、自分でも気がつかないはずです。自分の場合、気づかなければ治療もしないのに、どうして子どもの場合は病名をつけて、わざわざ治療しようと思うのでしょうか。
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 赤ちゃん・子どもの病気(著書)は、2002年PHP研究所から発行された「小児科医がやさしく教える 赤ちゃん・子どもの病気」の内容を紹介するものです。目的は、少しでも多くの人たちに役立ててもらうこと、原稿ファイルの紛失による再記録のためです。
 第1章は、子どものよくかかる病気・早わかり教室”で、子どものによく見られる症状・病気を様々な角度から解説してあります。
 著書に関しては「赤ちゃん・子どもの病気」の説明をご覧ください。

 *出版後10年が経過し現状にそぐわないところがありますが、敢えて原本のままとしました。不適切な部分があり、特に書き換えが必要な内容に関しては文末に(*) を示したのでご注意ください。新しい情報は、下記を参照してください。
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