ドラマ『食客』②と ラストエンペラー スンジョン皇帝 | コワれるまで ALLORA

ドラマ『食客』②と ラストエンペラー スンジョン皇帝

ドラマ『食客』(Gourmet)2008年)全24話、連休を使って見終えました。
最終話、これでもかってくらいの大団円で、むりやり感動ビックリマークさせられました(;^_^A
主人公イ・ソンチャンを演じたキム・レウォンやコック仲間の笑顔はサイコーでした。

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このドラマ、いくらかの脚色はあったにしろ、朝鮮半島が通った戦史がベースになっているようです。
私の世代の、私のような社会や歴史の成績が悪かった者にとっては“深海には変な魚がいる”くらい、知と現実が遠い話ですから、理解が正しいかどうか分かりませんが、このドラマのルーツには日韓併合(日本の韓国(Japan's Annexation of Korea)吸収合併)”があります。

どのくらい前の話かというと、帽子 『トキメキ成均館スキ(ソンギュンガン)ャンダル』(2010年)やハ・ジウォンの映画『Duelist(決闘者)』(2005年)の背景となったのが朝鮮王朝時代。

この王朝は日本の江戸時代の終焉と同時期に国名を大韓帝国と変えます。

でもこの大韓帝国は、君主がたった2代しか続きませんでした。
2代目君主、純宗(スンジョン)とき朝鮮王朝は日本に併合され、皇室は消滅するのです。

スンジョン皇帝このスンジョン皇帝は、ドラマ『マイプリンセス』ではイ・ソル(キム・テヒ)の曽祖父として、後のテハングループ会長(まだ幼子)との別れのシーンが観られます。

そして『食客』では第1話冒頭、倭人(大日本帝国)によって王の厨房である“水刺間(スラッカン)”がリストラされ、“待令熟手(テリョンスクス)(スラッカンのコック長)”であったイ・ソンチャンの曾祖父イ・サンムンがスンジョン皇帝に最後の晩餐を捧げるシーンではじまります。
「日本に奪われた皇室の権威を取り戻す日を祈願して」と、最後のスクスが言上するのです。

日韓併合後、王室に忠誠を誓うイ熟手は日本軍に処刑されました。

イ熟手の意を嗣いだオ・ヨンファン(オ熟手の父)は、生活のため日本人が経営する料亭で料理人として働くことになります。
第2次大戦後、日本はポツダム宣言を受託して朝鮮は解放され、オ熟手の父はその料亭を譲り受けました。

その料亭が、ウンチャンたちが働く“雲岩亭(운(ウンアムジョン)암정)”の母体となったのです。

このような背景を持つドラマなんです。

また後半3分の1は、韓国のアイデンティティをどんどん呑み込んでいってしまう“和食”に対する挑戦ストーリー。
ですから、日本での放映に際して、多少の躊躇(ためら)いはなかったのでしょうか。
でも、放映されて良かったと思います。

アジア隣国との間に今、さまざまな外交上の摩擦があります。
文化的にも例えば「真似た」「真似ない」とかの諍いが見受けられます。
こういうドラマ放映を通じて、日本の若者が他国の人への理解に少しでも資することになれば、と思います。


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もともと戦国時代の発想をそのままに、舞台を世界に広げた大日本帝国(薩長政権下の日本)。
欧米列強に対抗するために大陸まで領土を広げようとしたのでした。

韓国併合後40年を経て、大日本帝国は第2次世界大戦に敗北し、これに乗じた旧ソ連が北朝鮮(38度線以北)をスルッと持って行ってしまいます。

朝鮮半島の南北問題は、ここからはじまるのです。

『食客』の舞台となる“雲岩亭”では、日本の要人や北朝鮮の要人等をどんどん迎えています。
店内スタッフに日本語教育も施しています。

時代の変遷を感じさせます。