どこかで観たぞ・・・ 『JIN』① | コワれるまで ALLORA

どこかで観たぞ・・・ 『JIN』①

私が最近観ている韓国ドラマについて、娘 長女との会話。

「病院に大けがをした急患が運び込まれるんだ。主人公は医者でね、手術をしたら脳の中に胎児のような腫瘍が見つかって・・・」

それって」

「それで主人公は、何百年か前にタイムスリップ」

「いいの~はてなマーク、そんなドラマ作っちゃって」

「そしてそのドラマのタイトルは“ドクター・Jin”ビックリマーク



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『Time slip Dr.JIN(タイムスリップ・ドクタージン)』(韓国版 JIN -仁- 2012年)。



ちゃんとリメイクの権利を取得して作られたそうですが、改編の度合いが大きすぎて、原作者からのクレームがついてしまったとか。
なので日本では放送されにくくなってしまったかもしれません。

でも、なかなかよくできたドラマです。

TBS開局60周年記念ドラマ『JIN -仁-』(2011年)では、大政奉還から戊辰戦争という大きな政変劇が時代背景としてありました。

仁先生は坂本龍馬や勝海舟、西郷隆盛等の動きが史実に沿うよう、歴史の歪みを修整していくのです。

この背景を、韓国版ではどこに持ってくるか。

そこで白羽の矢が立てられたのが、李氏朝鮮時代の後期、19世紀後半。
19世紀に入って両班の(やんばん )安東金氏一族が国王を押さえ込んで、60年間もの間中央政治を支配し、政治腐敗を起こしました。

1863年に、第26代の若い国王 高宗(ドラマでは12歳のイ・ヒョンソク君が好演)が即位。
彼に成り代わった 父 兴宣大院君の(こうせんだいいんくん )改革が成功。
政治腐敗は納まり、朝廷の風紀の乱れは正されていくのです。

この政変よりも前、あるいは後の事変となると、韓国ドラマで定番の李氏朝鮮の時代からはみ出ますし、後の方は複雑な国際問題がからんで、お茶の間ウケしません。

ということで、韓国版『Dr.JIN』の坂本龍馬は、兴宣大院君とし、円熟味を増したイ・ボムスが演じることになったわけです。

とは言うものの兴宣大院君は、対外的には時代錯誤な鎖国政策を採ったため、彼については評価する声もあれば、タイムスリップ前にジン・ヒョク(ソン・スンホン)が恋人ユ・ミナ(パク・ミニョン)に語っていたような辛口の見方もあるそうです。


このように、ドラマの背景が大きく違うので、脚本家は大変だったでしょう。

でも、できたら時代背景以外は原作ドラマの登場人物の行動を忠実に再現してほしかったと思います。

韓国版の脚本家は、ここぞとばかりに韓流ドラマにしてしまいました。

仁先生は、読み方どおりのJINではありますが、韓国版では“眞”医師とされ、漢字“仁”の意味が薄れてしまいました。

ドラマ『JIN -仁-』はまさに“仁”を説くドラマであり、大沢たかおの熱演もあって視聴者の胸を打ちました。

韓国版はそのテイストが若干薄れ、愛憎ドロドロの韓流ドラマになった感があります。

日本版はドバドバ泣けたんですけど、国情の違いなのか、韓国の脚本家はやっぱり分からなかったのかな。



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『JIN -仁-』の名シーンは、『Dr.JIN』でもたくさん踏襲されています。
Dr.JIN
大工道具を使って脳外科手術を行うシーン。

日本版『仁』では、手術環境の清潔さにこだわったり、21世紀から持ってきた薬品や消耗品がだんだん少なくなることへの危惧など、細かい気配りがありました。
写実のような実感が感じられると言ってもいいでしょう。

韓国版は、そこらへんは鷹揚です。



これはペニシリンの薬効テストの名シーン。
Dr.JIN
韓国版は最後の1皿が成功するという、ちょっとあざとらしい演出でした。


『トキメキ成均館スキャンダル』(Sungkyunkwan Scandal)(2010年)のパク・ミニョンが、橘未来(綾瀬はるか)に代わって眞医師に惹かれていく役を演じています。
Dr.JIN
彼女の身分は、『成ス』の主人公キム・ユニ(キム・ユンシク)と同じ、没落した南人。
パク・ミニョン、キム・ユンシクとイメージが全く変わりません。
いいですねぇラブラブ

花魁 野風(中谷美紀)の役は、妓生チュノンに脚色。
Dr.JIN
このチュノン役の女優さんが、イ・ソヨン ビックリマーク

うれしいですねぇ。

『天使の誘惑』(2009(Temptation of an Angel)年)のアランはとんでもない役でしたけど、『Dr.JIN』のイ・ソヨンは彼女らしいです。

で、このチュノンですが、なんと彼女は・・・

さてさて、次の展開が楽しみです。

他の韓流作品と並行して、ゆっくり観ていくことにします。