良妻賢母考 | 来栖史江の徒然なるままに  ~フリーアナウンサー・絵本講師・話し方講師・朗読とピアノ アサクル~

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元静岡放送アナウンサー来栖史江のオフィシャルブログ。朗読とピアノのコンビ アサクル、絵本や読み聞かせの楽しさを伝える絵本講師、話し方講師、イベント司会や朗読についての活動を紹介します。

急に思い出してしまいました。

私の母校、大妻中学校、大妻高等学校、そして大妻女子大学の校訓。


「恥を知れ」

そして、大妻といったらこっちの方が有名かも。 「良妻賢母の大妻


・・・今になって本当にこの言葉の重み、深さがよ~くわかります。


良き妻、賢い母であれ。


ああ、今からでもいいから、そういう女性になりたい・・・けど、どうも路線が違っちゃったなぁ。

夫にとって今の私が「良妻」と映っている自信なんて全くないし、子ども達にとっても「賢母」かと聞かれたら・・これまた自信ありません。

何があっても守る、愛してるって思っている自信はあるけれど。


でもちょっと見方を変えてみると。

「良き」妻も、「賢い」母も相手あってのものですから、一般的にどうこう言っても本当はどうしようもない。

相手にとって「良い」「賢い」・・・つまり満足してもらえる状態であれば、本来は良い訳です。


例えば・・・私の実の母が父と結婚する時に出した唯一の条件がこれ。


結婚しても絶対に料理は作らない

これでもいいなら結婚してあげても良い


・・・これ、本当の話です。


母は昔から、料理だけは大の苦手。

おまけにスーパーに行くのも嫌い、買い物かごからネギがはみ出ているのなんて見るのもイヤ、スーパーを何度もぐるぐるまわって買い忘れたものを探す・・なんてするくらいなら買わないでいい!という手ごわいオンナです。

(母の名誉のために(!)言いますが、他の家事、裁縫や掃除は好きで、それもかなり上手です)


それにしてもこんな条件、のむ男性なんて普通いないでしょ!

食は生活の基本。いくら何でも一生料理をしないと言い切るような女性を、一生の伴侶にしようなんて変わった男性は・・・いたのです。私の父でした。


よっぽど惚れていたんでしょうか・・・

父は私が10歳の頃に病気で亡くなっているので、結局そのあたりの微妙な心理は聞けずじまい。

今になると本当に「聞いておきたかった~」って思います。


実際母は結婚後料理は全くせず、しばらくはお姑さんが担当。

しばらくすると母の妹がこの状態を見かねて、お姑さんに代わる・・という生活を送ったのです。

こんな生活は私が生まれてからも続き、会社員の父、銀座のママでほとんどうちにいない母、体が弱く結婚はしないと決めていたので、実際私にとっては母のような存在の叔母、そして私という奇妙な4人暮らしが。


今になって思いますが、かなり変わった家族構成と中身でした。


でもね、ものすご~く変ですが、少なくとも結婚当初の父にとって、いかに料理放棄してる奥さんだろうと自分が「良し」としてるんだから「良妻」だったのかもね、って思うのです。

キミは居てくれるだけでいいんだよ、料理がそんなにイヤならば僕の母にやってもらえばいい、キミはそんな事気にせず、いつもきれいにして笑っていてくれたら充分だよ・・・なんて感じだったのかなぁ!?


私にはやっぱりま~ったく理解出来ませんが、でも若かりし母にそれだけの魅力があって、料理しないでもいいよなんて言う男性までいたとしたら・・ちょっぴりうらやましい気もします。ちょっぴり。

まず私にはあり得ない話だけどね!


良妻賢母からかなり脱線してしまいましたが、一般的なイメージからどんなに離れていようと、当人や相手、周りが良しと判断しているならばそれ以上どうこう言う問題でもないのよね、ってお話。

ずいぶん極端ですが、母にしたって料理以外はきっちり出来た訳だし、そのあまりの料理嫌いを近くで見ていた私が、母はどうにかなってるけれど私はこれじゃマズそうだと判断して料理学校に通う事になったんだしねぇ。

「女の子なんだからお料理くらい出来るようにしなさいよ!」ってうるさく言われるよりもずっとやる気を起こさせてくれた・・・と考えたら、「賢母」なのかもね!


要は見方の問題。

じゃあ私も実は「良妻賢母」と言える要素があるかも・・ってちょっといい気になったりして。

皆さんから、「ナニ都合いい事言ってるの!」って怒られないうちに、もう寝ちゃいましょ~!