ゴーン・ガール

『ゴーン・ガール』 GONE GIRL 2014年・アメリカ 


これは普通ではない。色んな意味で。

ある朝、妻が姿を消す。
彼女はどこに消えたのか。

こういう作品は、エピソードの順番が全てだ。
どこから見せていくか。
視点をいつ変えるか。
観客の、視線は元より心情を、いつ切り替えさせるか。

言うなれば、展開における信号機を正しく配置しなければならない。
根本のアイデアは大概シンプルなので、尚更、その操作を間違えたら終わりだ。

今作は間合い、積み上げがビューティフル。完璧といっていい。
長尺なのに、食い入るようにカブりついてしまった。
こんなに集中が続く映画は珍しい。


夫の、ベン・アフレックがいい。
妻の、ロザムンド・パイクがいい。
刑事の、キム・ディケンズがいい。
妹の、キャリー・クーンがいい。

デヴィッド・フィンチャー監督の傑作は一作おき、という法則(失礼)はここでも健在。
今回はもちろん、傑作のほう。
ひんやりとした質感が盛り上げる情緒。親しみを加える手管も、また凄い。凄い凄い。

スティーブン・キングに絶賛された原作で、著者のギリアン・フリン女史自らが、脚本も担当。
筆致はルース・レンデルを思わせる。容赦がない、ところが。


流れを事前に少しでも知ってしまうと、旨味が大幅に削がれてしまう作り。
だから未見の方は、何もご存知ないままでご覧いただくのがいい。

同じ人物の同じ表情が、事情を知る前と知ってからとでは、こんなにも印象が異なるのかと。
胸をドンと、一突きされた感じ。
そこから、痛みが広がっていく感じ。

衝撃であった。
背中が寒くなる。
観客の想像力をも駆使したこのインパクト。
未体験の方は、ぜひ。



映画 スクリーン

[関連作品]
デヴィッド・フィンチャー監督 『ドラゴン・タトゥーの女』『ソーシャル・ネットワーク』



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