例えば、雑誌の表紙に別で作成した付録の表紙を配置するとしましょう。
↑右下の白い部分に、別進行の付録表紙が入るとしましょう
↑コレが付録表紙のデータ
また、複数ドキュメントで使う同一のアイキャッチなども同様に、元データを一元管理できるので修正時の差し替えが簡単になります。
↑バクダンの色変更とかめんどうだけど…
↑リンク配置なら元を修正して更新するだけ
しかし、Ai-Aiリンクは気をつけなければならないところもあります。注意すべきは「変形」と「埋め込み」です。
Ai形式のベクトルデータは、リンクを埋め込みにすると、オブジェクトはベクトルデータに戻り、元データの線幅を維持します。
このとき等倍なら埋め込んでも問題ありませんが(他の問題はあるかも)、リンクデータを拡縮していた場合、パスは元データの線幅になるので絵柄が崩れることになります。これは、線幅と効果を拡大縮小にチェックが入っていても関係ありません。
↑下の2つはリンク配置後変形
縮小時などは、変形されたバウンディングボックスのサイズでマスクされ、絵柄が変わるうえ一部が切れてしまいます。
↑埋め込むと変形のかかったオブジェクトの線幅が元データの線幅になる。マスクで縁も切れている
↑データとしてはちゃんとベクトルデータになっています。マスク解除すれば切れていた箇所も出現します
ただし、線幅プロファイルの当たっている線とアピアランスの線は埋め込み時に拡張されるので、見た目通りになります。
これは、手作業で埋め込みをしなくても、データ保存時に「画像の埋め込み」にチェックが入っていると、次にデータを開いたときには、リンクでなく埋め込みになります。2度と開かずにInDesignなどに配置する分にはセーフですが…。
Ai-Aiリンクは決して禁じ手ではありませんが(かなり近い気もしますが)、使い方を誤ると危険なので注意しましょう。変形をかけず、埋め込みをしなければ良いのですが、上記のように、知らずに埋め込んでしてしまうことも考えられます。
しかも、その場合は次工程の作業者が開くケースがほとんどでしょう。リンク情報も、拡縮率の情報もなくなっているので、見本と違っても修復はほぼ不可能です。
さて、ドキュメント内で同一データを使い回すようなケースでは、Ai-Aiリンクよりもシンボルを使用することをオススメします。
シンボルは外部にデータを持つ必要も無く、リンク切れや保存時の強制埋め込み等は回避できます。
↑ドキュメント内の一元管理に便利
シンボルの場合は、拡縮してリンク解除しても、比率にあった線幅になります。ただし、変倍がかかっているものは、仕様上絵柄が崩れますので注意しましょう。
↑パスに変倍はかかりませんので、右下のように変倍のものは絵柄が変わってしまいます
シンボルは勝手に解除されないし、わざわざ解除する必要はないので、気に留めておく程度で良いと思います。
また、リンクしたものを更にリンクしてから埋め込むと、シンボルと同様に比率にあった線幅になります。
↑リンクして保存したものを更にリンクして埋め込むと、線幅は比率通りになる。変倍はダメだけど…
※検証はMacOS10.8.5+CS5.1で行っております。バージョンによっては仕様が異なることがあります。ご了承ください。