最終節1 最善手 | こばごうのコレ切ってアレ食って

こばごうのコレ切ってアレ食って

小林剛による天鳳名人戦自戦記など

ついに最終節をむかえた第二期天鳳名人戦。


約1年間に渡る長い戦いが、この4戦で決着する。


ここまでのトータルは

石橋伸洋 +449

小林 剛 +440

coa   +4

ASAPIN△142


2人には申し訳ないが、完全に石橋とのマッチレース。

1順位の差で20~70のポイント差がつくこのルールでは

ほぼ同点と言える。ただ、着順が同じだった場合だけは

石橋有利なので、私の優勝確率は49%ほどだろう。


あとはそれぞれが自分の信じることをするだけ。


石橋・小林は簡単で、自分の順位上昇と相手の順位低下が目標。

特に相手を1回でも多くラスに落とすことができれば一気に有利になる。

ただ、coaとASAPINは難しい。4連勝かつ上位2人に34・43と押し付ければ

優勝の可能性はあるものの、確率は0に近い。

それでもわずかな可能性に賭けて勝負し続けるのもいいし

上位者の勝負に大きな影響を与えないように普段の1戦のように打つものありだ。



1回戦東1局は、私の1300。

coaのリーチを追いかけてのアガリであり、最初から戦闘態勢に

入っていたといえるだろう。


そして東2局のこの仕掛け。
こばごうのコレ切ってアレ食って-10-1東2
こばごうのコレ切ってアレ食って こばごうのコレ切ってアレ食って こばごうのコレ切ってアレ食って こばごうのコレ切ってアレ食って 待ちで、アガれるのは2枚切れの

こばごうのコレ切ってアレ食って のみという珍しい4面待ちであるが、これは当然の仕掛け。
場を見るとソーズの6~9が極端に安く、残り2枚のこばごうのコレ切ってアレ食って

使える人は誰もいない。絶好の待ちである。

結果はcoaへの放銃に終わったが、ちゃんと打てている自覚はあった。

南1局はASAPINの大連荘。

アガリ自体は自然なものだったが、目についたのはcoaの押しっぷり。

ASAPINの親リーチに対し、ド終盤に超危険牌で放銃したのだ。

どうやら、わずかな可能性にかけてトータルでの逆転を狙っているようである。
この姿勢をはっきり見せてくれるのはありがたい。


対するASAPINはおとなしい感じ。

石橋・小林を無理に落とすという意図はなく

南3局の私の親を、4巡目ピンフのみのダマテンで流す。

勝負を歪めることなく、我々の勝負を見守る姿勢だ。


1回戦はそのまま、石橋2着ー小林3着で終了。

点差はそれほど開かず、残りは3戦。


石橋 473

小林 425


2回戦。

珍しくASAPINが積極的に仕掛け、9巡目にひとりテンパイ。

そこに2人から仕掛けが入ってこばごうのコレ切ってアレ食って を掴んだところ。
こばごうのコレ切ってアレ食って-10-2東2
なんとこれが止まるのである!

切ったのは同じく通ってないこばごうのコレ切ってアレ食って

私の最終手出しは、たった今coaに鳴かれたこばごうのコレ切ってアレ食って であり、

確かにここは危険なところではあるが。。。

手牌読みの正確さ・自信、そして勝負の邪魔をしないという

姿勢が徹底している。

あとから見直してわかったことではあるが、

この一打だけでもASAPIN天鳳位の力を物語っている。



オーラス。3着目石橋のピンフツモで、小林2着ー石橋3着。

リーチをかけていれば逆転していたのだが、ラス落ちのリスク回避を

重視したようだ。

石橋も私も、勝負はまだ先だと思っている。


石橋470

小林444


3回戦。

そろそろお互いの攻めがキツくなってきたのがこの3回戦。

リードされた石橋の、この即リーチ。
こばごうのコレ切ってアレ食って-10-3-n1
そして大きな一発ツモ!

特にこばごうのコレ切ってアレ食って がいい待ちだったわけではないのだが、勝負をかけてきた。

しかも、私のこばごうのコレ切ってアレ食って こばごうのコレ切ってアレ食って 待ち追っかけリーチを潰してのアガリである。
ここで思い切ってリーチができるのが石橋の強さだ。


私も黙っているわけにはいかない。

coaの先制リーチに対してこの追っかけ。
こばごうのコレ切ってアレ食って-10-3-n2
こばごうのコレ切ってアレ食って 切りでは、ダマでもリーチでも待ちは悪く、勝ち目は薄い。

リーチをかわしてアガり切ることが重要なこの局面では弱いのだ。

それよりもこばごうのコレ切ってアレ食って 切りリーチのほうが強い。

共通安牌がないこの状況では、こばごうのコレ切ってアレ食って が通れば

こばごうのコレ切ってアレ食ってこばごうのコレ切ってアレ食って は安牌候補の筆頭になる。

無スジとはいえ、組み合わせ上では通ることのほうがはるかに多いの

だから、一発とか赤とかそんなもので揺れてはならない。

ここは勝負する一手だ。


結果は石橋とASAPINが降りて打つことはなかったが、山に4枚いた

こばごうのコレ切ってアレ食って をcoaが掴んで私の勝ち。



そして勝負の南3局を迎えた。
まずこの配牌である。

こばごうのコレ切ってアレ食って-10-3-n31

たいしたことはないが、こばごうのコレ切ってアレ食って を活かして局を進められそう。

うまくいけばホンイツになるか。

こばごうのコレ切ってアレ食って-10-3-n32

そしてソーズが寄って来たところでこばごうのコレ切ってアレ食って をポン。

ホンイツも見ているのと、役牌を限定されたくないのでこばごうのコレ切ってアレ食って 切り。
こばごうのコレ切ってアレ食って-10-3-n33
そこでこばごうのコレ切ってアレ食って をポンできたのでこばごうのコレ切ってアレ食って 切り。

絶対ホンイツというわけではないので手広く。

こばごうのコレ切ってアレ食って-10-3-n34
さらにこばごうのコレ切ってアレ食って をポンしてこばごうのコレ切ってアレ食って 切り!これが勝負の一打。
ツモこばごうのコレ切ってアレ食ってこばごうのコレ切ってアレ食って に備えるという理由もあるのだが、

ホンイツに見せないという目的が大きい。
こばごうのコレ切ってアレ食って-10-3-n35
そして次のツモが4枚目のこばごうのコレ切ってアレ食って 。手出しでこばごうのコレ切ってアレ食って 切り。


勝った!


9ー字牌ー字牌ー7 という切り順は、ピンズの7のまわり。

つまり4~7あたりを持ってますというサインであり。

絶対ホンイツには見えない。

本命はこばごうのコレ切ってアレ食って こばごうのコレ切ってアレ食って か、こばごうのコレ切ってアレ食って と何かのシャンポンである。

ピンズが雀頭だった場合は、マンズソーズのどんな待ちもありえるのだ。

誰も使えないこばごうのコレ切ってアレ食って が止まる人はいない。

黒子に徹しているASAPINでさえ止まらないだろう。

そして石橋からこばごうのコレ切ってアレ食って の直撃に成功!



さて、ここまで考えてもこばごうのコレ切ってアレ食って は残せないというのが普通だろう。

当然だ。私も4巡目に切るのが普通だと思っている。

こばごうのコレ切ってアレ食ってこばごうのコレ切ってアレ食って の重なりを逃すリスクはかなり大きい。


ただ、迷彩というのはリスクを負っているほど効果が大きいもの。

誰でもできるようなリスクなしの迷彩では、相手の読みの範疇なのだ。


今回は思い切ってリスクを負い、ズバリうまくいったといえる。

これで小林1着ー石橋3着。


小林 507

石橋 462


最善手とはなんなのか。そんなのは誰にもわからないが、

ここまで全員が知恵を絞って懸命に打牌をしているのがよくわかる。


ついに最終戦へ。


続く